第十四話 皇宮内の事情
転移門から海夜たちが送られたのは、皇宮内の皇族の住居である奥宮と呼ばれる場所だった。
しかし突然海夜が意識をなくすとは誰も予想できず、出迎えてくれた各方面を慌てさせたらしい。
皇宮に足を着けた途端、ぶっ倒れた人間として悪目立ちした。ありえない。
(恥ずかしすぎる……っ。わたし、この世界に来てから倒れすぎてて問題……)
なまじ頑丈だったから、貧血や眩暈など無縁で生きてきた。
だから、それらの対処すら頭から抜けていたのだ。
先ほど見舞と診察に訪れた美津里にも、到着した時に目が回っていたことを話したら呆れられ、そういう時は無理に動かずその場にしゃがんで下さいね、と今までとは違う丁寧な口調で諭された。
(すみませんでした……。でも他の人は何ともなかったのに、何でわたしだけ目が回ったの……?)
妖艶すぎる赤い精霊を思い浮かべたが、たぶん違う。そんな小さな悪戯をする存在には見えなかった。
だからきっと、海夜自身の問題なのだ。
「姫さま、お髪を整えますのでこちらへどうぞ」
目覚めた海夜に紹介されたのは、皇宮で世話をしてくれるという侍女の二人だった。
階級社会の中で権力者の身の回りの世話をする人々という理解だが、世話をされる側に自分がいるということが据わりが悪い。
“姫“なんて呼ばれることにも抵抗がある。
だがこれは頑張って受け入れるしかないのだと、皇子と虎に言い含められた。
海夜自身がどう思おうと、この国の皇家、黄花・サディルの女性は特別なのだという。
それを自覚できていなければ、周囲の人間を危険に巻き込むことになると説明された。脅しに近かった気がする。
皇家を大事に思う人間が、皇宮内には沢山存在する。
自分を軽んじることは、そういう人間たちも軽んじているのだと弁えろ、と皇子に厳しく言われた時、答えを得た気がした。
ずっと疑問だったのだ。
物語などの権力者たちが、なぜあんなに偉そうにしていられるのか。
本人の資質が疑わしくても、偉そうにしていなければ軽く見られて、その分周囲に迷惑をかけるということなのだと。
そう言ったらものすごーく微妙な顔をして、「……言いたいことはわかるが、斜め上すぎる」と皇子に言われた。
虎の肩が震えていたのが不思議だった。
偉そうになんて、演技でもできないけれど。
侍女の二人に呼ばれるまま大きなドレッサー鏡の前に座った。鏡越しの二人は、美津里に近い年齢に見える。
栗色の髪の女性が眞苑、淡い金髪の女性は白玖音と名乗った。
家名を名乗らないのは皇宮内の序列は皇家が筆頭であって、それ以外の家名に優劣をつけないため。
という、建前のせいだと皇子から聞いた。
実際には侍官共に家名が何よりも重要視されているし、その序列は激しいもので、皇子曰く「狸と狐の化かし合い」。
狸も狐もいるのね、とその時思ったことは、口には出さないでおいた。
海夜の傍に付ける人間は皇子が信用している人間を選ぶと言っていたから、この二人のことなのだろう。
一人は皇子の側近の虎の妻であり、もう一人は同じく虎の姉だと言っていたから、髪色から見ても白玖音が姉か。
(どちらも虎さんの関係者って、どれだけ信用できる人が少ないの、あの人)
あんな無表情では人は近寄りにくいから、心開ける人間も少ないということだろうか。
「まだご気分がすぐれませんか?」
鏡越しに話しかけられてハッとする。
いけない、思考に沈んでいた。
「すみません。ちょっとぼうっとしていました」
「目覚められてすぐですもの、当然ですわ。お支度は、もう少しお休み頂いてからでもよろしかったのですよ?」
「いいえ、もう大丈夫です」
この後に何かあるとは言われていないが、寝巻きでいることはできない。
