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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第43話 平常運転ちう


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      『えっ?』




 リムの叫びにアヤメのみならず、アレクやリリィ、シュベールまでもがぽかんとなった。

『まあリムだしなあ』

『ですねえ』

『いつもの事だよん』

『ふむ、ゴルディの装甲もオリエンタル風に……』

 一方、リムを昔から知るメンバーは毎度の事らしく驚きはなかった。

 そして我らがメックスミスは周りのそんな反応を、特に気にした様子もなかった。

 この娘、筋金入りである。

『……あー、とにかく潰れてくれや』

 気を削がれたらしいシュベールはそう言うと、小型砲座と主砲を放ちながら前進し始めた。

 対してアサクラのブラッドストームとランティーナのアラクネアは浮遊戦車の右手へ、アレクのブルーナイトとリリィのボクサーは左手へと走る。

 共に機体はボロボロだ。

 ブラッドストームはミフネとの戦闘で受けた被害に、左腕脱落と左足装甲全損が追加されていた。

 アラクネアは右前足と右腕を失っている。

 ブルーナイトはひしゃげている盾を装備している左腕が持ち上がらなくなったようで、力無く揺れていた。

 ボクサーは盾の役目を果たす両肩のアーマーがラウンドスラスターごと破壊されていた。

 リアノンの乗るパープルキッスは胴体部の一部に左腕と頭部を失っており、狙撃を断念して戦場に急行中だ。

 ゴルディレオンはさすがにゴルドニウム等というレア装甲で全身を覆っているせいか、ブラットサイス戦で分離した左腕が無いくらいで、他に目立った被害は無い。とはいえその輝く装甲は曇り、へこみやヒビだらけになっていた。

 そしてリムのサンダーボルトは、モスグリーンの装甲のほとんどがひしゃげてしまい、頭部のセンサーゴーグルも半分脱落していた。

「……関節部ダメージ、フレームダメージともにレッドとイエローの間くらい。サブセンサーは全滅か。装甲は完全におしゃかね」

 真っ赤に照らされたコクピットで、ダメージレポートをチェックしながらリムは呟く。

 モニターへ視線を走らせ、浮遊戦車と戦闘を開始した仲間を見る。

「……にしても浮遊戦車かあ……鹵獲したいなあ……」

 訂正、浮遊戦車の偉容に妄想がブーストされているようだ。

 ちなみに浮遊戦車の鹵獲は実装されていない。

『おいっ!』

 と、声が掛かりリムはおや? っとなった。

 モニターを見れば、機体の足元に小さな影。

 ショーグン型の女性ライダーがこちらを見上げていた。

『なに?』

 外部スピーカーで返すと、女性は「大丈夫かっ?」と、大きな声で問うてきた。

『大丈夫と言えば大丈夫よ。この機体は頑丈さならピカ一だから』

 リムはスピーカーで答えた。

 それを聞いて女性ライダーは安堵したように「そうか」と漏らす。

 双方向通信であったなら、リムの納まっているコクピットのモニターというモニターが真っ赤なのが見てとれたはずだが、今はスピーカーとマイクしか介していない。

 リム自身裏切られたばかりの人間に、余計な心労を掛けるつもりはなかった。

 一方、アヤメはモスグリーンの重量級機体のライダーからとりあえず大丈夫だと答えを得られてわずかに安堵した。

 だが、浮遊戦車を相手にしている五機のGSが苦戦する様子を見て眉根を寄せた。

 もはやシュベールに味方をするつもりはなかったが、このクエストが終わるまでは、アヤメはシュベールに雇われた傭兵のままだ。

 出来ることは少ない。

 せいぜいがシュベールが劣勢になろうとも加勢せずに静観し続けるくらいが関の山である。

「……なんと不甲斐ない……」

 アヤメは唇を噛んだ。

 金に困っていたとはいえ、シュベールの性質を見抜けずに、雇われていたなど、彼女にとっては恥以外の何ものでもない。

 だとしても、今から攻略側へ寝返ることも約束ごとに厳しい自身の性格上出来そうもない。

 アヤメは臍を噛む思いで戦いの行方を見守った。

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