死神になりました。
時刻19時、館をでてから30分近くたった。辺りはもう真っ暗だ。
親にメールは送っておいた、今日は友達の家に泊まると。
「なあ死神、どこまで行くんだ?」
「・・・もう少し」
そういうと死神は足を少し早くした。あの小さな体で大鎌を持っているのに早い。
何とかついていくと、もう使われていないと思われる団地へ着いた。
「ここが今日の場所、気を付けてね、いつ襲ってくるかわからないから」
気を付けてねと言われても、いつ来るかわからないなら気を付けられねえよ。
そう思いながら中へ進む死神へついていく、こういうところは別に怖くわない。
しかし、何かが違う。何か・・・いる。
人間の気配ではない、動物でもない、何かだ。
3階へ上がった時だった、死神が止まった。
「いる・・・」
「え?」
その時だった、階段を上がりきった瞬間、目の前からオノが来た、何者かが階段の上で待ち伏せしていたのだろう。
俺は足を階段から踏み外し、踊り場まで落ちた。すごく痛い。
「痛てえ・・・なんなんだよ!!」
「早く起き上がって!!」
目の前にはいつの間に来てたのか黒い影のような者がオノを振りかぶっていた。
「くっ!」
なんとかそれをかわす。
近くにあったモップを持つ。多分ずっと置いてあったのだろうひびが入ってる。
「ナゼ、キタ、生きるモノよ」
普通に生きていれば聞くことがないような声で影のような者は喋る。
俺は踊り場のはじへ追い込まれた、駄目だうまく足が動かない。
「トモニ、ヤミニナロウ」
そういうとオノを振りかぶる、俺はモップで体を叩こうとするが、貫通してしまう。
最悪だ、俺はまだ15だぞ・・・これからだっていうのに・・・!
目をつぶる、死んだときに目を開けたまま・・・それだけは嫌だった。
目をつぶってから10秒くらいたっただろうか、痛みは感じない。
「ねえ、目を開けて、もう大丈夫だから」
死神の声だ、俺は目を開ける。
「・・・ごめん、こうなるってわかってた、だから・・・言いたくなかった」
「・・・いや、気にするな、俺が聞いたんだからな」
死神は大鎌で黒い影を斬った。
そして黒い影は黒い煙になり・・・なくなった。
それから死神と会話はせずに残りの場所を回った。
俺は聞きたいことがあったが、中々聞くことができない。
「・・・聞きたいんでしょ、あの影の正体」
まるで俺の心を読んだみたいに急に喋る。
「ああ」
聞きたい、あいつが何だったのかを。
「私達、死神はあいつらを悪霊と呼んでいるわ、私たちの役目のターゲット」
「確か、お前らはその悪霊や怪奇をあの世に送ってるんだよな」
「そう、だから今襲ってきた悪霊もあの世に送ったわ」
「・・・本当に死神だったんだな」
あいつをモップで叩こうとしたら貫通した、だが死神の大鎌はあいつを切り裂いたのだ。
俺はそれを目ではまだ見ることは出来ていない、だが俺は生きている。それだけで十分な証拠だ。
そう話してるうちにすべての場所を見終えた、今回はあいつ以外いなかったらしい。
時刻は23時だ、4時間近くいたのだろう。
「さて、帰りましょう、少し話さなければいけないこともあるし」
「ああ、わかった」
親にメールで友達の家に泊まると書いたから今日はあの館に泊めさせてもらおう。
館に着いた、ギギギという音を立てながら扉は開く。
「今日泊まっていくんでしょ?時間的に」
「ああ、部屋あるか?」
「汚いところなら」
「あるだけで十分だ、助かる」
これで今日は何とかなりそうだ。
「少し休憩したら、私の部屋に来て」
「いや、このままいくよ」
「・・・そう」
さっき話があると言ってたしな、早めに行こう。
死神と一緒に2階へ上がり部屋に入る。
「とりあえず、椅子に座って」
「ああ、それで話ってなんだ?」
「・・・」
言いづらいことなのだろうか、少し言葉を詰まらせている。
「・・・あのね」
死神は喋る。
「私は今からあなたを・・・」
次の一言はとても衝撃だった。
「殺さないといけないの」
・・・は?
「な、なに言ってんだよ?」
「私の正体を知ったからには・・・仕方ないのよ」
「お前自分で死神って言ってただろ!?」
「けど信じなかったじゃない!、信じてなかったらよかったのに・・・」
そうか、だから死神はあの時何をしてるかを言いたくなかったのか。
「ま、待て!なにか別の方法はないのか!?」
「・・・ある」
「あるの!?ならそっちにしよう!」
「え!い、いや・・・その方法は・・・」
「どんな方法なんだ!」
俺はまだ死にたくない、逃げるという選択肢もあるがそれは無理だろう。
「・・・えっと・・・あなたが、死神になるって方法」
「・・・は?」
「だ、大丈夫!見た目は人間だから!・・・少し朝が弱くなるけど」
「い、いや・・・そういう事じゃなくてな」
驚きは大きいが確かに死神になれば正体を知ったって関係は無くなるが・・・
「どうやってなるんだ?」
「・・・えっとね」
言いづらそうだ、なんか怖い。
「・・・キス」
「・・・」
やばい、ド定番だ。
「それ以外」「ないわ」
聞いてから1秒立たないで返されたよ。
「私に殺されたくないんならそれしかないわよ?」
「・・・考える時間は?」「ない」
ですよねー。
キスか・・・いや、命には代えられん。
「よし、するか」
「了解」
意外とあっさりだった。
「嫌じゃないのか?」
「唇と唇を合わせるだけなのに何が嫌なの?」
さいですか。
俺と死神はキスをした、長くはない。ほんの一瞬だ。
「はい、これであんたも死神ね」
見た目は何も変わっていない。だが
「なんか・・・体が軽いな」
「体重は変わってないわよ、まあ、それが死神になった代償よ」
いや、ありがたいです。
こうして俺は死神になった、まったく実感はないが。
「ああ、それと」
「ん?なんだ」
「あなたにも大鎌を渡しておくわ、それが私たちの必須道具だから」
「・・・そうか、死神になったからには」
俺も死神としての・・・役目をしないといけなくなったのか。
まあ、いい。
「わかった」
「明日には渡せると思うわ」
俺は自分の使命を果たすだけだ。
「了解、先輩」
「しばらくは私と行動だからね、高校生後輩」
初心者なのでおかしいところがあると思います。
アドバイス等よろしくお願いします!