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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第二章 公式機体コンペ
83/98

第78話 公式コンペ二日目。


 明けて二日目。


 前日に機動戦試験、通称タイムアタックを通過したプレイヤーの機体は、続いて防護性能試験を受けられる。

 これはアリーナに配置された攻撃兵器群からの猛攻に、全く反撃せずに生き残って見せるという、一風変わった試験だ。

 誘導ミサイルランチャーを満載したグランドウォーカー十体からの飽和攻撃や、ガトリングガン装備のトーチカ二十基からの十字砲火に対して、如何に被ダメージを抑えられるかが問われる。

 ある意味、機体の生存能力とライダーの腕前が試される試験だ。

 とはいえ。

「サバイバビリティを重視してるうちのサンボルゼクスが落ちるわけ無いのよね」

 リムのサンダーボルトゼクスは余裕で突破していた。

 重量級ならではの重防御に、それを生かせるアレクの腕前があれば、そうそうは撃墜はされないはずだとリムは計算している。

 事実、試験終了時のサンダーボルトゼクスの被ダメは、全体耐久の一割以下という高い防護性能を見せて試験通過している。

 逆に軽量級や、軽装甲タイプのGSにとってはこの試験は鬼門だ。

 最小限の被弾であっても防御能力の低さゆえに、機体が大ダメージを受けてしまう事がままあるためだ。

 そのため、作りの甘い軽量高機動型機体は大体ここで引っ掛かる。

 ライダーの腕前だけで強引に突破することも不可能ではないが、それこそトップランカークラスの腕前が必要になる。

 必然的に、冷やかしや宣伝のためだけに参加しているようなメンツは、ここでふるい落とされることになる。

 それを突破したリム達はライバルたちの動向を再確認していた。

 前日の時点で確認していた要注意機体はおおむね突破していた。

 たくじのキャバリアや、烈のイプシロンは危なげなくクリアーしていた。

 一方でライダーとしての技量に問題のあるアヤは、機体に可動シールドを装備し、ハンドガンでミサイルを撃ち落とし続けるという、ある意味神業を披露しながらなんとかギリギリ通過していた。

 そして、アーカード。

 今公式コンペ優勝候補筆頭とも言えるメックスミスの機体、“クロスセイバー”は、サーコートを身にまとった白銀の騎士のような出で立ちの機体だ。

 両手で保持しなければならない大型レーザーソードEX-03Cエクスカリバーをメイン装備とし、大型の肩部アーマーとシールド、フロントカウルアーマーによって防御力を補っている。

 金額がバカ高いエクスカリバーこそCグレードの低品質品だが、その高い攻撃力は健在だ。

 また、実体刀身からホログラムレーザーエッジを展開させる仕様ゆえに、その刀身自体を盾として扱えるように出来ている。

 そして、フロントカウルアーマーに大口径マシンガンポッドが二基据え付けられている辺り、これまでの反省点が活かされた機体となっていると言えよう。

 単武装白兵特化機として登場した第一回大会では、徹底的に距離を執られ、第二回大会では決して壊れやすいわけではないエクスカリバーを五回も折られたのだ。

 対策はするだろう。

 それでも飛び道具が最小限な辺り、アーカードのこだわりが見える。

 MetallicSoul内ではこだわりもなく効率重視で組むことが流行った時期もあったが、無個性化が進んで面白味にかけていた。

 結局、効率重視機体は廃れ、自らのこだわりを表しつつ実用性のある機体を模索するメックスミスが増えた。

 やはり機体作成にこだわりをもって個性を光らせることが、作成の自由度が高いこのゲームならではと言えるだろう。



 そして、前日にチェックできなかったマリアの機体。



 重量級二脚格闘機体“サウルス”。



 昨日はマリアはリムに突っかかる前に試験を通過していたらしく、アレクたちが録画した映像データにはその姿がなかったのだが、この防護試験でそのダークグリーンの機体をリムは目にすることが出来た。

 太くがっしりした四角柱の脚。

 それに載せられたような腰部と、小さめの箱で左右から大きな箱を挟んだような胴部。

 さらに胴部と遜色無いほど大きな両肩部と、殴るためにあつらえたかのような鋼鉄のミトン型ハンドマニュピレーター。

 大きくアギトを開いた頭が、単眼カメラを上下からくわえ込む。

 重量級機体のお手本のようなその偉容は、まさにリムのサンダーボルトゼクスのライバルと云うべきか。

 胴体左右の箱形モジュールに組み込まれたミサイル迎撃システムと重装甲で誘導ミサイルを防ぎきり、ガトリングガンの十字砲火を弾きながら前進する。

 なにより。

「……速い」

 リムが驚くほどに前進する速度が速かった。

 さりとて既存機体のような複数のスラスター推力による加速ではなく。

 無限軌道による走行。

 脛の両脇に据え付けられた装甲化キャタピラダッシャーシステム。

 これによるスライダー移動能力は、メックスミス娘の想像以上の機動性を見せつけていた。

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