表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

序章/1

最悪な事件が起きた。私、宗像絵里むなかたえりの好きな人がある日突然、姿を消してしまったんだ。

その子は私の初めての恋の相手で、真滝まだきくんといった。フルネームは、真滝慎也くん──誰にも打ち明けたことはないけれど、私は彼の名前の響きがとても好きだった。

恋する少女にとって、好きな男の子の名前は、魔法の呪文みたいに素敵なものなんだよ。それはいつの時代でも変わることのないひとつの真理だと思う。

──で。

真滝くんは勉強も運動もそれなりにできる子だったから、女子から結構人気があった。かといって、男子生徒から妬まれているわけではなかった。

……なんて言ったらいいんだろう。

私の知る真滝くんは、仏のように穏やかな面立ちをした人だった。発する言葉もどれも穏やかで、思春期特有の不安定さとか、反抗期ならではの愛想のなさとか、そういういびつな精神とはまったく無縁だった。

先に述べた通り、彼は勉強もスポーツもまんべんなくできたけれど、それをひけらかすような真似は一切しなかった。むしろ、できない子たちの面倒を進んでみていた。

親切だったんだ、とにかく。

優しいのは顔だけじゃなかったんだよ。

だから、真滝くんはクラス内でも一目置かれていた。彼を嫌っている人は、私の知る範囲ではひとりとして存在しなかった。


でも、真滝くんはいなくなってしまった。

ある日突然、神隠しにでも遭ったようにいなくなってしまったんだ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