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2話 『一目惚れ』1-2

繋がってるかは分かりませんが、宜しくお願いします。

「おはよ。優。ふわ...。」

「おう!眠そうな顔も可愛いぞ!」

「や、やめろよ。冗談はよせって。俺、元男だぞ?そんなのに可愛いなんてよお...。」

「恥ずかしそうにしてるその表情と声も好きだぞ。」

「やめろって!」


朝から褒めちぎりながら迫ってくる優を避けながら通学路を歩く。


「なあ、やっぱり付き合ってくれないのか?」

「おま、それ本気だったのかよ!」

「当たり前だろ?だって見た目がドンピシャ俺の好みだし、中身もよく知ってる。ならもう付き合わない理由が無い!」

「なんだその超理論!?」

「俺、お前の欲しいもんなら買ってやれる。それに、そこら辺の奴と違って料理も出来るし、裁縫の覚えもある。任せてくれれば夜も満足させられる自信もある!どうだ!?」

「どうだじゃねえよ!だから、まだそんな事考えてられないしその気も無い!女になってまだ一週間とかだぞ!?」


優は急にハッとした顔をした後すぐにしゅんとした顔になる。


「そうだよな...。わ、悪かった。すまん。」

「お前がそんな躍起になるなんて、そんなにこの姿が好きなのか?」


今の俺は女子の制服を着ている。慣れないスカートに黒のストッキングを母の勧めで穿いている。


「大好きだよ!」

「や、やめろよ。...恥ずかしい。」

「~~~っ!クソ~!可愛いな~!!しかも黒ストってなんだよ反則だろ...!エッロ...!」

「確かにこれ、なんかいかがわしい感じ...。しかもベストも少し大きいし...。」

「萌え袖も良いなあおい!あ、そうだ放課後なんか予定ある?暇なら...」


そう切り出しながら、自然な流れで俺の腰に手を回しながら耳元に顔を寄せてくる。


「セクハラは止めろー!」

「わ、悪い...。ついいつもの癖で...。」

「癖のレベルがたけえなオイ。怒られねえのかよ?」

「うーん。俺に気がある子は大体これで落とせるんだけどな。案外みんな嬉しそうな顔するぞ?」

「そ、そういうもんなのか...。で、放課後なんだよ。」

「ゲーセンかカフェ行こうぜ。俺、今日バイト休みなっちゃってさ。」

「いいぜー。放課後なってみないと分かんないけど。」

「決まりだな。」


放課後の予定を立てながら歩いていると、校門の前で何人かの女子が優に挨拶をしていく。


「おはようございます吉田先輩!」

「おはよ。」

「吉田先輩今日放課後...」

「今日は無理かな。今度、俺から暇な時は誘わせてもらうからさ。」

「吉田君隣の子は彼女?見ない子だけど...。」

「お前にそんな事関係ある?」

「あっ...。」




「人気だな...。にしてもあしらい方...。」

「お前が隣にいんのにあんな有象無象に構ってられるかよ。」

「俺なんかより可愛い娘居るだろ。なにも俺じゃなくたって。」

「そんな事言うなよ。あんまり俺を馬鹿にしないでくれ。」


優は少し拗ねた口調で不満げに漏らす。優が本音を言う時の癖だ。


「ごめん。」

「俺も悪い。なんつか、お前に嘘はつけないからなあ。やっぱ正直に可愛いとか、好きだ!とか言いたいだけなんだよ。信用無いのは分かってる...。」

「まあ、俺にお前の顔はあんまり効かないからな。」

「そこだよなー。イケメン過ぎたかー。」

「なんかムカつく。」


教室に着くと、そのまま喋りながら席につく。未だにクラスメイトからの視線が刺さるのが分かる。


(やりづれー。まあ、仕方ない事だけど慣れないな...。)


「義人はさあ、やっぱまだ恋愛対象ってか、好きなのは女なの?」

「えっ...。そんな事言われてもピンと来ないぞ...。なんでだ?」

「お前には俺を好きになってもらわないといけないからな。何方かと言えば、好きって言わせないといけないんだけどな。」

「う...お前よくそんな事堂々と言えるな...?」

「恥ずかしいだろ?これも作戦の内だ。」

「ぐぬぬ...。」


(めっっっっっっちゃ恥ずかしい!!!ああでも、恥ずかしがってる顔可愛いなあ!可愛いなあ!好きな子にこんな事言うの初めてなんだけど!落ち着け~クールに行くぞ!)


「お前に嫌われる事はしたくないし、何より俺は、女の子には真摯に接するって決めてるんだ。」

「そりゃ、気の置けない仲ではあるけどもだな...。俺はまだ『女の子』なんかじゃねえし...。」


(コイツサラリとこんな事言えるなんてやっぱ凄いな...。こんなに必死な優なんて初めてだし、応えてやりたい気持ちもあるけど...。)


「おーっす。HR始めんぞー。スマホしまえー。」

「くっそ~いい所に...。」

「なんだ吉田。よし、朝礼頼んだ!」

「えぇ!?.....きりーつ。」

「シャンとしろシャンと!」

「シャンとって何?...気をつけ、礼。」


先生からの無茶振りを受けた優の気だるげな朝礼で朝のHRが始まる。先生が適当な話をしてから、皆一時間目の授業の準備を始める。


「一時間目なんだっけ。」

「数学。」

「めんどくせー。義人さ、昼、食堂行く?」

「せやね。パンとかの気分じゃないや。」

「おK。」


昼の打ち合わせをしている所に数学の先生が入って来たところで姿勢を正し、授業を受ける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「疲れたー...眠い...。」