そう思い着替えさせて貰ったのだが……。
「……それよりも、もう少し動き易い服はないのでしょうか……」
「お気に召しませんか?」
心配気に問うのは眞苑だ。
日本人に近い、可愛らしい面立ちに親近感が湧く。
「違います、気に入らないわけではなくて……」
裾に向かってたっぷりの布が流れる薄桃色の服は、マーメイドラインと呼ばれるガウンによく似ている。
首元はあれほど開いていないし、袖もきちんとあるにはある。……たっぷりと布を使った長い袖が。内に重ねてある薄物の布は、ご丁寧にドレープまで寄っていて、腕を振れば羽ばたけそうだった。
もしも自分が十歳若ければ、お姫さまのドレス! と喜んでいられただろう。
けれど現実をしっかり知っている自分は、裾の長いガウンがどれ程動きにくくて転び易いか、簡単に想像がつく。
しかも今は、足に怪我まで負っているのだから。
「よくお似合いですわ」
おっとりと笑顔で褒めてくれるのは白玖音。虎とよく似た髪色で、儚げな美人という印象だった。
「ご用意したお衣装の中では、そちらが一番飾りが少ない物なのです。いずれ採寸して新たにお仕立て直しますので、その時に姫さまがお気に召すデザインも考えましょう?」
「いえ、ごめんなさい! 我儘を言って!」
眞苑の“仕立てる“という言葉に、ひっと息を飲む。いついなくなるかわからない人間に、そこまでされるのは居た堪れない。
話している間に、髪がどんどん結い上がっていた。
甘い香りのするオイルを髪に擦り込まれ、念入りに梳かれた後の、二人の手技は見事だった。あっという間にコテで巻かれた髪がくりくりと編み込まれていく。飾りを挿しながら結い上がっていく髪と指の動きに見惚れる。
出来上がった鏡の中の自分を見て、別人、と他人事な感想を抱いた。
「凄い。魔法の手ですね」
「お気に召して頂けましたら光栄ですわ。少しお化粧もさせて頂いて、よろしいですか?」
「ええと、……お任せします」
とりあえずハリボテにはなれた気がするけれど、これだけの装いの中で素顔のままなのは浮くのかもしれない。
「そのままでも十分お美しくていらっしゃいますが、眉を整えて、紅を差すだけで随分変わりますわ。音に聞こえた黄花・サディルのお血筋は流石ですわね。キアリズ殿下を拝見していてもよく思います」
「音? に聞こえた?」
「貴種さまは総じて、皆さま容姿端麗でいらっしゃいますが、黄花・サディル皇家、ビアルーガ・イリンディ王家の二つの貴種王家は、その中でも美形の一族として有名です。一族の方を目にする機会は中々ございませんが、それぞれの国民にとっては誉れなのですわ」
確かに、祖母も母もご近所で評判の美形だ。
母のあまりの結婚の早さに、母の同級生の商店街のおじさま達には、顔を合わせる度に愚痴られる。
兄は兄で色々あるという話は、……まあ、あちこちから聞く。
自分に関しては恋愛観は置いておくにしても、割と小さな頃から変態さんだといわれる大人に付け回されることは多かった。
覚えていないぐらい幼い時には、誘拐騒ぎに巻き込まれたこともあったらしい。そして十八歳の今は暴漢に襲われそうになった結果、異世界なんてものに来ている。
(人生って、不思議ね)
唇に細い筆で紅を引かれながら、そんな風に考える。
「出来ましたわ。ご覧下さいませ」
くるりと丸椅子を鏡の方へ回されて、うわぁ、と思った。
鏡の中の自分に、これは上出来と驚く。
眞苑の腕に感動した。
皇女はこれですよ、と云われたらとりあえず周囲を頷かせるだけの力量はありそうだ。
でも、ときめきも一瞬だった。
勿論、綺麗にして貰って嬉しい。
けれど、着飾らされ化粧まで施されて、自分ではないみたいだと思う。
