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ロボゲー世界のMechSmith  作者: GAU
第一章 鈍色の魂持つ者の誇り
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第12話 Gジェネレーター製作


 ジェネレーター製作。


 MetallicSoulにおいて、メックスミスの醍醐味ともいえるグラウンドスライダー製作の、もっとも難しく、もっともハマる生産行動だ。

 ジェネレーターの最大出力や瞬間出力、エネルギープール量や発熱量、ジェネレーターカバー強度、耐熱シェルの能力、冷却性能など項目が多く、内部部品点数も多い。

 しかも単純に組み上げれば良いわけではなく、部品同士の相性、干渉によってその部品、そして他の部品のパフォーマンスが上下する。

 この部品同士の組み合わせは複雑なパズルみたいなものであり、どのように影響を与え合うのかは運営側は発表しておらず、有志による試行錯誤と数々の失敗の結晶が攻略サイトにデータベース化されて挙げられている。

 このデーターベースが完成するまでに消費された資材の数々は、総額数十G(ギガ→十億)にも上ると言われている。

 なぜそんな額に達するかと言えば、ジェネレーター製作に使用した部品は再利用できないからだ。

 ジェネレーター製作自体はスキルが低くても百パーセント成功するようにはなっている。だがその性能が後から気に入らなくなっても、ジェネレーターを分解して作り直す事は出来ない。

 唯一ジェネレーターコアのみが取り外し可能なのだが、他の部品は十中八九使用不可能なクズ鉄になってしまう。

 入手が難しいジェネレーターコアが失われないのは良いが、製作に充てた資材の数々は再利用不可能なのだ。

 そのせいもあって、スキルによるパフォーマンス予測機能はジェネレーター製作に必須とも言えるものになっている。

 この予測機能はとても優秀で、少なくともリムの知る限り予測を外した性能のジェネレーターが完成したことはない。

 だが、そのジェネレーターが真に完成したかは、使ってみた感触で判断するしかない。

 そう。

 完成したジェネレーターが成功作か失敗作かを判断するのはプレイヤー自身なのだ。


 例えば大出力のジェネレーターを組んだとしよう。

 その大出力を背景とした重装機体は強力かもしれない。

 だが、各種装備使用によるエネルギー消費が激しくなり、プール出来る量が見合ったものでなければ、すぐに戦闘に支障をきたすだろう。

 不必要にプール量が大きくとも、ジェネレーター出力が低ければ消費したエネルギーの再チャージに時間が掛かってしまう。

 また、出力だけに注力すると、ジェネレーターの発熱量が高まりすぎ、破損の危険性が高まる。

 破損によりジェネレーターが爆発するようなことはないが、ジェネレーター機能が停止し、機体が行動不能に陥る事になる。

 戦闘中にそうなったら、もう撃破されるだけだろう。

 このようにジェネレーターは各パラメーターのバランスも非常に重要で、製作に際しては作り手のメックスミスとしての経験と勘、そしてセンスが問われる。

 ゆえに、ジェネレーター製作が出来てこそ、一流のメックスミスと言われるのだ。

「……アレク君の特性を生かすなら、特化ジェネレーターじゃあなくて高い性能のバランス型ジェネレーターよね……」

 リムは、アレクの戦闘ログを再度チェックしながら、製作する機体のイメージ。そして、その心臓となるジェネレーターのイメージを固める。

 これがブレてしまうと、中途半端なジェネレーターになってしまう事が多い。

「ジェネレーターフレームは十三型……ううん十四型Bにしましょう。外装はブルメタルの一体成型で、耐熱カバーはランプレンとブルメタルの合金。ランプレン鉱とブルメタル鉱の精製をお願いね」

 材料を吟味しつつファクトリードロイド達に指示を出す。

 それを受けたドロイド達はガレージ内を走り回り素材を運んだり、重機を動かしたりしている。

「……ランプレン鉱石とブルメタル鉱石の配合は3対1で」

 指示を出しながら、リムはシミュレーター上でパーツを配していく。

 パーツ点数が多くなったり、大型のパーツを組み込んだりすれば重量が増える。

 リムは機体のパフォーマンスを低下させない範囲で重量の上限を設定し、組み込むパーツを選定していく。

「……ミドルバッテリー二個並列組み、制御CPUは正副の二台。冷却ファンは重量を圧迫しちゃうな……ヒートシンク《放熱器》の数も抑え目……発熱量が上がりすぎちゃうか。冷却水も厳しいし……強制排熱ユニット載せよう。発熱量は高すぎず低すぎず……コンデンサーとブースターも載せて……ああ、ブースターが重い。えーい、思いきってヒートシンク増やそう! ……ダメだ結局重くなる。バッテリーは一基にしてコンデンサーと連動させて……」

 ぶつぶつ呟きながら仮想パーツをフレームに組み込み、そのパフォーマンスを吟味する。

 シミュレーター上とはいえ、正解の無いパズルを組み上げるに没頭し、リムの夜は更けていった。

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