10話『水着と浴衣が世界で一番似合うのは君だと思う』1-1
銀玉です。サブタイトルは...分かる人には分かるはず?
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高校生2回目の夏休みが来た。
義人は夏休みの為にバイトをしていた訳では無い。だが、護身用スタンガンは案外安かったし、怖くてなかなか触れない。物欲もいつの間にか無くなってしまい、金は余っていた。
「んあ〜〜〜。」
「義人ぉ〜そろそろ起きなさい。昼過ぎてるわよ〜!」
「は〜〜い...んぁ...。」
義人は瞼をこすり、一度布団に戻った後直ぐにベッドから起き上がる。
母の言った通り、時間は昼を大きく過ぎていた。時間を無駄にした事に少し後悔した。
「やっと起きた。もうこんにちはな時間ねえ。」
「夏休みなんだから1日位良いじゃん...ふわぁ...まだ眠いし。」
「そう言って、ずっと寝て遊んで、宿題ギリギリだった。小学生の頃から変わってないわ。」
「分かってるぅ...。」
一階に降りて朝のシャワーに向かうまでの、母のぼやきが痛い。言う通り、今までの夏休みは寝て遊んでの繰り返しだった。
脱衣所で服を脱ぎ風呂場に入り、シャワーを浴びる。
「ッシャ!さっぱり!」
眠気を覚まし、元気良い独り言を放ち手早く着替える。何だかんだブラジャーを付けるのにも慣れた。
「あ、通知...何だ?」
脱衣所に置いていたスマートフォンにメッセージアプリから通知が来ていた。
その通知は、今年の夏は波乱になると予感させるには十分過ぎた。少なくとも、義人にとっては。
『来週、海行かない?』
「oh...。」
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はい!私三条家の一人娘、三条家莉々愛はショッピングモールに来ております!
ノンノン!一人でじゃありません!好きな人と夏休みにお買い物なんです!!まさか義人君から誘ってくれるなんて...生きてて良かった...。
「ねえ、君一人?」
「え?いや私は...」
「待ち合わせ?なら食事でも...って誰!?あ、分かりましたから!腕、腕折れちゃうから!」
「あら?」
若いお兄さん、いつの間に来ていたか分からないボディガードさんに連れて行かれちゃいました。お父様は心配性です。
「莉々愛さ〜ん!お待たせ!」
「あっ、義人君!私もさっき来たところ〜!」
「今日はいきなりでゴメン。俺だけだと何もわかんなくて...。」
「大丈夫!義人君に似合うの、バッチリ選んじゃうから!」
ンフフ...テンションが上がってしまうのも仕方が無いのです...!だって今日は義人君の水着を買いに来たんですから!!
でも...
「なんで水着を買おうと思ったの?」
「あ...実は、昨日優に来週海に行かないかって、誘われて...。一人じゃ分からないし、お母さんに頼るのもなんだからさ...えへへ。」
もじもじしてる義人君可愛い!けど...
「あの男〜!」
「?...どうかした?」
「何でもないよ。それじゃ、早速ごー!」
「...っ!?急に殺気が!?」
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都心の真ん中のショッピングモールは大勢の人で賑わっていた。その二階、女性向けの水着売り場に義人達はいた。
「わぁ...こういう場所、緊張しちゃうなあ...。」
「大丈夫!義人君可愛いからなんでも似合うから!ほら!」
「あっ、そういう事じゃなくてっ!」
勿論水着を着ること、似合うかどうかなどもあったが、こういう場にいる事にも緊張していた。
「まずは〜?」
「お、お手柔らかに...。」
「これとか!」
莉々愛がまず最初に出したのはトップとボトムの両方が黒のオフショルダービキニ。
「可愛いけど...。」
「まずは試着してみよっか!」
「ちょ、ちょっと!」
莉々愛は水着を義人に持たせ試着室に押し込む。
少しして、義人が試着室から出て来る。
「どうかな...?」
「良い!凄い良い!可愛いな〜!」
黒の水着が義人の白い肌と金色の髪を引き立ており、谷間の強調等は無いが肩を出すデザインがほのかにセクシーだ。
「じゃあ...次はこれっ!」
「わわっ...分かったからどさくさに紛れてお尻揉まないでっ!」
「んふふ!」
多分莉々愛の中には小さいチャラ男が居るのではと義人は感じていた。
「これ可愛い...服みたいに着れる。」
次に着たのは水色に白い水玉のワンピースタイプの物。ポップな可愛いさもあり、スカートからスラリとした脚が顔を覗かせている。
「清楚な感じで可愛い〜!よっ!湘南の魔女!」
「どういうアオリなの...。」
「次はこれかな?」
「だからー!セクハラはやめてー!」
さり気なく...というか堂々と胸を揉まれた。ゴリ押しのセクハラも、莉々愛の中のチャラ男がそうさせているのだろうか。
次に着たのは白のフレアビキニ。胸元やお尻はフリルで隠しつつ、正統派な女の子らしさを出している。
「うんうん、これも良いね!」
「ヒラヒラが可愛いね。で、でもお腹出ちゃうのは...。」
「それじゃ、何にする?義人君が選んで!」
「じゃ、じゃあこの...ワンピースのやつ...かな。可愛いし、着やすいなって。」
義人が選んだのは水色のワンピースタイプの水着だった。
「お買い上げありがとうございます!」
会計を済ませ、店を出る。
「今日はありがとう。一人じゃ多分選べなかったから...。」
「私も楽しかった。同年代の子とこういう事した事なくて...ちょっとはしゃいじゃった。」
「あっ、じゃあこの後時間ある?」
「あるけど...どうして?」
義人は莉々愛の手を取り、二カッと笑ってみせる。
「なら、色々回ってみよ!今日は普通の女の子として、遊ぼ!」
「...!うん!行こ!」
莉々愛から花のような笑顔がこぼれる。
「あの雑貨屋とか良い!」
「わ、私フードコート?行ってみたいな...!」
「良いよ!気になる所、全部行こ!」
「うん!うん!」
義人も莉々愛も今日この日は"普通の女の子"になれた。そして莉々愛は、更に義人への思いを強くしたのだった。
...ちなみに、見守っていたボディガード達は陰で泣いていた。報告を受けた通泰は号泣した。
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「今日いきなり背筋に悪寒が走ってさあ。緋桜、どう思う?」
『さあ?憑かれてんだよ。』
「そうか疲れて...ゑ?」
『え?』
流れは考えてるのでまた近いうちに更新出来ると思います...(多分)
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