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間幕 《★Arrange(手紙)》

 冬休みが明けてから数日経った。しかし、未だに朝は体が重く、体温が上がらない。目覚まし時計の音は頭にガンガン響くし……お酒は飲んだことはない。

 そんな外で鳴く小鳥のですら鬱陶しく感じる時だ。


「涼子、早く起きなさい!」


 相も、変わらず、声で、うるさく、起こしてくる、母親。……はぁ、眠いが、起きるしかない。そう思いながら、嫌がる体を無理矢理起こした

 そういえば私の寝室だが、その部屋は、私も高校生だ、自分の部屋。そしてその部屋は二階にある。そこで私は寝ているが――実を言うと佐竹君も二階で寝ている。もちろん別室、家に偶然あった空き部屋に布団を敷いてだ。

 ただ、本来佐竹君は、以前自分自身で紙に書いて私に教えてくれたことがあったが、寝る必要がないらしい。まず眠くならないらしいが――便宜上横になっているだけらしい。私の親への配慮の為に。

 一方リビングは一階にある。だから、階段下から毎朝毎朝……これはこれで幸せなのだけど。


「そうだ、涼子!」


 また、母親が階段下から私に向かって叫んでいる。今度は一体何だというのか。


「何、お母さん!」


「あんた宛の手紙が届いているよ! 差出人は……『横道』、だって」


 横道!? あの白衣姿の変人から一体何の手紙があるというのか。そもそも、なぜ住所が、直接届けたというのならどうして家の場所を知っているというのか? 

 とにかく、下に降りよう。時間もないし。




 八分で支度を済ませた後、横道からの謎の手紙を、いや、正確には封筒を見る。その封筒は綺麗に封がしてあるが、その表面は非常に汚らしい。しかも元々の色が黒や薄茶色とかそんなんじゃなく、真っ白。文字の汚さがそれを助長した。

 そんな封筒の中身。

 手紙は二枚あった。文字は予想通り。まあ一応、いや辛うじて文字は読めるが――それよりもボールペンで書かれているから余計に気になる。


 ――訂正箇所がある方を出すなよ。


 案外おっちょこちょいなのかもしれない、横道は。

 とりあえず、手紙を読むことにした。







(一枚目)([ ]内の文字は手紙内での訂正箇所)

針宮 涼子様

 初春の候、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 ってなんでこんなこと書かないといけないのだろうかねえ。堅苦しいこと嫌いだから普段の調子で書くね。

 さて、この手紙を出した理由だが[池(→他)]でもない。以前説明した「シュバリエ」という現象についてだが、恐らく涼子君は内容を理解していないだろう。別に君が[バカ(→馬鹿)]だと[思っているのは事実→(   )]かそういうわけではない。私自身の目から見ても、余りにも内容が多すぎて、一回聞いただけで理解できるとは到底思えない、そう思ったからだ。故に涼子君に説明した箇所を私なりにまとめてみた。

 ところで前は言わなかったが、私はこの「シュバリエ」という研究を私的に行っている。資金はわけあって山のようにあるのだが、[遺憾せん→如何せん]この研究を全国で行っている者が少ない。そのために私が全国を色々飛び回っている。故に研究所には必ずしもいるわけではないから、私に会いたい時は連絡してくれ。電話番号は別に記しておく。

 今時自分の研究所なんておかしい? 確かにそうかもしれないが、そこが家なのだから、別に問題は無いだろう。とにかく[Welcame→(Welcome)]!


追伸 二枚目についてだが、前回説明し忘れた内容も含んでいる。文の最後に「(付)」があるものです。







(二枚目)

 「定義」

死んだ雄の個体が愛する雌の個体の死の危機に対し、動き、身を呈して護ること。


「要因」

① 雄と雌がお互いに愛し合っていること。

② 死の直前に騎士物質ナイトマターと呼ばれる物質を体内に宿していること。

③ 雄の個体の死後七日以内に自らが外的要因で死の危機に晒されること。

④ その雄の体内に雌の血が僅かでも入っていること。

※尚、①と②の条件を満たせば、③、④は原則勝手に満たされるようである。


「シュバリエ化した者の性質(シュバリエ化した者→A,護られる者→Bと今後は記述する)」

[1] Bを護るためにAの身体能力は格段に上昇する。

[2] Aは傷つけられたり、バラバラにされたりしても、すぐに元通りになる。

[3] Bの死の危機に対し、Aはどれほど離れていてもBの半径1m以内に現れる。

[4] BはAに触れている間傷を癒すことができる。但しAが成り立ての時に限る。(付)

[5] 元は死んでいるため、Bを護るため以外の器官は、大部分が活動しない。

[6] 但し時が経つにつれて使うことのできる器官は存在する。(Ex.声帯)

[7] また、それ以外の器官について、Aは生前と変わりなく活動することもできる。

[8] ■■■……(文字が黒く塗りつぶされていて読めない)



「Bについての性質」

[1] Bが外的要因による死の恐れは、一般に一日に二回の頻度に跳ね上がる。

[2] Bが他者による原因で傷つけられる、又はその恐れのある攻撃を受けた時、Aはその行為を行った者及び関与したと思われる者達を徹底的に排除する。

[3] ■■■……(ここも文字が黒く塗りつぶされていて読めない)







 成程、確かに分かりやすい。前の横道の説明が何だったのかと聞きたくなるぐらいだ。でもこの文面、妙に含みのあることが書かれていたような……そんな気がしてたまらない。しかし今は気にしないことにしよう。

 とりあえずもう時間がない。着くのは登校チャイムが鳴る時間ギリギリか? だから詳しく見るのは今日の夜にまた読むことにしよう。さあ、カバンを持って、靴を履いて……。


(プルルルル……)


 そんな時だ。胸元のポケットに入れた携帯電話が鳴った。

 誰からか? その電話の相手は『杉下絵美』。私のクラスの学級委員であり、学校の友人の一人。校内でも随一の成績を誇る一方で、男女分け隔てなく接することのできる人。正によくあるアニメやラノベのヒロインないしは主人公といえる存在だ。

 しかしなぜこの時間に電話を? とにかく時間がない。耳に携帯を当てつつ学校まで走って行った。

 自転車? いや、違う。その足でだ。自転車は……いや、自転車が、ない。しかも探してみれば鍵もない。多分……今頃学校に到着しているのかもしれない。

 だから、だ。……遠い。


ひとまずこれで休憩。亀のように遅い投稿ペース。

一ヶ月後を目指すか………。

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