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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第41話 刃の行く先



 …………ォオン。



 遠雷が響く。


 そして空に光が舞い、銀の煌めきを散らしながら白銀が回転しながら落下して、コンクリートの地面に突き立った。


 それは、刀の刀身だった。


 ミフネとブラッドストームの応酬に反応できていなかったリムが、ハッとなった。

「アサクラ君っ?!」

 あわてるように機体を向けたリムの視界に、刀を振りきったミフネとその刃の軌道に居たブラッドストームの姿が映った。

 真っ二つになるはずだったブラッドストームは健在だった。

 そして、ミフネが手にした刀は刀身が半分ほど失われていた。

「はあぁぁ……」

 アサクラの機体が無事なことに、リムは深く安堵の息を吐いた。

『……なんとか当たったねい』

 そこに聞こえてきたのはリアノンの声だった。

「リア? 今のひょっとして……?」

『うむん。狙撃で刀を折ってみたよん。いやあ、うまくいくとは思わなかったけどねえ……』

 谷の上に片膝を着いた紫色の機体を見つけてリムはズームアップした。

 リアノンの機体、ブラックナイトスナイパーカスタム“パープルキッス”だ。

 共和国製主力機のブラックナイトを狙撃仕様にカスタマイズしたシンプルな機体だ。

 手にした88㎜GS狙撃砲でミフネの刀を狙撃したのだろう。

「……ほんとは?」

『コクピット狙いがずれて刀に当たった』

「……だと思った」

 ただの偶然だったようだ。

 一瞬の間をおいて、ブラッドストームがバックステップでミフネから距離を取った。

『さんきゅーリアノン。助かった』

 そう言いながらも、アサクラはミフネから目を放せなかった。

 わずかでも逸らせば次の瞬間には両断されかねない。

 そう思えるだけのものが、ミフネからは感じられたのだ。

 しかし。

『お?』

『え?』

『なんで?』

『……』

 ミフネは追撃してこなかった。それどころか、片膝を着いて頭を下げ、折れた刀を地面に置いていた。

 そんなミフネの姿に、リムたちは戸惑った。

 そこで、武者型GSのスピーカーから声が流れてきた。

『私の負けだ。武士の魂を折られてはな』

 その言葉に一同は機体を見合わせた。

『えっと、降伏って事で良いのかしら?』

『ああ』

 代表して訊ねたリムに、ミフネのライダーであるアヤメはコクピットハッチを開けて機体を降り、両手をあげた。

「降伏する。受け入れてもらえれば助かる」

 アヤメがそう言うと、リムはアレクの方を見た。

 この救出クエストのリーダーはアレクだ。

 降伏を受け入れるかの判断は彼がするべきだろう。

 それがリムの考えだ。

 そんなリムの視線を受けて、アレクはアヤメの方へと機体の頭を向けた。

『分かりました。降伏を受け入れます』

 それを聞いてアヤメは小さく笑みを浮かべた。

 そうなってやっと空気が弛緩する。

 が。

『……一息吐いてるとこ悪いけどねい。まだ終わってないよん』

 リアノンからの通信に、その場のメンバーがハッとなった。

 そして、その場に金色の塊が吹っ飛ばされて滑ってきた。

 それを追うように、アラクネアがジグザグ滑走しながら後退してくる。

『クズ男っ?! ランラン?』

『気を付けたまえっ! 厄介なのが現れた!』

 レオンが抗弁を忘れてまで警告してきた。

 もっとも、それがなくとも皆が緊張に身を固くした。

 視界に巨大な黒い影が入ってきたからだ。


 ずんぐりした卵型ボディが三つ並んだような巨体が、半浮遊しながらゆっくり前進してくる。

 真ん中の卵からは太くて長い砲身が伸び、大きな装甲コンテナがふたつ、脇に設置されている。その卵の先端下側には、レーダーポッドを備えたガトリングガン。

 そして、左右の一回り小さい卵には、短砲身の単装砲塔が二つずつ。

 まるで要塞のようなその機体の偉容に、リムたちは息を飲んだ。

『……拠点防衛用GS浮遊戦車……チャリオット使い……!』

 リムは思わず呻くように声を漏らした。

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