神様と僕
目覚めるとそこは天国だった。
僕はとても嬉しかったよ。なぜかって?
だって僕のような屑でのろまで世の中のなんの役にも立たないような僕が天国に行けたんだよ?
すると目の前に神様が現れた。
「君は自分の意思で死んだんだね?」
僕は頷いた。
神様は僕をじっと見つめていた、まるで何かを探るように。
「君ぐらいの年齢はね、色々と考え込んでしまうものなのだよ。それなのになにも
死んでしまうことはないだろう?君はもう生き返らないし、ただの魂になってしまった。
これになんの意味があるというんだね?」
まただ、地位の高いやつらは自分の言うことはすべて正論なのだと豪語している。
でももう死んじゃったし、これからどうしようとか考えてもしょうがないし、
だったらこのヒゲ面に僕の素晴らしい持論をぶつけるのが正しいと確信した。
「人の役に立つことがしたかったからです。僕はね、学校ではいつも一人なんですよ。
友達なんて一人もいない、おまけにいつも殴る蹴るのいじめを1日に15回以上も受けているんです。
やつらは20人以上で僕を取り囲んで、手にはスコップとかそこらへんにある岩、金属製のバット、下っ端は木製のバット、金持ちのやつらは親にチェーンソーを買ってもらって僕を切りつけてくるんです。僕は毎日悲しいと思い、ボロボロにされ、べそをかきながらバス停でバスを待っていました。
おまけに頭もバカで未だに分数もまともにできないんです。ガールフレンドなんてもってのほか!
僕にこの世に生きていていいことなんて一つもない!もう嫌なんですよ。
いつしか僕は世の中にとっては邪魔なゴミのような存在なんのだと考えましてね。そんな奴が
この世に生きている。なんて迷惑な話なのだろうか。もちろん考えましたよ?世の中のために
何かしたいとね、だけど何もなかった。そう!なにもないんです!そんなやつが世の中に生きていて
なんの意味があるんですか?だったら死んだほうがましだ!そのほうが世の中の役に立つんだ!」
僕は血が出ていると目で見てわかるほど唇を噛み締め、言いたいことをすべて言い放ってやったと
言わんばかりに犬のように鼻息荒く、ヒゲを見ていた。どうだ!わかったか!
しかし神様は呆れ果てた様子で僕を見ていた。
「生きていたってなんの意味もないのはあたりまえだよ。それに今は嫌なことしかなかったとしても
とりあえず生きていればなにかしら良いことが巡ってくるというのに…。それに君が死んでしまったら、君を一生懸命大切に育ててきた親はひどく悲しみ、死ぬまで息子になにもしてやれなかったと
後悔し続けるだろう。というか今絶賛後悔中だ。君はそのことをちゃんと考えたかね?」
考えたわ!だから死んだんだよ!死ぬのはとても勇気がいることなんだぞ、理解しろ。
「そうやって僕に死んだことを後悔させて、てめえごとに「生き返らせてくだせい、全知全能の創造主様ー」と言ってやって、だけどお前は嬉しそうに「もう生き返れないんだ(笑)」と抜かして、跪いて鼻水垂らしながら号泣する僕を、滲み出る笑みを抑えながら、見下してバットエンドにしたいなぁとか思ってんだろう?思考のレベルの低さが見え見えだわ。」
神様は天然パーマをくしゃくしゃしながら目をつむりただ「うーむ」と唸っていた。図星だな。
「君の人間レベルは今のでよくわかりました。君が言ってくれたとうり、当然もう生き返ることは不可能です。諦めてください。」
そうか・・・まあ絶対生き返りたくないし、ここで一生楽しく暮らすんだ!僕はそう誓った。
「ただし!!」
いきなりの「ただし!!」に僕は心臓が止まるかと思い、今この場は静寂に包まれた。
「お前はそうはいきません!!」
えっ・・・?どうゆうことだ?死んだんだからもうそれまでだろ?戸惑いながらも口には出せなかった。
「お前のような奴は地獄にいってもらいまーす!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????????」
そうだ・・・忘れていた・・・あの世には天国だけでなく地獄という前世で罪を犯した奴ら専門のコースが存在していたということを。しかし当たり前の疑問がその時生じた。
「僕は前世で人を殺していないし、店で万引きをしたこともないし、公園に自転車を不法駐車したことぐらいはあるが、それでも僕は地獄に価する罪を犯しましたか?」
鬼の首を取ったように、正論かましてやったが、それでもヒゲは余裕の表情を見せていた。
「それらともまた違いますわ。いいか?よく聞け糞ガキ?お前のように後先考えずにな?平気で死ぬような、おまけにあの世で神様に屁理屈こねます生命を冒涜しますな野郎はなぁ?地獄に行くに値するとここに書いてあるんです〜」
そう言いながら一枚の紙を出し、そこには「地獄コースに行く人の基準」と書かれた下に
地獄に行くのも納得と言った項目の中に
・明らかに命を軽くみて、なおかつ軽い気持ちで死んだ奴。
とちゃんと書いてあった。
僕は口をわずかに開けながらボァーとその項目を見つめていた。
「わかりましたかね?」
その声にふと我に帰り、見上げるとそこには真顔のヒゲ面が僕をみていた。
「確かに君は前世でひどすぎる目にあっていたかもしれません。しかし、死んでしまったらマジでなにも何も残らない。それに地獄に行くと値されればもう地獄しかないんですね?」
僕は鼻水垂らしながら号泣した。
「どお”じてなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
泣きわめく僕を見てこのヒゲは何か救済措置でもくれるかなぁと見ていたが、ヒゲは冷静にこう言った。
「じゃあいこうか」
その瞬間僕はヒゲに渾身の力で腹パンされて気を失ってしまった。