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005 見舞う勇者

「出て行け殺すぞ」


開口一番に殺害予告をされました。

今まで意識不明の重体だったバン様が目を覚ましたと王様から連絡を受けた私は、早速お見舞いに来たのですが…


「聞こえなかったのか早く出て行け」


ももも、ものすごくお怒りのご様子です!

確かに病み上がりの方の部屋に見知らぬ人間が急に現れれば気分を害してもおかしくありません!


「あ゛あ゛?テメェ喧嘩売ってんのか?」

「だとしたら相手を選んだ方がいいわ。せっかく助かった命を無駄にするなんて愚か者のする事よ」


嗚呼!お二人まで怒ってしまいました!一触即発です!どうすればいいのでしょう!


「いいぜ、どうせ死ぬはずだったんだ。お前らが殺してくれるってんなら早くってくれよ」


っ、――この方は本気で死を望んでいる。何故かはわかりませんが平和な日本で暮らしていた私にも判ります。

何かに絶望して、そして生きる事を諦めている。…そんな眼をしています。


「…チッ、きょうざめだ」

「本当ね、南の勇者と聞いてどんな男かと思えば、とんだピーナシ野郎ね」


マリちゃんの言っていたことは良く判りませんでした。

しかし、お二人もバン様の雰囲気を感じていさめてくれたようです。


「行くぞリツ、こんな奴にかまってやるこたぁねえ」

「で、ですが――」


私はエリちゃんに引かれ部屋を後にします。


「クソが」


私とエリちゃんが出て行った部屋ではバン様が吐き捨てるように恨みがましい眼を扉に向けます。


「…アナタ」

「ッ――!?」


誰も居なくなったと思っていた部屋にマリちゃんがいらして、バン様は非常に驚いたご様子です。


「いったい何に怯えているの?」

「お前、……何者だ?」


まるで自分の心を覗かれたとバン様は思ったのでしょう。


「私は――」

「おりマリ!何やっているんだよ、早く行くぞ!」


マリちゃんの姿を見失った私たちは、再び部屋へと戻って来てしまいました。


「おいお前、マリに変な事してねぇだろうな?」

「あ?」

「あら大丈夫よエリ。私の貞操はアナタのおかげで守られたわ」


プチンと何かが切れる音が聞こえました。


「出て行けええぇえ!」


かつてない怒りがお城中を駆け巡ります!


「あ、あのバン様…」


ギロリと睨まれました。


「また来ます!」

「二度と来るなあぁあ!」


私は逃げる様に部屋から退出したのでした。


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