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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第40話 交錯する刃


『そっちなんですかっ?!』

『そっちなのっ?!』

『待て、ミフネは私の機体だ!』

『……ちょっとくらい心配してほしいなあ』

 ツッコむアレクとリリィ。

 そして抗議の声をあげるアヤメである。

 ちなみにブラッドストームの背中が煤けていた……。

 だがそんな四人に対してリムは堪えた様子はなかった。

「当たり前でしょ! ショーグンよショーグン! 秋津のレアクラス機体なんて、パーツ一点すら共和国までまず流れてこないんだからっ!」

『確かにショーグンは秋津の旗騎と言って良い機体だしな。この機体を所持しているプレイヤーは秋津でも二桁しかいなかったはずだ』

 リムの言葉にアヤメが補足を入れると、メカフェチ娘はほらみろと言わんばかりに乗機の胸を張った。

 その様子に、リリィはなんとなくホッとした。

 まず間違いなくリムはアレクの好みから外れていると感じたからだ。

 と、そこでハッとなる。

「……わたし、なんで安心したんだろ?」

 コクピット内で薄い胸元を押さえて、リリィは首をかしげた。

 いっぽうそうしている間にも、アヤメのミフネとアサクラのブラッドストームは切り結んでいた。

 残った一本のサブアームと両手のSMGを駆使して猛烈な連撃を繰り出す。しかし、残った右腕一本で刀を握った鎧武者は、苦もなく打ち払っていく。


 その技量の高さに、アサクラは舌を巻いていた。

「……っきしょーめっ! ランカー級はランカー級でも、トップランカー級かよっ!」

 悪態を着きながらアサクラは踏み込んで刺突。アヤメは機体を半身にしてそれを躱しつつ、伸びきった腕を断ち切らんとした。

 その瞬間を狙い、脇から覗いたSMGが火を噴いた。

 だが、それを見抜いていたかのように、ミフネが半歩脇にずれて射線から逃げる。

 そのためブラッドストームの腕は健在となった。

 息を吐く暇も無く、ミフネが雷神の踏み込みを見せた。

 ぞわりとしたおぞけに震える暇も無く、アサクラはブラッドストームの緊急ブースタボタンに拳を叩きつけていた。

 腰の装甲カバーが跳ね上がって、顔を覗かせたスラスタが火を噴いた。

 一瞬で五十メートルは距離を取る。だが、まだそこはミフネの距離だ。

『……フッ!』

 スピーカーから漏れ聞こえるほどの鋭い呼気と共に、ミフネがさらに踏み込んできた。

 アサクラは素早く機体の左足を引かせて半身となり、その斬撃を避ける。

 刹那。

 ミフネが無理矢理右足を踏み出して強引にブレーキングしながら上体を捻った。

 跳ねた刃がブラッドストームを襲う。

 反射的に膝を曲げ、機体が沈み込む。

 銀光がブラッドストームの頭を通過した。

 頭部パーツがスライスされて頭の上半分が消失した。

 それを代償に、ブラッドストームは背後へ倒れるようにしながら両足を突っ張った。

 大地が蹴られ、赤と黒で彩られた機体が大きく飛び退いた。そのまま三丁のSMGが火を噴いて、ミフネを襲う。

 ろくに狙いもつけていないそれは、命中を期待したものではなく、追撃妨害のための射撃だった。

 しかし、ミフネは襲い来る弾丸の雨に対し、半身になりながら刀をまっ直ぐ立てつつ前進する。

 SMGは反動によって弾が散りやすい。

 ミフネは半身になって被弾率を下げ、刀を盾にする事で弾丸の雨の脅威を最小限にしたのだ。

『いいいっ?!』

 これにはアサクラも目を剥いた。

 そのわずかな隙は、この鎧武者に対して致命的だ。

 全身から深く踏み込んで、刃を切り上げる。

 その斬閃を、両手のSMGのコンバットナイフを交差させて受け止めるブラッドストーム。

 ほとんど奇跡に等しい反応だ。

 だが、強烈な斬撃に対して、レディメイドのコンバットナイフはあまりに脆かった。

 半瞬持ちこたえた二本の短剣は、あっさり切断されて要を成さなくなった。

 さらに踏み出して、振り上がった刃を武者が振り下ろす。

 それはブラッドストームを両断する軌跡だった。

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