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2話『一目惚れ』 1-1

少し遅れました。次は月火で書きます。よろしくお願いします。

「ええー静かにー。病気で欠席してた和田が今日から学校に来れることになった。」


午後の一個目の授業で荒馬先生は淡々と報告する様に告げる。


「病気で和田は少し...いや、かなり。変わってしまってる。でもな、中身はアイツのままだから皆、今までと同じ様に接してやってくれ。いいな?」


(義人の奴、電話にも出なかったし本当にやばかったのか?)


いつもは軽い雰囲気の担任の真剣な口調に、クラスに喧騒とは違うざわめきが満ちる。


「よし、和田。入っていいぞ」

「し、失礼します!」


教室のドアが開かれ、入ってきた親友であるはずの人物の姿を見た吉田優は、自分の目を自分史上最高に疑った。

クラスのざわめきも一瞬で消え去る。


「えっと...和田義人です。こんななりでも中身は変わって無いからよろしくお願いします!」


(............は?)


「嘘だろ...?」

「あれが和田...?」

「可愛い...。」

「同一人物なの?」


「和田、席は覚えてるな。座ってくれ。」

「は、はい。」


義人の席は優の隣だった。義人は席にストンと座り、優に話しかける。


「な、なあ優。信じてもらえるか分からないけど、俺は和田義人だからな?大丈夫だよな?」

「......好きだ。」

「え?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「で、どういう事なんだ?」

「ちゃんと説明するよ。えっと、」


放課後、クラスの皆が俺に群がろうとした瞬間にそれをかき分け優は俺の前の席に座る。その雰囲気に集まろうとしていた同級生達は散り散りに帰って行く。


「義人くん!病気は......あれ?優くん、義人くん知らない?病気治ったって聞いたの。」

「よっす優!義人の奴はどこだぁ?...んん?またこんな美少女をたらしこみやがって、羨ましいなあ!」


説明しようとした時、俺と優以外誰も居ない教室に黒髪の女子とヘッドホンを首に掛けた茶髪の男子が入ってくる。


「莉々愛に陽桜か。丁度良かった。お前らも座れ。」

「なに?」

「なんだ?」

「よし、改めて自己紹介だ。GO」

「なんか変な感じだな...。えー、和田義人だよ。一週間ぶりかな。」

「...ん?」

「なんだと?」


俺の名前になんだその気の抜けた返事は。


「えーっと、義人くん?ちゃん?」

「今まで通り、義人くんでいいよ莉々愛さん。」

「えっ!本当に義人くん?女の子になっちゃたの!?」

「マジ?アンビリバボーでもそんな特集無かったぞ...。」


驚いている黒髪の女子は『三条家莉々愛(さんじょうけりりあ)』。俺の今いる友達の中でも数少ない中学からの友達の一人。

もう一人のヘッドホンを首に掛けてるチャラいのは『神田緋桜(かんだひお)』。優の中学からの友達で、雰囲気に似合わず両親が弁護士で将来有望(?)である。


「その、先週優とゲーセン行った日の夜めちゃくちゃ苦しくてさ。目を覚ました時にはこうよ。」

「先生が言ってたのはなんだった...?せ、性別転換...?」

「TS病って言うらしいよ。病院に行っても女の子扱いだった...。」

「まあんな事どうでもいいんだよ」

「良くねえよ!」


優は席から立ち上がり、椅子に足を乗せながら喋る。


「義人、俺嘘はつけないから正直に言うぜ。」

「な、なんだよ。」


優はなにやら神妙な面持ちで顔を近づけて来る。そのただならぬ表情に気持ちだけ後ずさりする。


「お前の今の顔、声、体、全っっっ部俺のドンピシャ好みだ!!好きだ!付き合ってくれ!」

「ゑ?」

「なっ...!!」

「ふぇっ...。」


優は呆然としてしまう俺の手を強く握り、真っ直ぐな瞳で見つめてくる。


「頼む!俺は真剣だ!お前なら俺の事をよく分かってるだろ?なぁ頼むよ!」

「そ、そんな事言われてもなあ!」


(クソっ...コイツ近くで見るとやっぱかっこいいな...。)


「ダメなのか!?」

「当たり前だろ!?まだ実質男だわ俺!」

「体は女だろ!」

「心はまだ男だ!」

まだ(・・)か。試して見ようか?」


優はそう言うやいなや、俺の顎を人差し指で持ち上げる。


「な、なにを...。」

「1発でトロけさせてやるよ。心配すんなよ。優しくしてやる。」

「ゆ、優くんダメだよー!」

「邪魔をするな莉々愛ー!」

「お、お前ら、何してんだ?」


固まっていた莉々愛が優を止めようとしていると、荒馬先生が教室の前を通りすがる。


「下校時間過ぎてるぞ!部活動もしてねえのに残るんじゃねえ!日直の先生に迷惑だ!散れ散れ!」

「畜生いい所に!なあ、よ、義人返事はどうなんだ?!」

「ほ、保留だ保留!」

「わ、私が許さないよ優くん!?」

「優!お前にそんな趣味があったなんて聞いてないぞ!」


四人固まって荒馬先生に追い出され、学校を出る。だが女の体になっても変わらず接してくれる友達からもたらされる安心感は、俺の不安を和らげてくれた。

1-2へちゃんと繋がる回かはなんとも言えないですが...。次回はなるべく早く上げたいと思います...。

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