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冬 左頁
ご主人様が死んだ。
殺されたんだ。
ご主人様が雇った二人に。
どうして私は、嫌な感じに気付いた時に、ご主人様に言わなかったんだろう。
私のせいだ。私のせいだ。私のせいだ。
ごめんなさいご主人様。
かたきはとったんだよ。あいつら、バラバラにして豚の餌にまぜてやった。
でも、ご主人様、もう褒めてくれないんだ。
もう、笑ってくれないんだ。
ねぇ、ご主人様。
大好きだったんだよ。私、凄く、凄く、大好きだったのに。
言えば良かった。もっと早く言えば、変えられたかもしれないのに。
見返せば、この手記はなんてすかすかなんだろう。
もっとびっしり書いておけば良かった。ご主人様の言葉を、行動を、表情を、全部書いておけば良かった。
……また春が来る。この空き頁は、その時に埋めていこう。