表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
32/98

第31話 敵GS部隊


『おい、珍しい機体がいるぜ?』

『ほんとだ。共和国のストレンジインセクトのボディじゃん』

『彼氏君はネタ機体プレイヤーでも集めてきたんかね?』

『まあここには一機しか来てねえみたいだし、囲んでボコるか』

「……」

 小隊チャット通信を聞きながらアヤメは顔をしかめた。


 分かっていたことだが、この連中には正々堂々などという言葉はないようだ。

 無論、勝つために全力を尽くすのは当然だろう。誰だって負けたくはない。

 それでもやはり、アヤメは堂々と、誰に恥じること無い戦いをしたい。

 たかがゲーム。

 されど、ゲームだからこそだ。

 だが。

「……個人の感傷だな」

 アヤメは頭を振る。

 今の自分は傭兵だ。

 個人的な思いはあれども雇われている以上は雇い主の意向に従うべき。

 生真面目ゆえにアヤメはそう自戒する。

『よーへーのねーちゃんは回り込んで逃がさないようにしてくれよ』

「……承知した」

 アヤメはモヤモヤしたものを胸の奥に抱えながらも、指示に従った。




「……戦闘、激しくなってきたな」

 慌てるように走るNPC兵士をやり過ごしながら、リリィは格納庫を目指していた。

 スパイから得た情報を頼りに、なるべく手薄な通路を選んで来たのだが、さすがに兵士が増えてきている。


 捕まれば元の部屋に戻されてしまい、やり直しになるので、出来れば見つからずに済ませたい。

「……!」

 立ち止まり、周囲を見回す兵士にリリィは息を潜めた。

 たまにこういう兵士が出現するので油断は禁物だ。

 兵士は二回ほどまわりを見回すと、再び走り始めた。

 どうやら無事やり過ごせたようだ。

 リリィは息を吐いてふたたび進み始めた。




 一方、アームドメイルを二輪車に変形させて走らせるリアノンは、リリィと合流すべくサブハンガーへと向かっていた。

 直線距離ならあっという間にたどり着けるはずだが、途中で頻繁にNPC兵士の集団に遭遇したりするのでなかなか進めないでいた。


 今もまた、アサルトライフルを持った十人ほどの兵士と装甲車が行く手を遮ろうとしている。ランティーナに援護を頼もうにも、彼女は今有人GSと無人GS計七体ものGSと対峙している。

 とてもではないがこちらを援護する余裕はないだろう。

 となれば。

「自分で切り抜けるっきゃ無いねい♪」

 そう言ってリアノンはハンドルを操作した。

 彼女のまたがる大型二輪車のフロントカウルと後輪が左右に別れ、シート部が下がる。

 そのままカウルが持ち上がり、左右に展開して伸び腕となる。

 シート部分も下がりながら展開して二本の足に。

 前輪がその足の間を潜って背中に回り後輪の間に挟まり、バックパックを形成。

 腕部に腕を通し、脚部の内側に足がセットされる。

 強化外骨格エグゾスケルトンタイプのパワードメイルとなる。

 後輪外側にセットされていた30ミリ対物ライフルを引き抜いて、モードをスナイプからアサルトへ切り替え即座に発砲。装甲車のボディに穴が開き直後に爆発して火柱が立ち上がった。

「うむん。絶好調だねい♪」

 リアノンはもうひとつ、予備にセットしてあったアサルトライフルも引き抜いて、バックパックから圧搾空気を噴射させてホバリング移動で駆け抜けながら連射した。

 兵士らは薙ぎ払われるように倒れていく。

「さて、目指すはサブハンガー。いくよん♪」

 リアノンはNPC守備隊を蹴散らしながら目的地を目指した。




 そのころ、三機の無人型GS相手に立ち回ることになったアサクラは。

「……やっぱ弱いな」

 一瞬で三機を撃破していた。

 三機の攻撃をすり抜けてど真ん中に入り込んだアサクラのブラッドストームは、六丁のSMGを前後左右に向けて乱射しながら機体を切り刻んだのだ。

『相変わらずねえ』

 と、通信が入りブラッドストームが振り向くと、モスグリーンの重装甲機が近づいてきていた。

 リムだ。

「なんだ、援護してくれりゃあ良かったのに」

『無人機相手にアサクラ君が負けるわけ無いでしょ? 弾の無駄』

 アサクラの言葉に、リムはつっけんどんに返す。

『それより奥に向かいましょ? ランランのところに七機くらい居るわ』

「……おいおい、何機無人機持ってんだよこのギルド」

 あきれたように呟くアサクラ。

 無人機一機の配備にも功績値がかなりかかるはずだ。

『無人機の上限は十機だからね。限界まで居る可能性はあるわよ? 急ぎましょ』

 リムに促されて、アサクラは機体をひるがえした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