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プロローグ

 

 いったいどういうこ事だろうかと、俺は考えていた。

 

 さっき何があったのか思い出せない。

 体が動かない。

 感覚がない。

 意識がもうろうとする。


とにかく何があったかと知ろうと、かろうじて動く目であたりを見た。

目だけじゃあほとんどわからないが、俺が道路に倒れていることはわかった。

 それと視界の端でトラックが電柱の前に留まっていた。

 いや、あれ止まってるというよりぶつかって止まってるな。


 いったい何があったのかと考えていると、いきなり誰かに揺さぶられた。


 その人の方見てみると、黒い髪を腰ほどまで下ろした女性が目に入った。

 確か名前は伊波春花いなみはるか、幼馴染で高校で偶然また会った。

 それ以来友達にいない俺によく話しかけてきたり、買い物だったりとよく連れまわされた。

 なぜ、ここにいるんだ?

 

 ああ、思い出した、そういや車にひかれそうになったこいつを助けたんだ。

 今日は春花に誘われて買い物に行ったんだっけ。

 本当はめんどくさくていやだったが、約束したから仕方なく付き合った。

 いろいろ回って暗くなった頃、春花が突然怒り出して走って行った。

 追いかけて行ったら、居眠り運転のトラックにはねられそうだったので助けた。

 その代わりにに、俺がはねられたわけだ。


 春花が俺に向かって何か叫んでるようだが、くぐもった声しか聞こえない、どうやら聴覚もいかれたらしい。


 視界が暗くなっていく。

 春花の目に涙がたまってるのがかろうじて見える。

 意識が遠のいていく。

 どうやら俺はもう死ぬらしい。

 不思議と恐怖はない。

 特に生きる理由もなかったことだし、怖がる理由もない

 なんだか眠くなってきた。

 これが「死ぬ」と言うかんかくなのだろうか

 それにしてもつまんない人生だったな。

 くぐもった声ももう聞こえなくなった。

 はあ、もっと楽しくいきたかったな。

 最後にそう思いながら、俺は目を閉じた。



 ===



 もしあなたがほっするのならあなたにもう一度生を与えよう


 これは私からの慈悲と、謝罪


 わたしの手で人生を狂わされたあなたに、異なる世界でもう一度……



 ===



 「―― ――、――?」

 「―― ――」


 目が覚めると、目の前に一組の男女がいた。

 何か話してたようだが、すぐに俺の方を見てきた。

 女の方は燃えるような赤い髪をしていて、年齢は二十代といったところだろうか。

 顔立ちは整っていて、美女と言っても差支えないだろう。

 男の方は金髪と茶髪の間を取ったような髪の色で、年齢は女の方より少し上といったところだろう。

 こっちは女と違って、服の上からでも鍛えてるのがわかる。

 痩せマッチョと言うものか?

 

 「――、――」

 「――、―――、―」

 

 何か話しているようだがまるで理解できない。

 それにしても何語だ?聞いたこともないぞ。

 ていうか誰?知らんぞこんな人。

 それにここどこ?さっきまで事故現場にいたはずだよな。

 そもそも俺死んだはずだよな。

 ああ!もうなにが何だかわからん!

 

 俺が一人で悩んでると、赤い髪女性が俺を抱え上げた。

 正確には俺を抱えてた人から受け取っただが。

 それにしても近くで見ると一層美人だよな、胸も大きいし……

 いや、ちょっと待て!

 俺は太ってはいないが、女性に軽々と抱えられるほどではないぞ。

 それによく考えたらいろいろおかしいぞ。

 そもそもなぜおれはこいつに抱えられているんだ?

 

 んん……いろいろと混乱し始めたぞ。

 こういう時はとりあえず落ち着くんだ。

 スゥ―…………ハァ―……

 よしもう大丈夫だ。

 大丈夫なはずだ。

 大丈夫だよな……

 まあいい、とりあえず話してみよう。

 もしかしたら通じるかもしれない。


 「ああ……、うう……」

 

 意を決して聞こうと思ったら、変な声が漏れた。

 いや、別に緊張で変になったわけではない。

 ただ単に発音・・できなかった。

 

 いったいどういうことかと気分を見てみると……

 赤ん坊のような体がそこにあった。


 え、これはいったいどういう……

 

 この時俺はやっと悟った。

 いや途中からうす気がついてはいたが、無意識のうちに排除していた。

 

 転生、それがおれの頭に浮かんだ言葉だった。

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