奇妙に心が冷静なのは、これが本来自分が置かれる境遇ではないと頭の片隅でわかっているから。
いつか家に帰る。
それだけの為に、この境遇を受け入れている、傲慢な自分。
申し訳なくて、侍女の二人に謝りそうになるのをグッと堪える。
「ありがとうございます。凄く、綺麗。自分じゃないみたい」
だから笑顔でお礼を言う。謝るのは心の中だけ。
(ごめんなさい。いずれ皇子の本当のお嫁さんに、同じように綺麗なお化粧をしてあげて下さい)
化粧道具を片付けながら、眞苑がうきうきと嬉しそうに言った。
「これはキアリズ殿下にも早くお見せしなくては。きっとお喜び頂けますわ」
「えぇ……」
それはない、という心の声が、つい小さく洩れた呟きに二人は首を傾げた。
「お二人にはお約束があるというお話を伺いましたが、そういうことではないのですか?」
(そういうことではないのです……。偽装結婚という約束のことなのです……。ごめんなさい)
白玖音が不思議そうに首を傾げる。
内心で謝るが、眞苑は食い気味で身を乗り出してきた。
「旧皇家の姫君と現皇家の殿下の縁組は、国民にとっては願ってもない慶事ですわ。実際、明日からはご婚礼用のご衣装の採寸が始まるご予定です」
「………………は?」
さらりと落とされた言葉に何度も瞬いた。
婚礼? 衣装?
聞き間違い?
「今、何て……?」
「ご結婚式のお衣装をお仕立てする為の採寸ですわ。さすがに本日はごゆっくりされるように、とのことですが」
……聞き間違いじゃない。聞き間違いじゃなかった……!
結婚式なんて聞いてない。
というか、偽装であっても結婚式はするのか。そうか、あの人皇子さまだった……!
今更気づいて、ざぁっと青ざめる。
「そ、それは、皇子が指示して……?」
「いいえ、國皇陛下直々のご指示ですわ」
困惑する海夜の様子に困惑する白玖音が、首を振ってさらに衝撃的なことを言った。
(國皇……っ? キアリズ皇子の父親の? 貴種の一人だという?? 政治嫌いの??? どうして……?)
密約を交わしたのはキアリズ皇子だ。皇子が動くならまだわかる。
けれど、まだ会ったこともない國皇が、どうしてこんな奇妙な指示を出すのか。
「姫さまのご存在が、元皇宮医務官長の信川里さまよりもたらされた際、皇宮内部で内密の会議が持たれたそうです。いくつかの決定事項の内の一つが、姫さまのご婚約に関してということですわ」
白玖音がおっとりと教えてくれて、信川里、という名を思い出す。
この世界で初めて目が覚めて、助けてくれた内の一人に、美津里の祖父という人がいた。彼は皇宮に縁のある人だったのか。
「私達もまだ詳細は存じませんが、もしそういうお話が具体的に進むのでしたら、お相手はキアリズ殿下が一番のご候補でしょう? こちらにいらしたばかりの方に、なんて無茶なと思いましたが、殿下との間にきちんとした意思疎通があるのでしたら、これ程喜ばしいことはございませんもの」
何も知らない眞苑は当然というように興奮気味だが、海夜は再び目が回る思いだった。
偽装結婚の話は、どうやら皇子の身内である皇宮側も知らないようだ。
当然か。
“偽装”なのだから、周囲の目を欺く為にも、裏で皇子と交わした約束は伏せられるだろう。
だがそれとは別に、海夜自身の進退を全く関係のない人々が決めようとしているらしい。
(……こ、これが権力者の世界……。庶民には全然理解できない……)
薄ら寒い心地を味わいながら、何とか笑顔を見せる。
皇子と虎に言い含められた通り、皇女としての風格とやらを保たねばと、必死に平静を装った。
引き攣っちゃう……、と感じながらも笑顔で「そうですね?」と肯定気味に首を傾げておく。
本当は、“皇子との約束は契約です、家に帰る為にここにいるから、本当に結婚はできません”と否定してしまいたい。
