友情の割れた鏡
割れた鏡は縁起が悪いという話も良く聞くが、自分はそうは思わない。
男同士の友情が、80歳を超すまで続くというのは、珍しくはないだろうが、その証拠があるというのは、珍しいだろう。
それが、手元にずっと置いている、割れた鏡だ。
高校の頃の話、掃除をしていた時に、自分は友人と遊んでいた。
それがダメだった。
箒を振り回していると、それが教室の後ろに飾っていた鏡にぶつかった。
衝撃でそれは床へと落ち、砕け散る。
破片は思いもかけない方向、自分と友人の方向へと飛び散ってきて、それぞれがけがをした。
どうしてここまで強く破片が飛んできたかは、もう分からない。
だが、その破片は自分たちの腕に直撃した。
制服を着ていたと言っても、とがった針のようなものが来たのだ。
それで防げるようなものではない。
二人仲良く腕に包帯を巻かれて教室へ戻ってきたのは、10分後だ。
その時には、教室の中での掃除も終わっていたが、あとでキツイ先生からの説教が待っていた。
だけど、自分達は、その破片を保険の先生からもらって、ずっと大切にしてきた。
こんな時代も自分にあったんだということを忘れないために。
ずっとずっと、この友情が壊れないように。