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ダークファンタジーは萌と共に  作者: 深川 七草
第二章
24/40

*24話 パーティー*

 翌朝。

 パーティーに誘いたい真人は、桜子にこれからどうするのかと質問し感触を確かめた。

「一人でいてもやることないですし、知っている遺跡とかも減ってきて稼ぎづらい状況なのも事実なんですよね」

 入ってくれそうな桜子に、真人はこれからの予定を説明してみることにする。

「俺たちは、この辺りで過去のモンスターを探しながら、ヨルダ村を目指そうと思ってるんだ」

「過去のモンスター?」

「エルフとかいないかな?」

「随分具体的ですね」

「ドワーフでもいいけど」

「なんですか、そのおまけみたいな言い方。まあどちらにしても、最近この辺でモンスターを見たことはないですけどね」

「じゃあ、ヨルダ村に行くしかないかな」

「そうですね。それなら、遺跡の財宝と壁からはがした絵画でも運んだらどうですか?」

「うーん」

「どうしました? 気が引けますか? 私はどちらでもいいですけど、お金は必要になると思いますよ」

「そうじゃなくて、換金だけで彼らの食費なんかが稼げるかなと思って」

「それは利根さん、村を襲うってことですか?」

「食料が確保できなければね」

「壁画などは好きな人にしか売れませんので、換金性は微妙なんです。リザードマンたちの食べる分まで買えるほどお金が集まるか……」

「たくさん運んだからといっても、買い手が増えるわけじゃないから手取りも増えないと?」

「ええ。それに道中、特に食材になるような物もないと思いますよ」

「そっか。田畑を作らない限り支えられないよね。でも、いつオーダーが入るかわからないから手放せないんだよ」

「ハルモニア次第ですか」

「新発田さん。略奪なんて関わりたくないよね? やっぱり一緒には……」

 桜子は言葉を遮る。

「一緒に行きますよ。それから、私のことは桜子と呼び捨てでいいです」

「じゃ、じゃあ俺も真人でいいよ。呼びにくいかな?」

「いえ、真人さんと呼ばせていただきます」

 ミントは見てて思う。

 何だろうこのデジャブー感。

「真人、どうするの?」

「ミント。リュックのスペースも空いてきたし、壁画を持って行くことにしよう」

「わかった」

 真人たちは荷物をまとめると、ヨルダ村へ直接向かうことにした。


「クァクァ、人がいっぱいいるよ。鉄を着た人がうろうろしてるよ」

 先行していたカモメが、兵士を発見したようだ。

「真人、漁村の件があったから備えてるんだよ」

「それじゃあミント、この辺で野営を張って考えよう」

「うん」

 真人とミントが野営を構える位置を相談していると、桜子が村を見てくると言う。

「私は村に出入りしたこともありますし、真人さんたちと一緒だなんて彼らは知らないでしょうから状況を見てきますよ」

「お願いするよ。カモメの話だけだとよくわからないし」

 真人に頼まれると、桜子は離れ村に向かって行った。

「ねえねえ。桜子、村の人や兵士に私たちのこと話したりしないよね?」

「ええ? ミント、考えすぎじゃないかな。そもそも一緒に来なくてもよかったんだし」

「だけど、元勇者パーティーだよ。私たちを狩るのが仕事じゃん」

「ならどうして遺跡で二人きりにしたんだよ。俺、焼き殺されちゃうかも知れないじゃん」

「それは、同じ世界から来たのなら話したいこともあるかなって。でもさ、今の状況は違うと思うよ。他に仲間がいないこともバレてるし、自分の身も安全になるんだから」

 真人は、ミントの説得に折る。

 結果、仮に桜子が兵を連れてきてもいいよう、見定められる場所まで野営地点を下げることにした。


「戻りました」

 桜子はキョロキョロする。

「あれ? 真人さん、お一人ですか? テントとかもありませんけど」

「お帰り。どうだった?」

「カモメさんの言う通りで王国軍の兵士がいました。人数は、二十人だとか三十人だとか聞く人によって答えが違いましたけど、夜になると街道に接する門を閉めているという話は間違いないようです」

 桜子が報告をしていると、リザードマンたちと伏せていたミントが二人に寄っていく。

「真人、周辺に人影はないよ」

 これを聞き、桜子は俄然怒りの表情を見せる。

「どういうことですか! 私が兵士でも連れてくるかとでも思ったんですか?」

 これにミントは遠慮なく答える。

「そうよ」

「どうしてです!」

「だって、あなた勇者と旅をしていたんでしょ? 私たちを倒すのが勇者の務めじゃない」

「それは昔の話です。なんで今更ハルモニアの言うことなんて聞かないといけないんです!」

「そうは言うけど、エレクトラはいま新しい勇者のもとにいるんだよ」

「え!?」

「ヨルダ村へ行って。どうして兵士がいるか知ったんじゃないのかな?」

「それは……」

「私たちがやってきたことわかったでしょ?」

「でも私、寝返ったりしません!」

「ひどいことをやったからだけじゃない。真人が、それをやらなければならなくなった立場へ追い込んだ人が、あなたとどういう関係だったかを考えて」

 桜子が黙ると、ミントは振り返り野営している場所へ向かう。そして、真人と桜子も続いて移動するのであった。


 野営している場所に着くと、三人はどうするかと話を始めた。

「移動に時間をかけ過ぎたかな。守りが堅くてこれじゃあ近寄れない」

「でも、モンスターを探すためには、寄り道はしょうがなかったよ」

 困る真人にミントが理解を示していると、桜子が提案をする。

「ヨルダ村は谷にあって、山の傾斜を使って果物などの名産品を生産しているんです。つながる街道も谷間に沿って作られています。なので、村に流れ込む川の上流をせき止め、溜まったら一気に流すという水攻めをしたらどうでしょうか?」

 街道が谷間にあるなら村へ入る門も谷間にあるだろうし、兵もそこを見張っているだろう。こちらの数は多くなく、食料がまだあることを考えれば関を作る方が直接戦うよりは可能性がある。

 そう真人は考えるが、それ以上に桜子の過激な提案は先ほどのことを引きずり味方だとアピールしたいところから出ているのではないかとも感じていた。

「昼間はもう無理だろうから三人の誰かが村の宿屋に泊まって、門を閉めて兵士たちが安心したところを中から開けて夜襲するというのはどうだろうか?」

「それは無理ですよ真人さん。宿屋の入り口にも見張りがいて夜は出られませんから」

 それではと、真人はもう一つの案を桜子に尋ねる。

「桜子は、過去にもヨルダ村へ来たことがあるって言ってたけど、それなら遺跡から出た物を買ってくれる人がいるってことかな?」

「はい、いますよ」

「その中に、いわゆる業突ごうつりな人はいないかな?」

「そうですね。なるほど、いますよ。手引きしてくれそうな人が」

 全部話すまでもなく、真人の考えは桜子に伝わった。

「では真人さん、遺跡から持ってきた財宝で交渉しますね」

「ああ。どうせ村を襲うんだから、全部使ってもいいかな」

「そうですよね」

 しかし、ミントは心配そうだ。

「門が開かなければ入れないだけじゃなくて、待ち伏せという形になるかも」

「そうだけど、そもそも手引きを承諾してくれるかわからないし、進めながら様子をみるしかないかな」

 真人がそう言うと、ミントはそれ以上なにも言わなかった。

 話が終わり、桜子はもう一度ヨルダ村へ向かいながら考える。

 いつ誰が裏切るかなんてわからない。調整されたモンスターの方がよっぽど信用できるのだから、ミントが疑うのは残念だけど正しいことだと。


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