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18/20

18.犯人

一通り話を終えた、鳳月さんが病室を後にした。

先程聞いた事を整理する為に、自然と僕と鷺丘さんの間に会話はなかった。

どれくらいの時間そうしていただろうか?

ついに沈黙に耐えられなくなった鷺丘さんが口を開いた。


「それで考えは纏まった?私ずっと放ったらかしにされてるんですけど?」


拗ねたフリをしているのか、口を尖らせてる。


「ああ、ごめん。ちょっと色々考えてた。結局僕のやった事は、誰の為にもなってなかったんだなって思ってさ」


「あの時はそれでいいと思って行動したんでしょ?悔やんでも過去には戻れないんだから、これからどうするかを考えた方が良くない?」


「そうだね。まずは乃空に謝らないといけないね。病気のことを話せば水に流してもらえるとは元々思ってないから、失った信頼を回復しないと」


「う、うんうん。そうだよね……」


言葉では同意してくれているものの、鷺丘さんの声のトーンが下がった気がする。

僕と乃空が仲直りする事の難しさを想像して悲しんでくれているのだろう。

本当に優しい人だと思う。


「あとは、噂の出処についてはこのままハッキリさせないでおこうと思う」


「はぁ〜っ!?何を言ってるのっ!!これからが面白……じゃなかった大事なところでしょ。実際君は鳳月さんと付き合ってないし、そ、その……私とも付き合ってないわけだし……」


徐々に声のトーンが下がっていき最後の方はなんて言ってるのか聞き取れなかった。


「その点に関しては、僕の口からしっかり説明しようと思う。本当にどうしようもない時は二人を頼らせて欲しいなってズルい事を考えてるけど」


そう言って誤魔化し笑いを浮かべる僕に、鷺丘さんは真剣な眼差しを向けてくる。


「鳳月さんは、穏便に事を進めようとしてた。そんな彼女の思いを踏み躙り、悪意のある噂を流した人を私は絶対に許す事はできない。それに君だってあの日屋上で……」


最後まで口にしなかったが、きっと出会った日の事を言っている事は理解できた。

このまま話をしていると嫌な空気になりそうだったので、茶化した口調で問いかける。


「名探偵の鷺丘さんなら分かるでしょ?鳳月さんの話を聞いて、噂を広める事が出来たのは3人。あの告白の場に居た鳳月さんと乃空と後輩の子」


「あ、それは私も思った。てか、そこは私に答えさせて欲しかったんだけど!!」


そう言って頬を膨らませ、私怒ってますアピールをする。

表情がコロコロ変わって、本当に見ていて飽きない。


「ごめんごめん、それじゃ今度は質問するね。この3人の中で怪しいのは誰?」


「鳳月さんが嘘を言っているとは思えないし、月夜野さんが自分から振られたと言うとも思えない。あ……」


「そういう事なんだ。犯人探しをするまでもなく怪しい人物は1人しか居ない。きっと噂として広めた理由があったんだと思うし、もしかしたら乃空の為を思っての事かもしれない」


「言いたい事は分かるけど、本当に許すの?お人好しが過ぎない?」


「君にも迷惑かけたから、この説明じゃ納得いかないよね。ごめん、実はその後輩の子に心当たりがあるんだ」


「誰か聞いてもいいの?」


「おそらく遥騎の妹だと思う。乃空と仲が良いし、きっとあの日告白する話も事前に聞いてたんだと思う。偶然に屋上に人が来るとは考えられないからさ」


「それはそうね。そっか、元親友の妹か……。確かにそれが真実であれば、これ以上の追及は誰も幸せにならないかも」


どうやら納得してくれたらしい。


「なのでこの話は僕達で止めておこうと思う。ほら、夏休みも挟む訳だし噂も少しは沈静化しているかもしれない。あと訂正させてもらうと僕はまだ遥騎を親友だと思ってるよ」


沈静化か……自分で言っててそんな事は絶対にあり得ないと理解している。

でも、これぐらい脳天気を装っておかないと目の前の彼女が心配するから……。


「まぁ、そんな訳だし夏休み中はお見舞いに来てくれるのは妹と鷺丘さんぐらいだからさ。無理のない範囲で遠慮なくいつでも来てよ」


そう言って目を合わせて笑いかけると、何故か視線を逸らされた。

口許がもにょもにょと動いているが、何を言ってるかまでは聞き取れない。


今だけは……せめて夏休みの間だけは、憂鬱な気持ちになるこれからを考えたくない。

それが逃げだと分かっていても、僕にはそうする事しか出来なかった……。

まずは、いつも読んで下さってありがとうございます。

そして、ブクマ・評価・感想・誤字脱字・ミスのご指摘ありがとうございます。


前話は久しぶりすぎて、後書きを忘れてしまいました……。

思いもしなかった日間ランキング、週間ランキング入りをさせていただき嬉しく思っております。

こんなに遅い更新にも関わらず、いつも応援して下さり本当にありがとうございます。


次回からは、夏休み明けの話に突入の予定です。

続きを是非読んで頂けるように早めに更新出来たらと考えております。

引き続き、どうぞ宜しくお願い致します!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の対応に拙い点があったのは事実なんだけど… 主人公補正(マイナス)が強くてお辛い… 親にも頼って早く乃空ちゃんとコンタクト取れないかなぁ… …もう親友とくっついちゃってるかなぁ… 主…
[一言] 書くの遅い 早くかけ
[気になる点] 一方その頃乃空さんはこの夏元親友にヤラれまくって完オチ そして「ククク……計画通り……」とほくそ笑む元親友 [一言] ……などと考えてしまうほどになんも接触ないってのは流石にどうなんだ…
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