電信柱のあやとり
小さな部屋の窓から見える
私の見てきた空にはね
電信柱が立っていて
空を編むよに立っていて
雲間の光も切れ切れに
電線の間から滲み出る
鳥も休むようにとまってね
チュンチュン ピーヒョロ鳴くんだよ
電信柱が地中に埋まる街ならば
もっとお空が綺麗だろうか
だけどあの愛らしい鳥たちの姿は見られなくなるだろう
あなたとみてきた空にもね
電信柱が立っていて
両手を広げて立っていて
空を編むよに立っていて
二人の手は花のように結んだり開いたり
あやとりの糸の合間を笑ったり泣いたり
その手を伸ばすことなくなれば
世界はもっと穏やかだろうか
心にまで絡まってしまったあや糸を
わたしに解けるだろうか
空よ教えて
わたしに解いてゆけるの
切ってしまいそうになる指が震える
電信柱の鳥は秋晴れの下
チュンチュンピーヒョロと
今日もないているのに