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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第39話 リベンジ完了


『やった……』

 ウォーハンマーが動かなくなったのを見て、アレクは深く息を吐いてシートにもたれた。

 そこへリリィのボクサーが歩み寄った。

『お疲れさま、アレク』

「……うん、リリィ。リリィこそ大変だったんじゃない? 脱獄クエスト」

「まったくだわ。スニーキングゲームは得意じゃないってのに」

『あはは……』

 ぼやくリリィにアレクは苦笑した。

「はあ。……けど、リアノンさんがサポートに来てくれて本当に助かったわ」

 深く息を吐いてリリィは呟いた。

 事実、リアノンが来なければ脱獄は失敗していた可能性が高かった。

 なんとかサブハンガーまでたどり着いたリリィは、警備のNPC兵士に見つかり、捕まりそうになったところでリアノンがヴィークル形態のアームドメイルで乱入してきたのだ。

 武装した兵士は十人以上いたのだが、強化外装甲冑でも着込んでいない限り、アームドメイルに勝つことなど不可能だ。

 アームドメイルを変形させたリアノンは、たちまちの内に兵士たちを制圧してしまい、リリィと脱出したのだ。

「って、あれ? リアノンさんは?」

 リリィの話を聞いていたアレクは、近くにリアノンの姿がないことに気付いて訊ねる。

 するとリリィは指を顎に当てながら答えた。

「自分の機体取りに行くって。クエストは最後まで気が抜けないからって……」

 リリィのその言葉で、アレクはまだクエストが完了していない事に思い至った。

 まだ完全に脱出したわけではない。

 救出対象のリリィをベースに連れ帰ってはじめて完了となるのだ。

 アレクは気持ちを入れ換えて状況を確認しようとした。

 と、そこへ。

『無事に脱出できたみたいね?』

 リムのサンダーボルトがやって来た。

 アレクはそれに答えようと機体を振り向かせて、ぎょっとなった。

 リムのサンダーボルトが、撃破されたアーチャーとアイアンキャンサーの足を両手に一つずつもって引きずってきたからだ。

 これにはリリィも言葉がなかった。

『リ、リムさん? それは……?』

「ん?」

 ブルーナイトが恐る恐る指差す様子に、リムは首をかしげた。

 が、すぐに得心がいったようで、ああ、と大きくうなずいた。

 サンダーボルトが無造作に右腕をあげると、アーチャーであった残骸がずるりとぶら下がった。

『戦利品だよ。あとで剥ぎ取って分解するんだ♪』

 楽しげに言うリムに、アレクは絶句した。

 NPC機体と違って、PC機体は捕虜と同じく鹵獲出来る。

 本来なら鹵獲機は所属国家の企業政府に買い取ってもらう事になるのだが、リムのようなメックスミスは機体を部品単位でバラしてしまえる。

 このなかから使い物になら無いジャンクを処分し、使えるパーツは製作に使用するのだ。

 他国機固有の部品はなかなか使い道がないが、代用可能なパーツはそれなりにある。

 特に機体製作したいプレイヤーにとっては、他国機はまるまるレアアイテムと言って良い。

 リムもご多分に漏れずそれを狙っているわけだ。

 ちなみに、捕虜はとっていない。

 手続きが面倒だからだ。

 また、機体を奪われたプレイヤーは機体の完全評価額を支払うことでまったく同じ機体を入手できる。

 とはいえ、そこまで余裕があるかは個々人の経済状況による。

「あとはショーグンが鹵獲できたら最高だよねえ……♪」

 表情を蕩けさせて呟くリム。

 画像付き通信がアレクの機体と繋がっていることを失念しているのか、えへえへと薄ら笑いを浮かべ、十代女子がしてはいけない顔になっている。

 と、甲高い金属音が響いて、影が上空から降ってきた。

 コンクリートの地面に叩きつけられて跳ねたそれは、細いサブアームとコンバットナイフを取り付けたSMGだ。

 それが飛んできた方向を見やって、リムは大きく目を見開いて息を飲んだ。

 そこには、サブアーム三本を失い、機体装甲を切り刻まれたアサクラのブラッドストームと、左腕を失ったショーグン……アヤメのミフネがいたからだ。

『アサクラさんっ?!』

 その状況にアレクは信じられない面持ちで声をあげた。

 リリィも声を失い、立ち尽くす。

 そして。

『いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああっっっっ?!?!?!?! 私のショーグンがぁぁああっっ!?!?』

 リムのあげた悲鳴のような声に、その場に居た全員がずっこけた。

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