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Long time no see  作者: azusa
第2章‐暗殺者ギルド
17/21

5話‐恩義

更新が遅れてしまい、誠に申し訳ありません。

自分のPCが逝去しました……orz


今はネカフェから更新しております。

本当に、申し訳ないです……orz

自分は、極平凡な大学生だ。

性格は日本人のステレオタイプ。

日常といえば、朝目覚めて大学に通い、好きな歴史学を学び、本格的に迫る就活に戦々恐々とし、夕方帰宅してからすぐにバイトに行って生活費を稼いで、深夜に眠る。



夢を見ていた。

いつもの、当たり前の、ずっとは続かなくとも、しばらくは続くであろう大学生活の日々の夢。


そして田舎の夢。

実家に健在な、両親と祖父母。弟と妹。

帰る度に変わっていく故郷の風景と、変わらない家族の暖かさ。



どこで変わってしまったのだろう。



夢の中だというのに、意識があった。明晰夢というやつだろうか。

訳も分からずにこの世界に引っ張り込まれてからこれまで、薄情なことに。

郷愁とやらに苛まれた日は無かった。

漠然と「いつか帰れるだろう」という思いがあったからだ。



ああ、頭が痛い。



このまま、ずっと夢の中にいたい。



目覚めたら、僕は変わってしまう。

わかってしまう。

何かしらの力が自分にあると知った。

だから、我を通すために他人を傷付け、殺すことさえ躊躇わなくなる自分になるという確信。

それがわかった。わかっていた。




――――でも、変わらざるをえないんだろうな。




日本人のステレオタイプな僕には譲れないものがある。


「受けた恩は、必ず返す。」


それだけは守りたい。

それだけは貫きたい。


訳も分からずに引っ張り込まれた世界で、偶然にせよ、どんな意図があったにせよ、暖かく手を指し伸べてくれた人達がいた。

その人達を助けられなかった僕がいた。

今まで郷愁を抱かずに済んだ理由は、生き延びるのに必死だったことと、ザルツ隊長達が傍にいてくれたからだ。



忘れるな。

彼等の存在が、自分にとってどれだけ救いになったかを。



忘れるな。

皆のおかげで、僕はこうしてむざむざ森で死なずに済んだことを。



忘れるな。

見ず知らずの僕の為に、絶望的な状況でも立ち向かってくれた人の、貴さを。



目覚めろ。

自分への決着を付けに行く為に。




――――意識が、覚醒していく――――









光源の乏しい夜の執務室。

窓の外には、寝静まる都市と、天頂から傾き始めた月が見える。

揺らめく蝋燭の明かりを前に、椅子に腰掛けたバドルモアは思案に耽る。



"世界の意思"



昼間、アーニャに話した自身の考える仮想敵。



――――やってくれる。



それが、世界に害悪をもたらそうと画策する自分に、"今"という絶妙なタイミングで「予想通り」に「予想外」な情報をもたらしてくれた。



夜の帳が降りる頃に、各地に散らばっている部下の一人からギルドに届いた書簡。

彼の手に握られたそれには、晴哉の召喚に成功した魔術師・ロイハルトが、なんとバドルモアを裏切りエス・レス・カーンに亡命したと伝えているではないか。



……確かに、気まぐれで身勝手な男ではあった。

バドルモアの持ち掛けた計画に乗ってくれたのも、更なる古代帝国期の魔術の発展の為。


それ以外は知的好奇心。

異界、つまりはパラレルワールドから天文学的な確率で、古代帝国文字を習得した人間を無作為に召喚できるか否かを「確かめたかっただけ」。


結果として召喚には成功したが、その後のロイハルトにいかなる事情があったのか知る由もない。

唯一わかっている事実は、ロイハルトはバドルモア達暗殺者ギルドを裏切ってエス・レス・カーン側についたということ。



……自身の描く計画は、既に露呈してしまったか……。



――――今日という日を、バドルモアは忘れられそうにない。

かつての大戦時並に、密度の濃い一日だ。



「……久しぶりだよ、こんなに先が見えない状況は。」



思わず笑みを浮かべ、独り言を言ってしまうくらいに。




だが。




暗い室内に、僅かに一人分の質量が紛れ込んだ気配がした。

扉はもちろん開いていない。




バドルモアの笑みが深まる。

この予想だけは見通せていたからだ。



(ザン)!」



何もいない空間から発せられた声。



(ヘキ)!」



刹那、バドルモアが叫ぶ。



ギィン!!



机の前の空気が固体化し、不可視の刃を喰い止めた。

あと一秒の遅れが、バドルモアを肉片に変えていただろう。

椅子を蹴り上げるようにして、しかし無音のままに後ろに跳び下がる。



「《疾く姿を現せ》!」



バドルモアの双眸が文字通り光り、前方の空間に当たる。



バチッ!!



漏電した様な音を立て、何もなかった空間が陽炎の如く歪んだ。

透明な大気の中から、次第に色彩を帯びた影へ。


――――その影が、黒のスラックスと白のシャツを着た青年に変貌するのに、大した時間はかからなかった。



「……挨拶が過ぎるんじゃないか? 晴哉。」



笑みが止まらない。

吊り上がる口角を止められない。


久しぶりなのは、これもだった。

いつぶりだ?

自分が直に、戦うのは。

いつの間にかPV30,000超、ユニーク4,000超です、お気に入り登録100件超です!


嬉し過ぎて小説情報を二度見してしまいました。

ありがとうございます。そして、更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした。

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