うらめしや~
地球温暖化の影響で日中の気温が40度を越える猛暑日が続いている。
昔、私が子供の頃は7月の半ばから8月の半ばの約1カ月の辛抱だったが、十数年程前からは、梅雨時の6月の半ばから9月の半ばまで約3カ月猛暑日が続く。
会社に出かける時はまだ良い、1日で1番涼しい朝早く出かけるから。
でも帰りが辛い、クーラーが利いている駅から一歩道に出た途端、熱が籠もった空気に包まれる。
40度以上だった昼間より幾分下っているとはいえ、30度近い熱帯夜になっているからだ。
だけどここ数年それが緩和されている。
その代わり春と秋のお彼岸とお盆に、課せられた義務を果たさなければならない。
ヒュードロドロドロドロドロ
駅から家に向けて帰り道を急ぐ私を幽霊が抱きしめてくれる。
アーこれこれ。
幽霊に抱きしめられると私の周りの気温が一気に7〜8度下がる。
熱帯夜が緩和されるのは彼らのお陰。
彼らは、以前だと墓がある市町村や寺に整理されていた無縁墓の住民たち。
彼らが眠る墓を綺麗に掃除しお彼岸やお盆に墓参りする、その義務さえ果たせばそのお礼にと、このように帰宅を急ぐ私たちを涼しませてくれる。
だから義務を果たさない者の頭上には幽霊が浮かび、「うらめしや~」と呟きながら暑さにあえぐ者たちを見下ろしているのだ。