5年生。君と会った日。
「はぁ〜最近つまんな。」
小学5年生の私はあるゲームにハマっている。自分のワールドだけでは飽きてしまって、世界中の人が集まるサーバーにやってきたわけだ。最近はいつもどおり入って遊んでいるのだけれど、飽きが来てしまったみたいだ。前までは日本人を探してフレンドになって遊んでいたけど、さすがに毎日は居ないみたいだった。
【日本人いる〜?】
チャットの画面にそう打ち込まれた。すかさず返信する。
【は~い】
【ちょっとお城の前きて】
指定場所に向かう。そこには普通の男子というスキンの人が待っていた。
【早速だけど、フレンド交換しない?】
【いいよ】
すでに10人ぐらい居たフレンドがまた増えていく。もう、スライドしなければ全てが見えない。その人は同じ小学5年生だった。同い年ということで意気投合していると、その子と朝遊ぶ約束までできた。
【すごいね。どうやったらそんなにPVP上手くなるの?コツとかある?】
ある日、突然そう言われた。確かに、今では敵の攻撃を喰らうことなくずっとこっちが殴り続けていた。それでも最初はボロ負けだった。やっていくうちに慣れただけ。コツと言っても分からない。
【分かんない。でも自分も最初弱かったよ。ただひたすらやりまくってたら上手くなっただけ。】
【なんかもうちょっと物理的におしえてほしかった。】
【w。でも本当に分かんない。ずっとやりまくれば君も上手くなるよ。】
【そうなんかなぁ】
【そういえばさ、名前無しで呼ぶのキツイから、あぴっちゃんでいい?】
【いいよ】
この会話をしたのがきっかけなのかな。次第に仲良くなっていった。そんな中で、一つ、話題に上がったのが、
【俺、近頃YouTuberになりたいって思ってんだよね】
この言葉を聞いて、自分もYouTuberになりたいっていう一つの夢を初めて他人に打ち明けた。自分と同じだって分かって、嬉しかった。ネッ友なら、顔も分からない、声も分かんない。会って話したこともない。そんな人に打ち明けて怖くないのか?という人は大勢いる。でも、それでも、だからこそ打ち明けられると言っても過言ではない。嫌われる心配がない。会ったことがないから相手の性格も分かんない。だからこそ、気楽に話し事ができる。危ないって分かってるけど、でも信じてしまう。信じたいから。心のよりどころを見つけた気がした。
「ふう」
安堵した声が乾いた室内に響き渡る。そして今日も、ゲームに向き合う。
もうすぐ、小学6年生。