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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第35話 激戦


 バズーカの弾丸がブルーナイトの胴体を捉え、爆発した。

『へっ!』

 ウォーハンマーのライダーは溜飲を下げたのか笑みをこぼす。

 が。

『!? んだあっ?!』

 爆炎の中から先端が二つに別れた盾の先が飛び出してきて、ウォーハンマーの右バズーカ挟み込んだ。

『チィッ!』

 舌打ちしながら左のバズーカをブルーナイトに向けるが、一瞬早くアサルトライフルが突き出された。

 銃身下部からナイフが飛び出して銃剣バヨネットとなったそれは、ウォーハンマーの左腕の付け根に突き刺さる。

『うあぁぁぁああっ!』

 アレクは叫びながらトリガーを引いた。

 刃が刺さって固定された銃口は狙いを外すこと無く、ウォーハンマーの肩関節に72㎜弾を連続で叩き込み、あっという間にこれを砕き折った。

『ちきしょーめっ!』

 ウォーハンマーは残った右バズーカをなんとか取り戻そうとするが、盾の裏面からコンバットナイフが飛び出てバズーカを串刺しにした。

 ウォーハンマーはたまらずバズーカを手放して後退する。

 それを追撃せんとブルーナイトは素早く立ち上がった。

 見れば青い胸装甲は完全に脱落しており、コクピットの装甲カバーもひしゃげていた。

『どんだけ装甲積みやがった!』

 ウォーハンマーはジグザグに滑走しながら後ろへ下がり、胴体のトランクから予備の武器を取り出していた。

 リボルバー拳銃のようなそれは、徹甲榴弾を撃ち出すグレネードガンだ。

 片腕を失ってバランスが狂いながらもフローティングムーブで滑走しながらグレネードガンを撃つウォーハンマー。

 対してブルーナイトは盾を機体正面に掲げたままジグザグ滑走で追いすがる。破裂音が響いてアサルトライフルが弾丸を三発セットで吐き出す。


 ブルーナイトの周囲で爆発が起き、ウォーハンマーの機体に72㎜弾が命中した。

『くぅ!』

『チッ!』

 爆風が青い機体を舐め、弾丸が片腕のGSを抉る。

 ブルーナイトはフロントアーマーを失い、装甲キャノピーもダメになっている。

 ゆえにコクピットはひび割れた正面モニターのあるハッチだけで守られている形だ。

 まかり間違ってここに一撃もらえば、ライダー戦死でデッドエンドである。

 一方でウォーハンマーの方も余裕はない。

 武装はほとんど失ってしまい、片腕ももがれてしまっている。

 機体のバランスも狂ってしまったため、普段のような機動は出来なくなっている。

 重量軽減効果があるとはいえ、腕一本分のカウンターウェイトが無くなってしまえば、機体の安定性は大きく損なわれるのだ。

 二機はちょっとした膠着状態となっていた。





 そこから離れた場所では、鎧武者のGSと、六腕のGSが切り結んでいた。

『ええいっ! どうやって操っている!』

『企業秘密だ!』

 背中から伸びる二腕と両脇から覗く二腕。

 それらが突き、薙ぎ、切り、射つ。

 アヤメのミフネは、その連続攻撃をたった一本の刀で捌いていく。

 その隙を狙って右手のSMGが突き出されるが、これを柄先で打ち、左手のSMGが発砲するのを右肩の盾で受ける。脇の下から頭を狙った射撃をスウェーで避け、上から降ってきた斬撃を頭突きで逸らす。

『なんとっ?!』

『そこだ!』

 連撃を捌ききられて怯んだアサクラの隙を、アヤメは見逃さない。

 地を這うほどに低い姿勢となって踏み込んできたミフネからの剣気に、SMGに取り付けたコンバットナイフで受けようとしていたアサクラは、強い悪寒を感じて大きく飛び退いた。

 銀光が飛び立つ燕のごとき速さでブラッドストームの胸部を薙いだ。

 ほとんど直感で、アサクラはすばやく機体に右足を引かせた。左半身になった機体の前を、空から襲いかかる隼のような斬撃が過ぎる。

 そこでアサクラは両腕を交差させながらバックステップした。

 跳ね上がった斬閃が、ブラッドストームを両断せんと閃いた。

 ほとんど反射で避けたアサクラだったが、ブラッドストームの左腕には深い刀傷が出来ていた。

「……ダメージレポート、左手は……ダメだな。それから胴体に傷が入ってやがるか」

 口に出しながら状況を噛み締める。

 思った以上の手練れ。状況は良くない。

 にも関わらず、アサクラの眼は爛々と輝き、口許には笑みが浮かんでいた。

 一方のアヤメもダメージチェックをしながら、微笑んでいた。

「……飛燕三連をあそこまでしのぐとは……」

 自分の流派の技の数々をモーションサンプリングして機体動作に組み込んでいたアヤメは、バーチャルとはいえそれがどこまで通用するのか見たかった。

 「飛燕三連」は、二段目まで対処したプレイヤーは居たが、最後までしのいだ者は居なかった。


『面白い!』


 奇しくも二人のメックライダーは、同じものを抱いていた。

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