そもそも嘘をつくこと自体が苦手な性格だ。
ここでの生活は、思った以上に緊張するかもしれない。
笑顔を貼りつける海夜に、二人は戸惑ったように顔を見合わせた。
そうして、椅子に座る海夜の目線に合わせるようにしゃがむ。
「姫さま。会話は日本語の方がよろしいでしょうか?」
思わぬ言葉に笑顔が引っ込んだ。
ぱち、と瞬くと、眞苑の言葉を引き取って白玖音が続ける。
「可能な限り、快適にお過ごし頂くよう努めるのが私達の役目です。姫さまが我慢し易いご性格であること、その為にご体調を崩されたこと、聞き及んでおります。二度とそのような事態はないようにと、殿下から直接承りました。どうか遠慮なく、ご希望を仰って下さいませ」
「……皇子が……」
疲労を溜め込んで倒れたことは記憶に新しい。
しかも皇子の目の前で倒れたらしいことを思えば、彼がそう注意することも頷けたし、気にかけてくれる存在がこの世界にもいるということが単純に嬉しかった。
今度は作り物ではない、自然な笑顔が浮かぶのが自分でもわかる。
「……お二人は、日本語が話せるのですか?」
「行儀見習いで皇宮に上った際、同僚に日本の方がいらっしゃいました。その方々から教わりましたわ」
「私は母が日本人なのです。故郷の話を沢山聞かされて育ちました」
白玖音が答えれば、眞苑が自分の境遇を教えてくれる。
聞いていた通り、皇宮内には日本人が多くいるらしい。
「ありがとうございます。……日本語での会話は嬉しいです。けれどホームシックになると大変なので、どうしても寂しくなった時だけお付き合い頂けたら十分です。……でも一つだけ我儘を聞いて頂けるなら、いつか日本の方々とお話しできたら嬉しいです」
「それは勿論ですわ。殿下にご相談申し上げます。それから姫さま、私達に敬語は必要ございません。名も、眞苑、白玖音とお呼び下さいませ。敬称をつけてはなりませんよ」
それは皇女という立場の問題だろう。
年上の人々を呼び捨てに、おまけに敬語も使うなというのは、日本の教育を元に厳しく躾けられた身には中々ハードルが高い。
「……はい、いえ、……ええ、わかり……ったわ」
了解の旨を伝える事にも苦労して頷くと、二人は苦笑した。
「姫さま、では改めてお部屋をご案内致します。おみ足は辛くはございませんか?」
そう言って二人は、海夜の手を引いて立たせてくれた。
「こちらは前の皇女殿下である、夜花姫さまの私室だったお部屋です。お孫さまである海夜姫さまにお入り頂くようご指示なさったのは、キアリズ殿下ですわ」
「祖母の……? ここが?」
「お衣装も夜花姫さまの残されていた物に手直しをして、急遽お使い頂いております。五十二年前の物ですが、管財課が大切に保管しておりました。本当によくお似合いです」
着ているガウンを改めて姿見鏡の中に見て、祖母の若い頃というのは、そういえば殆ど聞いたことがないと思った。
海夜にとっては現実離れの衣装を着て日常を送っていた祖母が、どんな理由で五十二年前に日本に渡って来たのだろう。
自分自身に疑いを持った時と同じように、祖母のことをこの地で知ることができるかもしれない。
期待を込めて鏡の中の自分に手を伸ばした時、微かにベルのような澄んだ音が耳に届いた。
「来訪を告げるベルですわ。どなたかいらしたようです。お目覚めの時にお知らせしておきましたから、きっとキアリズ殿下ですわ」
お待ち下さいませ、と言い置いて取り次ぎに出ていった眞苑は、暫くして慌てた様子で戻ってきた。
頬が紅潮したような、青ざめたような、不思議な顔色をして。
「っも、……申し上げます。ただいま、こ、國皇陛下のお渡りでございます……!」
「…………え」
……國皇陛下?
