第68話 TBZX
アヤメの刀を修復し終わった次の日。
「……さて、と」
軽く息を吐いて、リムはいくつもの投影画面を空中に表示した。
表示されるのは、GSを構成する各部パーツだ。
それぞれに特殊な設計を施し、さらに無駄を省き、コストを下げるようにブラッシュアップしたものだ。
それはリムのメックスミス生活の集大成とも言える機体だ。
彼女の愛機サンダーボルトのノウハウを詰め込み、さらに量産化前提で再設計した機体。
その名も、サンダーボルトゼクス。
五度にわたる再設計の末にリムが納得できた六番目の機体。
故にゼクス《6》と付けた。
基本的にはサンダーボルトと同じく、防御生存性を重視した重量級機体で、装甲と火力に傾注している。
コンペの参加要項によりレア素材を使うことは出来ないが、それでも並のレディメイド機より優れた耐久性を発揮できるようにリムは設計した。
操縦席のある胴体はフロートシート兼用のアームドメイルを納めるために大型化し、正面には大きく張り出すように装甲カバーを取り付ける。このアーマーは、軽量化も兼ねて中空のスペースドアーマーとなっていた。
背面にはデフォルト武装のガトリングカノンを右に、ミサイルポッドを左に備えた自動給弾機能付きの装甲バックパックが取り付けられている。
このバックパックは中の弾薬が誘爆する事に備えて、爆圧が外に向かい安いように構造が工夫されており、さらにパージもしやすいよう余計な機能は搭載していない。
小振りの頭部にはラインアイのある装甲ゴーグルが取り付けられ、センサー類を保護している。
両腕は格闘機のように盾にもなる大型の肩部アーマー持つ、太めの重量腕で、耐久力は高い。マニュピレーターも耐久力のある太い指のものを備えており、武装をしっかり保持している。
その手に持つのはカートリッジ式のビームバズーカランチャーだ。
右手で保持したその大型武器は、リムが苦心して0から作り上げた武器だ。
ロケット弾の弾頭部分に、ホログラフィックビームパイルを生成する機能を取り付け、着弾と同時に長さ六メートル、太さ二メートルの極太ビームパイルを立体展開してGSの装甲を融解、その胴体に風穴を開けるという極悪兵器だ。
高機能弾のため、誘導ミサイル弾並に高価だが、必殺を期するには良い兵器だ。
また、通常のロケット弾を射ち出す事も可能なので、普通にバズーカランチャーとしても使用できる。
これらの兵装の起動に必要なエネルギーは低く押さえられており、サンダーボルトゼクスの胴体に積み込まれるジェネレーターは、市販のレディメイド品だ。それでも出力に余裕はある。
その余裕分を、つぎ込んだのがフローティングムーブ用のホバリングジェットスラスタを内包した下半身ユニットだ。
独特の設計思想により大型化した重量級の下半身は、両足と腰に標準装備されたスラスタのおかげでフローター移動時の機動性はなかなか高くなっている。
その下半身の構造は、間接部にモーター類を使用しないモノだ。
膝から下のフレームを大型リニアシリンダーとし、膝間接や大腿部間接にモーターやピンを使用せず、フレーム端の球体部を受け皿で受け止める。
また大腿部と膝下を別のリニアシリンダーで繋ぎ、これによって稼働させる仕組みになっている。
リニアシリンダーは油圧シリンダーのような構造を電磁力で再現したもので、電力を大きく必要とするものだ。
サンダーボルトゼクスでは、他の装備類の必要電力を押さえており、その分をこれに回している。
このリニアシリンダーによって、機体は下半身全体が磁力によって浮かばされており、荷重の問題に対応している。
また、足部ヴァリアブルバランサーも構造を見直し、足首の稼働に合わせて接地面が変化するようになっている。
これらの構造を守るように、膝下部分は、要塞のような装甲シールドを取り付けられており、サンダーボルトゼクスは下に行くほど太さに拍車がかかった機体になっていた。
これに大型の肩アーマーまであるのだから、その迫力は重量級にふさわしいものだ。
さらに左手に保持する大型シールドは、先のギルドベース攻略戦でリムが愛機に持たせた耐爆シールドをベースに機能を限定、低コスト化を図ったものであり、サンダーボルトゼクスの大きな機体を守るにふさわしい方盾となっていた。
まさに要塞のような機体であった。
無論、細々としたところで構造の簡略化、低コスト化が図られてはいる。
しかしそれでもなお、量産機前提でこれだけの重防御機体はなかなか無いだろう。
無論、欠点もある。
その構造上、歩行や走行移動能力が低く、電磁場が強く出るため、電子機器は保護を優先したものとなり、電子能力は低く、ステルス性も低い。
また、大型の機体は投影面積の広さに直結するため、被弾率の高さにも繋がる。
さらに武装の大半が実体弾系で、総弾数が少ないものが多い。
したがって、攻撃を受けやすく継戦能力に不安が出やすいという弱点を持っていると言える。
だが、その生存能力の高さは大きな魅力だろう。
「……うん。もう少し調整しよう」
設計図をチェックしていたリムは、ひとつうなずくとさらに設計をブラッシュアップし始めた。
わりと妄想機体のはず。
リニアシリンダーとかね?
ビル免震機構と油圧シリンダーからの発想だったんですが、ほんとに出来るかは不明。
膝間接も金属同士が完全に密着してるわけではなくて、間に緩衝材挟んでる感じです。
人間の膝間接なんかだと、衝撃によって気化し、また液化するという体液があるらしいです。ちとうろ覚えぎみですが。
まあ、リアリティ追求しているわけではないですから良いかーって感じです。
詳しい人の突っ込みはむしろプリーズ!
色々聞きたいっ!




