004 生還する勇者
気が付いた時にはベッドの上で寝ていた。
「痛ッ、――どうなっている?」
焼けるような痛みが走る。
起き上がろうにも力が入らない。
「何処だよここ……」
知らない部屋のベッドの上、しかし寝かされているベッドや部屋の調度品の質はかなり良い。
どこぞの貴族の屋敷か?…そんなことより、俺は何で生きている?
「俺は魔王と戦って、…天国って訳ではなさそうだ」
俺が堕ちるなら地獄以外にない。
そんな事を考えていると部屋のドアが開き見覚えのある男が入って来た。
「おぉ、目を覚ましたかバン」
「バラム王――?」
なぜ北方大陸の王が南方大陸にいる?
「何でアンタが南の大陸に、…いや、そもそも俺は何で生きている?」
「覚えていないのも無理もない……わかった順を追って話そう――」
バラム王は付き人を退出させると理由を話してくれた。
曰く、異世界の勇者が召喚魔法によって俺を喚び出したこと…
召喚された俺が瀕死の重傷を負っていて、一命を取り留めたが2ヶ月も眠り続けていたこと…
そして現在の北方大陸の現状などを――
「そうか、死に損ねちまったのか、俺は…」
生き延びてしまったという後悔の念が押し寄せる。
「バン、いったい何があった?お前は、いや南の大陸は――」
「わからねぇ…」
バラム王も色々と聞きたい事があるんだろうが正直、今の俺には何もかもがどうでもいいと感じていた。
「…そうか、いやすまなかった」
そう言ってバラム王は何も聞かず、やってきた神官たちに俺を任せると部屋から出て行った。