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15.告白(前編)-鳳月有栖②-

私の頭を撫でる手の感触が消えるまで、どれぐらいの時間が過ぎただろうか。

ようやく落ち着きを取り戻した私は、彼をまっすぐ見つめる。


「落ち着いたかな?まだ時間はあるからゆっくり話してくれたらいいから」


そんな風に気遣いを見せる姿を見て、申し訳ない気持ちと自分の行動は間違っていなかったという気持ちが胸の中に渦巻く。


「何から話をすれば良いか考えがうまく纏まらないから、質問があったらその都度言って欲しい」


「分かった」


「最初に貴方に伝えたあの日の出来事に事実と違う事がある。あの日、彼女は貴方にフラれた後、死のうとしてたと言ったら信じてもらえるかしら」


私の言葉に彼の顔が強張った。


「確か、諦められないと言って泣いてたと言ってたよね……どうしてそんな嘘を?」


「信じてもらえるか分からないけど、あの時の貴方を見て何か事情があると察したからよ。だからあえて貴方の負担にならない様に配慮したつもり。彼女が死のうとしてたなんて聞いたら気に病むと思ったから……」


「…………そっか、本当にごめん。今更ながらに君があの場に居てくれて良かったよ。そうか、死のうとしてたのか。なるほど、君が言った中途半端の意味をようやく理解したよ」


私に謝罪を入れながら、力なく項垂れる彼の姿を見て昔の自分が重なった。

なんと声をかけて良いか分からず、こちらも黙り込んでしまう。


「巡谷君、ほらしっかりしないと。鳳月さんも困ってるよ」


この場の空気を払拭する様に明るい声があがった。

鷺丘さんの言葉に、彼がハッとなる。


「ごめん、話を止めた。僕から質問してもいいかな、君にメリットがあるとは到底思えないのに憎まれ役を買って出てくれたのは何故?」


「私と同じ様な事になって欲しくなかったから。いえ、違うわね。多分貴方を助ける事で自分の中にある罪悪感を軽くしたかったんだと思う……」


そこから先を言う事が躊躇われ俯いてしまう。


「罪悪感?それはどういう意味かな?いや、ごめん。話したくないなら無理にとは言わないから」


私の顔色を伺ってくれたのだろう、そんな言葉が彼からかけられる。

思い出したくない過去……ましてやこの話は今までした誰にも話した事がない。

ついその言葉に甘えそうになってしまう自分を抑え、私は無言で首を横に振る。


「いいえ、少し長くなるけど聞いて欲しい」


一人で抱え込むのはもう限界だった。話したくないと思う反面で誰かに聞いて欲しい。

心の弱い私は、ずっと何かに縋りたかったのだ。

彼ならもしかしたら分かってくれるかもしれない……そんな淡い期待を込めて語り始めた。

本当に久しぶりの投稿になります。

待ってくださっていた方、申し訳ございませんでした。

ゆっくり続きを書き足していこうと思います。

更新の間隔はのんびりとなるので、またお待たせするかもしれませんが改めて宜しくお願い致します。

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