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お節介焼きの万屋・タイチ  作者: 花畑
報酬の使い道
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すごく、大きい、です。

「”疫鬼(イー・グゥイ)”の”仙石(シィェンシー)”回収は私が、私が回収します。それぐらいは、やらせてください。”満月草(マンユェツァォ)”を、御願いします。……()()()さん」


 リウが、迷い人(ミィーレェン)さんと言わずに、名前で俺を呼ぶというのは、少しは認めてくれたということなのだろうか。

 御言葉に甘えて、俺は”満月草”の採取に専念するとしよう。



「そうそう! 上手い上手い! 根っこも重要だからね。完璧だよ。流石はタイチ様!!」


 褒め上手のガンちゃんの指導の下、問題なく”満月草”の採取をし、傷まないように厳重に包む。


「仙石は頭部か、心臓の所に普通は有ります。疫鬼は頭部。幸か不幸か、頭部は爆散しているので回収が早く終わりましたよ。タイチさん」


「じゃあ、ソレは俺が。大事なコレは、リウが持っていてくれ」


 慎重に時間を掛けて採取していた俺と入れ替わるように、回収を終えたリウに”満月草”を渡して、仙石を受け取った時。




「ジュララアラララアララアラララ!!!」


 疫鬼の血の匂いに誘われたのか、二級妖魔(ヤオモ)の”まだら蜂蛇(フォンシェ゛ァ)”が現れた。

 とっさに【神技(シェンジー)】を使って、帰還をしようとする。


「【瞬「駄目!!!? タイチ様!!!」


【神技】で逃走しようと試みた瞬間、この世界に来た時のように腕の()()()()()()し始めていた。

 ガンちゃんに止められていなかったら、そのまま消滅していたかもしれない。


「この速さで消えかけるなんて。数が有っても、5級の仙石じゃ足りないよ! 2級(アイツ)の仙石が必要だよ!! タイチ様!!!」


【神技】を使うのを中断し、腕の存在が戻ったのを確認する。



「やれやれ、最後に大仕事が残っていたか……」



 ーーーーーー



 敵は一匹、嚙み付きや巻き付き、毒液と限定された攻撃の相手に選択した【武道】は、【ボクシング】。


 ツァンが襲われていた”まだら蜂蛇”よりも一回り大きいソイツの胴に、渾身の右ストレートを喰らわせる!!


「ジェラッ!!???」


 毒液や嚙み付きを、華麗なフットワークで掻い潜って殴りつけたが、大型の車両のタイヤを殴ったような感触が返ってきた。

 何とか少しのダメージは有ったようだが、ツァンのように爆散はしなかった。


「時間が無いってのに、長い戦いになりそうだ!!!」



「ガンガン!? どうしよう!?? 時間が! タイチさんが!! 貴女の手助けで【精霊技(ジンリンジー)】を使えば、何とかなるでしょ!?? 何とかしてください!!!」


(シャオ)・リウ、落ち着いてよ! まだ不慣れで、燃費の悪いタイチ様が【精霊技】なんて使ったら、どれだけ仙力(シィェンリー)を消費するか、分からないんだよ!? せめて、もう少し余裕を。()()()()()が有る時じゃないと、怖くて使えないよ!!!」


「じゃあ、どうするんですか!!?? まだ使っていない白虎(パイフー)様の媒介の【神技】で帰りますか!!??」


「それは勿体ないし! 後で、僕が白虎様に怒られるヤツだから、()だよ!!! めっちゃ、嫌だ!!!」


 外野の精霊達が、状況をどうにかしようと議論が白熱している。



「ガン!!! ()()()()()が有れば良いんだな!!!」 


()()()、を付けてよ!! それでも燃費が怖いから発動は、ちょっとだけ、だけどさ!!!」


「状況を打破できるなら、ちょっとで充分だ!!!」


 腰に括り付けた仙石の入った袋に手を伸ばす!!




『仙力の塊だから、帰る時の【神技】の足しにしないと、消滅するかもよ』


 そう言っていたコレは、まさに仙力!


『余れば、精霊(僕たち)のオヤツになるから嬉しいな』


 そして、こうも言っていた!!


『一生の在留を保証されていないタイチ様は。僕ら、精霊と同じような存在なんだ』


 俺が精霊と同じなら、別にコレを()()()()()()()()()()()だろう!!!

 ビー玉くらいの大きさの仙石を、……ちょっと血が残っていて気持ち悪いが、口に全て放り込み、飲み込む!!!



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?? 僕のオヤツーーーー!!!!!」


「言ってる場合ですか!!? 流石は、タイチさんです! 原始的な摂取方法ですが、今は最良の方法です!! さあ、ガンガン! 準備を!!!」




 ーー【精霊技・虎爪(フーヂャオ)】ーー


 本来なら四肢に、鋭利な爪が出現するものなのだろうが、燃費を気にしてか右手だけから発現する。


「本来の攻略法! 斬撃という訳だな!! 喰らえ!!!」


 再び、攻撃を掻い潜り、その胴に渾身の右フックを叩きこむ!!!



「ジュララアラララアララアラララ!??」


 キレイに、発現した爪の数ごとに輪切りになり、後方の木々の数本さえも同様に輪切りにする斬撃に、断末魔を上げながら”まだら蜂蛇”が絶命する。

 あまりの威力に、放った俺ですら絶句してしまう程だった。



「ううぅぅ、オヤツ。だから言ったでしょ。タイチ様は燃費が悪いって。落ち着いたら、仙力の扱いに慣れてね! 絶対だよ!! ……うぅぅ、オヤツ」


「見てくださいタイチさん! この仙石、凄く大きい!! 通常のより大きい個体だったから、これも大きいんでしょうね!! これだけ有れば帰れますね!! 良かったです!!!」


 オヤツを失い、意気消沈のガンちゃんと、小型犬が主人に褒めてもらおうとするように、はしゃぐリウ。

 リウの手には、バスケットボールの大きさの巨大な仙石が抱えられている。

 ツァンの倒したモノはバレーボールくらいだったから、確かに大きい。




 え? どうやって飲み込むの?







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― 新着の感想 ―
[良い点] 前作より雰囲気が軽いので気軽に読めます(^^)シャオリウは手のひら返しちゃわずに、何とかツンデレで踏ん張ってほしいものです。
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