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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第16話 新機体の武器作成

「ほ、ほんとですかっ?!」

「う、うんまあ……乗り掛かった船だしね」

 喜色を露にするアレクに、リムはしまったと顔をひきつらせながら頷いた。

 もともとミッションに関わるつもりはなかったにも関わらず、情にほだされて申し出てしまった自分のチョロさに内心頭を抱えてしまう。

「あー、でもあんまり期待しないでよ? 私、メックスミスだからグラウンドスライダー戦闘は苦手だし」

「そ、それでもっ! あ、ありがとうございますっ!」

 自分のパイロットとしての腕前を考えて苦笑いしながらリムが言うが、アレクは感極まったように半泣きでお礼を言ってきた。

 もはや断る事はできないだろう。

「……はあ」

 やってしまったものは仕方ない。リムは嘆息してから小さく苦笑した。

 やるからには真面目に取り組むべきだろう。

 とはいえ、今は彼の機体だ。

 これをしっかり仕上げるのがメックスミスとしての彼女の矜持でもある。

「とりあえずこれでひとりです! 後四人!」

 興奮気味なアレクの言葉にリムは少しだけ不安になった。

 ヘタすれば自分とアレクの二人で攻略となりかねない。

「……いや、リアノンにも責任とってもらおう」

 アレク君にここを教えたのはあいつだし。

 リムはひとりうなずきながらごちた。




 次の日。アレクの機体調整を前日の内に済ませたリムは、彼の機体の武装を組んでいた。

 日数的にはギリギリだが、予算内で出来るだけ良いものを提供したい。

 リムのメックスミスとしての信条である。

 もっとも……。

「……制限内での性能を追求するのって楽しいわよね~♪」

 リムは嬉々として作業に励んでいた。

 機械を弄ることに至上の喜びを見いだす辺り、彼女は立派なHENTAIである。

「……アサルトライフルはRA-47のCタイプをベースにして……」

 RA-47C「グラシャボラス」は、リムやアレクの所属する国のGS用主力砲だ。

 口径72ミリの高速徹甲弾をばら蒔ける強力な火砲だ。

 重量級機体の厚い装甲には厳しいが、標準クラスであれば特殊鋼でも無い限り撃ち抜くのは容易いだろう。

 マガジンは銃身上部に、前方へカーブを描く形をして装着されており、そこに三十六発の砲弾が収まっている。

 センサースコープは銃身上部にあるが、グラウンドスライダーが覗き込む必要はないためかなり小型だ。

 銃身下部には120ミリ滑控砲が取り付けられている。

 砲身は短めだが、立派な大口径火器で威力はある。

 弾種は徹甲爆裂弾。装甲を貫通した直後に爆発することで内部構造にダメージを与えられる。

 装弾数はたった三発だが、決定的な局面で使えば一発でグラウンドスライダーを行動不能にできる可能性のある武器だ。

 切り札として有用だろう。

 また、銃本体の右側面側には軽量の追加装甲を取り付ける。

 これは散弾や榴弾のような広範囲を薙ぎ払う攻撃対策だ。

 機体に比べ武器……特に銃器は破損しやすい。それを狙って行われる広域を巻き込むような攻撃は、威力は低く機体へのダメージは小さいが、レーダーやセンサーを含む外部装備類の破壊を狙いやすいのだ。

 RA-47Cは比較的頑丈で整備性が高い主力砲だが、それでも被害を受ければ不具合を発生する可能性が高い。

 リムは少しでもそれを防げればと防御鋼板を取り付けたのだ。

 そして機体の左手に装備するのは楯だ。

 楯は防御装備として優秀だが、攻撃時の邪魔になることも多い。

 特に防御効果の高い大型の楯は嵩張るし、重量もあり取り回ししづらい。

 もともとグリーンナイトとセットになっている楯はこの大型楯だ。

 機体の大半を隠せるため、特に関節部を守るのに重宝する。

 また、この楯の構え方や姿勢によってはグラウンドスライダーの機体をほとんど防御しながら移動もできる。

 全面投影面積が広く、攻撃を受けやすいとされる人型機動兵器だが、どうしてどうしてこの姿勢変更によって大分被弾率を下げることが出来た。

 なにより、グラウンドスライダーのスライディングムーブは、機体の姿勢に左右されない。

 操作は難しいが、しゃがんだ姿勢のままでも滑るような高い機動力を発揮出来るのだ。

 グラウンドスライダーが戦車などに対して優勢を発揮できる理由の一つがこれだ。

 さらに大きな楯を持てば、得意なレンジに来るまでの被撃墜率も小さくなる。

 フレキシブルな姿勢変更能力は人型兵器の大きな利点だ。

 リムが作成中のアレクの機体は、姿勢変更能力も高い。

 また、各間接やセンサーに対しての防御策も徹底しているため、大きな楯は必要ないだろう。

 有効な装備とはいえ、やはり大きさから来る重量の問題は無視できないからだ。

 なのでリムは楯を中型のものに変更した。

 それも完全に自作の楯だ。

 使い捨て前提で安い鋼板を使用し、安く仕上げる。

 とはいっても、単純な鉄板ではなく、熱蒸散する繊維シートを薄い鋼板でサンドイッチしたものだ。

 繊維シート事態の効果はそれほど大きくはないが、装甲貫徹を妨げ、熱エネルギー攻撃を吸収蒸散することで軽減してくれるようになっている。

 また、楯の先端部分は二本の衝角を生成し、格闘戦に使用可能とする。

 出来れば楯の裏に武装を施したりなどしたいところだが、無い袖は振れない。

 諦めて機体に装備させた。

 両手に装備を施したことで左右の重量バランスによる安定性の補正が決まる。

 これは重量差がなければ無いほど良くなる。

 これも踏まえて、少女メックスミスは機体を仕上げにかかった。

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