……國皇!? キアリズ皇子の父親だという、あの!?
寝耳の水の事態に、海夜は呆然と立ち尽くすしかなかった。
※
靴音高く廊下を早足で歩く主人が不機嫌なことは、行き交う官たちが恐々と避けていくことでもわかって、虎は内心で神に祈るように手を組んだ。
帰都後、次々と舞い込む主人への謁見の申込みと、山と積まれた書類仕事の中で入ってきた情報に、主人は一言も発することなく執務椅子を倒す勢いで立ち上がった。
その勢いのまま、國皇の謁見室へと向かっている。
せっかくまとまりかけていた、主人と皇女の“密約“も吹っ飛んでしまうくらいの情報だった。
“一に、皇位は世襲のものであるが、来訪者たる皇女に皇統の継承を委譲し、以ってこれの伴侶たる者に政の全権を委任す“
“一に、伴侶たる者の資格を制限するものではない“
「っのクソオヤジ……!」
「……皇子、お言葉遣いが」
「今そこに拘るならおまえも殴る」
「私を殴ることは構いませんが、陛下を殴ることはご容赦下さい」
皇女の処遇について、宮中で取り沙汰されるのは予測の範囲だが、ここまで干渉するとは。
これでは皇女は今度こそ皇権を、と狙っていた者達の争いの種にしかならない。
ようやく安定の芽が見えてきた国内を、再び混乱させることを、国民は受け入れられないだろう。
「海夜の出自がどこまで広まっているか至急調べさせろ。窺見に平群公爵家の動きを探らせて報告を。三影をおれの所へ寄越せ」
「は。この内容がどこまで告示されているかも探って参りますか?」
「それはおれが直接訊く」
指示内容の確認をしていると、謁見室の方から、バタバタと忙しなく走ってくる足音が聞こえた。
「あっ! で、殿下、良い所に!」
國皇の侍従だ。
二ヶ月ぶりに地方視察から帰都したばかりの第一皇子に対して、出迎えもせず労う態度も見せず、この侍従は虎には目に余る。
「陛下をご存じありませんかっ!? 謁見の時間だというのにお姿が見えずっ」
「それを監督するのはあなたの役目でしょう。殿下は先ほど皇都へ帰還されたばかりですよ」
「そなたは黙っておれっ。私が訊いているのは殿下だぞっ」
汗を拭き、焦りながらもこちらへの威嚇を忘れない。
皇家に代々仕えたとして、虎の磋須木家と同じような歴史がある家門だが、磋須木はこの侍従の家のように、現皇家への干渉はなるべく行わなかった。
それを磋須木の没落だと見做して、こうして宮中での扱いは酷いものだ。父はさぞ苦労しただろう。
「……おれの側近を侮辱することは、おれへの侮辱だといい加減覚えろ。陛下は謁見室におられないのだな」
無表情で低く唸った主人に、侍従は青ざめて何度も頷いた。
おそらく國皇は皇女の部屋だ。主人が帰還した直後の隙を狙っていたのだろう。
そう思える動き方は、周囲の評価とは真逆の抜け目のなさだ。
主人が呆れたように舌打ちをして、横目でこちらに目配せした。
「虎、おまえは指示通りに」
言うが早く、彼は駆け出す。
宮中のマナーなど知ったことかと言わんばかりの身振りに、あれは廊下を通らず最短で行く気だな、と悟る。
この時間であれば國皇は本来、政の中心であるこの中宮で執権している筈だった。が、不在とは。
皇族の住まいである奥宮への距離を考えれば、主人が走り出さずにはいられない状況もよくわかる。
だが願わくは、窓を越える所を皇城の者に目撃されませんように、と虎は祈ることしかできなかった。
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