「今日はカレーうどんだな。よし。」

「俺も同じでいいかなー。」

「あ、和田さん?だよな?」


食堂で食べる物を考えながら歩いていると、短髪の男子が上の階から降りて来る。どうやら3年生のようだ。


「あ、はい。なにか?」

「あ、俺3の3の新見。友達からの伝言なんだけど、校舎裏に行ってくれないか?内容はその...察してやってくれ。」

「ええ?うーん...。」


(荒事じゃなさそうだし行くだけ行くか...?後から無視したーとかなっても嫌だしなあ。)


「んだと...?」

「うおっ!?」


(なんでお前が怒るんだ...。先輩ビックリしてんぞ。)


「義人、そんなの無視だ。行くぞ。」

「ええ...。」

「ま、待ってくれ!頼む!吉田、お前も男なら分かるだろ?お前らにとっては他人だが、俺にとっては友達なんだ!気持ちを汲んでやってくれ!」


新見先輩は後輩の俺達に頭を下げて頼んでくる。これには優も少し驚いていた。


「頭、上げてくださいよ。」

「じゃあ...!」

「その代わり、俺は後ろで隠れてます。何かあったら大変なんで。」

「ありがとう。盛大に振ってやってくれ!釣り合わない恋は諦めさせなきゃいけないんだ。」


そこで新見先輩とは別れ、優と二人で校舎裏に向かう。


「それじゃ、俺は隠れるから何かあったら大声だ。いいな?しばらく戻らなくても突撃する。」

「それでお前の気が済むなら良いよ。んじゃ、行ってくるさ。」


優は非常口の所に隠れ、俺は校舎裏に歩いていく。すると、確かに男子が一人立っている。


「あっ...新見先輩って人から聞いたんだけど...。」

「おっ、おお...和田さん、来てくれたんですか!」


(この人、確かサッカー部の人だよなあ...。リア充じゃん!苦手だ...。)


「さ、さん付けなんてやめてくださいよ...。」

「気にしないで下さい!和田さんみたいな娘がこんな学校に居たんですね!ずっと気付かなかった!あ、俺3-3の酒井っていいます!」


(男から変わったなんて言えない...。)


「その、話ってのはなんですか?」

「えっと、薄々気付いているとは思うけど、一目惚れです。付き合って下さい!」


酒井先輩は頭を勢いよく下げ、手をこちらに突き出してくる。


人生で初めての告白というヤツは、全然味気の無い物だった。この人からは、下心と自己顕示欲が出まくってる。


(なんだろう...全然嬉しくない...。優の時はドキドキしたのに......って何を思い出してるんだ俺は!)


「ご、ごめんなさい。今は彼氏とか考えてなくて...」

「なんで!!俺がこんなに頼んでるのに!」

「ひっ!い、痛...!なにすん...」


酒井先輩は断り文句を耳に入れた途端、人が変わった様に俺に掴みかかってくる。肩をつかむ力は強く、俺には振りほどける力は無かった。


「何しとんじゃコラァ!」

「うぐえっ...。」


不味いと思った瞬間、後ろに隠れていた優が助走を付けて酒井先輩に右ストレートを叩き込む。

酒井先輩は変な声を出しながら吹っ飛ぶ。


「新見先輩の友達と聞いてもしやと思って付いてきて正解だった...!酒井テメェ何処までクズだ!」

「よ、吉田...これは違」

「言い訳してんじゃねえ!」

「あがっ...。」

「優、やめろ!」


優は倒れていた酒井先輩の襟を掴んで起こし、言い訳を使用としたところにもう1度拳を入れる。


「気絶してる...。」

「クズめ!そのまま死んでろ束縛ヤリチンの寄生虫が!」

「この人、なにかしたのか?」

「...結構有名なんだよ。コイツ、目を付けた下級生の女の子片っ端から食ってその上束縛DVの三拍子だ。少しでもイラついたら女を殴る、自由も奪って浮気は上等ってな。」

「すげえな...。」


(優とはまた違った方向の奴なのか...。)


「ありがと。助かったー!」

「それより怪我してないか!?保健室行こう!」

「何処も怪我してねえって!それより食堂行こうぜ!昼休み終わっちゃうぞ!」

「おう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結局カレーうどんはもう無くなっていて食べられなかったが、優が俺を大事にしようとしているのは分かった気がする。


(同じ女たらしでも、コイツはマシなのか。)


「ん?どうした?俺の顔なんか付いてるか?」

「なんでもねえよ。昼のお礼したいからさ、吉野家行かね?奢るぜ。」

「ばっか、好きな子に奢らせるなんて出来るかよ。せめて、最後までカッコつけさせろ。」


優は笑いながら「いいっていいって」と言いながら、俺に奢ってくれた。


(女も良いもんだ.........なんて、な。)


親友の良い面を見る事が出来たのだから、少しぐらい感謝はしておこう。




更新遅くなってすいません。次は遅くならないよう気を付けます。

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