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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第二章 公式機体コンペ
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第67話 ユニーククエスト


 固有クエスト。


 それは、特定の条件を満たしたキャラクターだけが受けることの出来るクエストである。

 しかも、同一サーバー内ではただひとりのキャラクターだけしか受けられないという特殊なクエストだ。

 MetallicSoulのサーバーは現在四つなので、トータルで四人しか受けられない事になる。

 また条件も運営から公開されていないため、情報はほとんど無いというクエストだ。

 ネット内であがる情報もガセが多く、その存在すら疑われている。

 事実として、ベータからやり込んでいるリムですら見かけたこともないのだ。

 それを。

「……まさか私がやることになるなんてね」

 クエスト内容に目を通し、リムはぼやいた。

 クエストの内容は題名そのまま、刀鍛冶の見習いになるというものだ。

 しかもチェーン《連鎖》クエストらしくクエスト情報にCマークが入っている。

 もしかすると、見習いから刀鍛冶にランクアップできるのかもしれない。

「……すっごく魅力的だけど……」

 リムは最初のクエスト目標を見て、困ったように息を吐いた。

 そこには、



“秋津諸島の伝承に謳われる伝説の刀匠を探し出せ”0/3



 とあった。


 つまり、共和国とは大陸を挟んで反対側にある秋津諸島連合国家まで行かなければならない。

「……気軽に進められるクエストじゃないね」


「秋津まで行くとなりゃ、リアルに日数がかかるしな」

 リムに話を聞いていたサイゾーがあごを撫でながら呟いた。

 MetallicSoulのマップはかなり広い。しかも各企業国家が対立しているため、公的な輸送機関が国境で途切れていることも珍しくない。

 領空を横切れば民間機でも撃墜されかねないし、海上も戦闘艦艇によって封鎖されている。

 進むとすれば陸路。

 それも企業国家の影響力の低い不毛の荒れ地……テロリストやバンデッド、野生化した生物兵器や暴走兵器の跳梁跋扈する無法地帯を行かねばならないだろう。


 距離的にもかなり有り、リムがゲームにinできる時間と、仮にベースキャリアを私有しての移動能力から計算しても、毎日inしてすらリアルに一週間以上はかかるはずだ。

 しかも、それだけの期間ゲーム内ではほぼ無補給で進むことになるはずであり、そのための準備も必要になる。

「……すぐにはクリア出来そうに無いかなあ」

 残念そうに呟くリム。

 直近で公式コンペに参加する予定もある。

 店の事もあるし、長々と遠征するのも難しいし、なにより秋津に入国できるかもわからない。

「たどり着いても入れなかったらどうしようもないし……」

 それでも、刀鍛冶という新しい作成系統の入手はリムのような生産系プレイヤーには魅力的だ。

 メックスミス娘は、眉根を寄せて思案する。

 と。

「……固有クエストなら達成期限は無いだろう。とりあえず受諾しておいて、十分準備してからかかれば良いのではないか?」

 横から声を掛けてきたのはアヤメだ。

 リムは項目をチェックして「ほんとだ。期日が無いや」と呟きながら受諾のYを押していた。

 期日が無いことを確認し、反射的に押したようだ。

 そんなリムの躊躇の無さに、サイゾー達は苦笑した。

「ま、今は公式コンペに全力を尽くしゃあ良いだろ。機体の設計は終わってるのか?」

 サイゾーに問われ、リムはそちらを振り向きながらニヤリと笑った。

「まあね。なかなか悪くないデキだと思うわよ?」

 自慢げに言うリムに、サイゾーの目が興味深げに細まり、那由多も身を乗り出した。

 ふたりとも奇矯な性格ではあるが、生産系の端くれ。

 完全新規設計の機体は気になるようだ。一方でアヤメもどんな機体なのか気になるようで、リムの方をうかがっていた。

 だが、リムはイジの悪そうな顔になって笑みを浮かべた。

「だーめ。設計図は見せないよ。どっから漏れるか解らないしね」

 そう告げられて三人は残念そうにするが、リムの言い分も理解できるのであっさり引き下がった。

 そして、刀作りを経験したメックスミス娘は、自作GSの作成に向けて動き始めた。

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