20.思惑 − ※※※※※①−
夏休みの終わりが差し迫っているにも関わらず、待ち人からの連絡はなかった。
この結果は当然納得がいくものではなく、一学期の自分の行動を振り返る。
最初は、時哉の評判を落とす事で自分に振り向いてくれるのではないかと考えた。
評判を落とすきっかけとなった鳳月さんが、急に時哉を庇う様な発言をし始めた時は、流石に焦ったがそこも運良く乗り越えた。
鷺丘さんと時哉が一緒にいる所を偶然見つけ、今度はこれを噂に出来るのでは……と思い付いたのだ。
どういうきっかけで接点が出来たのかは知らないが、定期的に会っている事を確認し、鳳月さんから鷺丘さんに乗り換えたと噂を流した。
これで時哉を孤立させられるかもしれない……疑いもせずに喜んでいたこの時の自分の迂闊さを今は悔やむばかりだ。
噂を流してすぐに、時哉には彼女をコロコロ変える最低な男というレッテルが貼られた。
鷺丘さんの周りも関わらない方がいいと進言していた様だった。
だが周りが時哉をどんなに悪く言っても、鷺丘さんは距離を置く事をしなかった。
鷺丘さんの交友関係が広い事、二人は付き合っていないと公言していた事もあり噂は一時沈静化の方向に進んでいたが、学校外でも二人でいる所が目撃され今はどっちつかずな状態になっている。
ただ、時哉に対するヘイトはいろんな意味で高まっている。
ヘイトが高まっているとは言え、静観していては今以上に評判の落とす事は出来ない。
「二学期はもっと追い込む方法を考えないと……」
そんな事を考えていた時、スマホから着信音が鳴った。
メッセージを送ってきた相手を確認して思わず溜息が漏れた。
「大事な話……」
そんなものは向こうにはあってもこちらにはない。
そもそも距離を取りたいぐらいなのだ。
端的に話す事はないと告げ、ベッドにスマホを放り投げた。
とりあえず喉が渇いたので飲み物でも取りに行って、頭をリセットしよう。
新学期がもうすぐ始まる、次の手を考えるにしてもあまり時間がないのだから……。
まずは、いつも読んで下さってありがとうございます。
そして、ブクマ・評価・感想・誤字脱字・ミスのご指摘ありがとうございます。
文章的に短かった事もあり、続けての投稿をさせていただきました。
一応アンサー回のつもりで書かせていただきました。
察しの良い方はこれで色々お気づきかもしれませんね……。
引き続き、どうぞ宜しくお願い致します!!




