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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第二章 公式機体コンペ
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第93話 ミーティング


「わたし、復活!」

 さっそくコンペイベ参加メンバーを召集してログインしたさゆ……リムは、揃ったメンバーを前に仁王立ちで胸を張りながらそう告げた。

「おー」

「あはは」

「……」

「よっ! 大統領!」

「はあ……」

 メンバーそれぞれが、それぞれな反応をしながらも、パチパチとまばらに拍手した。


 そんなメンバーたちを見回し、ひとつうなずいたリムは椅子に座り直しながら口を開いた。

「ではさっそく、公式コンペ及びお邪魔イベ対策ミーティング始めるます。おおまかには聞いているけど、確認の意味も込めて聞いていくから」

 リムの宣言に、参加メンバーであるアレクとリリィ、アヤメにリアノンとアサクラが首肯した。

「まずは、コンペの模擬戦闘はどうなったの? アレクくん」

「はい。問題なく勝てました。事前の指示通り、遠距離から近距離までまんべんなく戦いましたけど良かったんですか?」

「結構偵察多かったよね?」

 不安げなアレクの返事に、リリィがうなずきながら補足する。が、リムは安心させるように微笑みながらうなずいた。

「ええ、問題無しよアレクくん、リリィちゃん。模擬戦闘では機体の性能をしっかり見せないと評価にならないからね。全距離での参考にならないと模擬戦闘試験の意味が無いし。だからこそ、他プレイヤーの偵察も多くなるのよ」

 リムの説明に新人ふたりは納得したようにうなずいた。

 とはいえ、偵察が多かったのは、例の緊急ミッションのせいもあるだろうとリムは考えている。

 あの戦闘を見学していたプレイヤーはそれなりに居たはずだ。

 そこから噂となって広まり、リムのサンダーボルトゼクスを偵察しようと言うコンペ参加者は、少なくない数が居るはずだ。

 となれば、サンダーボルトゼクスの性能はかなり解析されている可能性が高い。

 コンペ参加者は基本的にメックスミスプレイヤーだから、リムのように性能解析出来るのが当たり前と言っても良い。

 その上で全距離での戦闘もまんべんなく行っているのだから、戦闘能力はかなり知られてしまっているだろう。

 ゆえに後半期間のリーグ戦では対策を取られる事が前提となる。

「まあ大丈夫でしょ。サンダーボルトゼクスは重量級汎用機に近いから」

 サンダーボルトゼクスは、基本的に遠距離志向の重量級機体ではあるが、接近戦を軽視しているわけではない。

 ある程度は接近戦、白兵戦もこなせ、機動戦もそこそこ出来るだけの機動力はあるのだ。

 明確な弱点は無いに等しい。

 とはいえ、機動力に難があることははっきりしているのだから、そこを衝かれることはほぼ確定している。

 ならば、そこをしっかり対策すれば良い。

 リムにそう言われ、アレクとリリィは感心したようにうなずいた。

「なるほど~」

「準備は万端なんですね!」

「まあね。inできなかった分しっかりとオプション装備設計したからね」

 キラキラと目を輝かせるふたりに、リムは胸を張って見せた。

 しかし、アサクラはジト目である。

「おまえ、ゲーム禁止されてる間そんなことしてたのかよ。おばさんに……」

「そういえば数学の小テストがあるのよね」

「……なんでもない」

 リムの一言に、アサクラは明後日の方を見ながら呟いた。

 リムは気にした様子も無くアヤメみる。

「それで、傭兵ギルドの方は?」

 リムの問いにアヤメは頷いてから口を開いた。

「いくつか気になる依頼はあったな。F&Nからのものと、ハーキュリーズからのものがいくつかだな。どれもここしばらくの間に増えた依頼らしい」

「どんな依頼なんだ?」

 アサクラの問いに、アヤメは投影パネルを呼び出してスクショらしき画像を映し出した。

 傭兵向けの依頼画面だ。

「……F&NはVIP護衛依頼と輸送護衛依頼。そして襲撃任務だ。ハーキュリーズは新型武装テストと遺跡調査チーム護衛だな」

「新型武装!」

 リムが瞳を輝かせながら声を挙げた。

 その姿にアサクラやリアノンは小さく苦笑いする。

 しかし、アレクやリリィ、アヤメは慣れてないので困惑気味だ。

 そも、綺麗な衣服や可愛い小物などより、武器や機械に反応するのは年頃の娘としていかがなものだろうか?

 まあリムらしいといえばそれまでだが、リムに対して淡い想いを抱いていた少年からしたら複雑であろう。

 もっとも、そんなリムだからこそ彼は幼馴染みの少女を助け出すことが出来たのだし、その少女もリムへと敵がい心を向けずに済んでいるわけだが。

 ともあれ、アヤメは軽く咳払いをしてリムの注意を戻し、分かっている範囲でこれらの依頼内容を説明していく。

「VIP護衛はF&NCEO帰還の護衛だ。一旦出国して途中で合流。その後こちらに戻ってくる事になる。輸送任務は国境警備基地への物資輸送チームの護衛、襲撃任務はこの輸送に対する陽動と言う話だ。ハーキュリーズの方は旧文明遺跡の調査チームの護衛。新型兵器はハーキュリーズの試験場で試用するという内容だな。これらは傭兵向け依頼だが、企業所属でも受けられると特記されていた。普段の依頼ならまず無いから、これらが今回のイベントに関係あると思われる」

 アヤメがそう締め括るとリムは頷いた。

「新型兵器は気になるけど、今回のイベントに一番関係ありそうなのはVIPの護衛ね。新型兵器は気になるけど!」

 大事なことだから二回言いましたとばかりに強調するリム。

「うちらで受けた方が良いんじゃないか?」

「そうねい。あたしの拾ってきた情報だと、遺跡調査も怪しいけどねえ」

 しかしアサクラとリアノンは慣れたものであっさりスルーしていた。

 その反応に、リムは下くちびるを突き出して不満そうにする。

「……じゃあ、手分けして全部受けるんですか?」

 そんなリムを気にしながらアレクがそう訊ねると、リアノンは首を振った。

「重要度高そうなミッションを厳選して受けた方が良いよん。戦力分散は良くないからねい」

「チームメンバー以外に振るのはどうです?」

 リリィがそう言うと、リムは思案気な顔になる。

「……たぶん出来なくはないと思うけど、よほど信頼できる相手じゃないとね。私たちに公開されてないところで別口の依頼されて邪魔されるパターンもあるから」

 MetallicSoulのメインストーリーには、そんな話もあったりする。

「頼むんならランランやレオン辺りね。マリアも同じ側だろうから手分け出来るかもしれないけど……」

 彼女がどの程度把握しているかは未知数だ。

 今回のイベントに対しては組んではいるが、基本的に百パーセント信用しているわけではない。

 それは向こうも同じだろう。

「まあその辺りも含めて話し合った方が良いわね」

 リムはそう言うと、ウインドウを開いてマリアへとメールを投げた。

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