ユリーカ様から「無様ね」と言われるためだけに頑張る簡単なお仕事です
「この焼死体は状態がひどすぎて身元の判別は出来ませんが、ハウル公国の紋章が入ったペンダントを所持していたことから、恐らくオリアナ様であると思われます」
「……そう」
ユリーカは、アレほど憎んでいたはずの黒焦げの肉塊に対して興味を示さなかった。
「また、王都の大橋で発生した謎の大規模爆発は敵が持ち込んだ新型魔法爆弾のせいと思われます。何らかの問題が発生したことで、自爆したのでしょう」
「……そう。お前は伝令としてお父様に報告しにいきなさい」
「はっ、かしこまりました」
一介の兵士は命令に従い、その場から立ち去っていった。そして、ユリーカは川から引き揚げられた黒こげの焼死体を見下ろしていた。
殆ど人間の原型をとどめておらず、焦げた矢じりが大量に突き刺さっているソレに対し。
「実に無様な恰好ね。一体誰が、勝手に死んで良いだなんて命令……したのかしら、ね。うっ……うっ……」
一滴の涙が、物言わぬ名も無き焼死体の上に落ちた。
そしてその日、歴史が変わった。
本来は燃やし尽くされる側にあったのはユリーカであったが、その代わりに燃やし尽くされたのがオリアナとなった。辺境武家貴族という稀代の偉人がその日に失われたことでレムナント王国並びにハウル公国を取り巻く情勢は混沌の渦に飲みこまれることになったのだ。
平和は失われ、大陸の争いはより激化し、多くの民衆が飢えと貧困と病魔と差別に嘆く混迷の時代へと進んでいった。そんな中、新たに名を馳せた者がいる。
顔も心も醜い公爵令嬢ユリーカ。
父の崩御と共に元帥閣下の役職を襲名し、残虐非道ともいえる手を尽くし、時には畏怖の対象として後世の歴史上では語り継がれていったのだ。
どうみても元ネタはト〇イア〇グルス〇ラテ〇ーのエ〇カ様です。本当にありがとうござ(ry
なお、モブ兵士君のモデルは鉱山爆破決死部隊に志願してくれた方です。