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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第48話 しかして顕わる


 獅子の咆哮が、浮遊戦車の巨体を抉り砕いた。

 浮遊戦車がグラリと揺れて、地面に胴体を擦らせる。

『やったか?』

『ちょっ?! それフラグ……!?』

 アサクラの訝しげな声に、リムがツッコミを入れた。

 爆発音と金属がぶつかる音が響き、跳ね飛んだ破片がリムのサンダーボルトの近くまで転がってきた。

『……っ?!』


 その破片は、黄金の頭部だった。


 息を呑んだリムが浮遊戦車を睨む。

 その視線の先で、金色の巨体がぐらりと傾き、浮遊戦車の上から地面に落ちた。

『レオンさんっ?!』

 派手な落下音に、思わずアレクが叫ぶ。

 それに答えず、リムは浮遊戦車の中枢部分から顔を覗かせている巨大な円筒を注視していた。

『……ち、そういやGSごと乗り込めるんだったな』

 アサクラが舌打ちしながらぼやく。

 それに応えるように、浮遊戦車の装甲を砕きながら一体のGSが姿を現した。

『……やってくれたじゃねーか。高ぇんだぞ? 浮遊戦車コレ

 スピーカーから響いてくるシュベールの声には怒気が混じっていた。

 新人二人はそれに気圧されるように息を呑んだが、アサクラとランティーナは受け流しながら機体を構えさせた。

『てめえらっ! 潰してやるぜっ!』

『上等!』

 雄叫びをあげたシュベールに、アサクラが応じて機体を滑らせた。




「……ボディベースはスレッジハンマー……。脚部はスレイダーⅡ。腕はグラディエーター……」

 一方リムは、サンダーボルトのダメージを応急的に処置しながらシュベールの機体を看破していた。

 複数種のパーツを組み合わせたハイブリット機だ。

 表示されている機体名は“デンジャラスハンマー”。シュベールのレベルは97だが、スキル構成がわからないためレベルだけで強さは判断できない。

 機体を構成するスレッジハンマーのボディはウォーハンマーの上位種で、瞬間的な出力に優れている。

 脚部に使用されているのは、軽量高機動型のスレイダーⅡ。

 二脚でのスライダー移動を追求した機体だ。

 そして両腕。

 使用されているのは格闘戦特化機体グラディエーターの腕部だ。

 どれも合衆連邦の上位機体だ。

 見た限りの武装は

右腕にパニッシャーハンマーを装備し、右肩に小型ミサイルランチャー。

 左腕と頭部は溶けたように喪失していた。

 サンダーボルトの砲撃か、ゴルディレオンのハウリングインフェルノで失ったのだろう。

 内蔵機体は厳重に守られているはずだが、それすら貫くほどの攻撃力だったということだ。

 そのため、シュベールはアサクラに接近戦を挑んでいた。

 しかし、双方の得物、機体状態には大きな差がある。

 シュベールのデンジャラスハンマーも中破レベルのダメージを受けてはいるが、アサクラのブラッドストームは動けているのが不思議なほどボロボロだ。

 おまけに武器はSMGに取り付けてあったコンバットナイフ一本たけしかない。

 デンジャラスハンマーの右腕を覆うように装備された巨大な籠手のような武装、パニッシャーハンマーはパイルバンカーの鈍器版と言える武器で、炸薬でハンマーを叩きつけるという豪快な武器だ。

 おそらくゴルディレオンの頭部を吹っ飛ばしたのはこの武器だろう。

「……機動性と防御力のバランスをとった強襲接近戦仕様機ってところね」

 だいたいのデータを把握したリムは、応急処置の終わったサンダーボルトを立たせた。とはいってもドロイドを呼び寄せて修理したわけではなく、あくまでだまし運転しているような状態だ。

「……まともに戦闘なんて出来そうに無いわね……」

 そうぼやきながら、リムはデンジャラスハンマーを見据えた。

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