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001 復讐の勇者

毎回1000文字以内で書いていきます。

この世界には魔王が二人いる。

北の魔王サタン…南の魔王ベリアル

魔王が二人存在するなら、その逆も然り――


「――ふはははッ!南の支配者であるわれやぶれるとは…やはりくるいいはなかった!」


俺の前で憎いコイツが笑っている。笑いながら最後をむかえようとしている。


「ふざけるな!笑いながら死ぬなんて許されると思っているのか!」


コイツは俺の大切な人を殺した。そんなヤツの最後が満足のいくものであってたまるか。


でなきゃ俺は…


「震えろ!苦しめ!後悔の果てに絶望しろ!」

「くはははっ!どうした勇者よ何を怯えている?」


俺の望みとは裏腹に魔王は笑みを浮かべる。


「そうか、貴様はここへ辿たどり着くまでに多くを犠牲にしてきたのであったな」


まるで俺の心を見透みすかしたように魔王は嬉々として続ける。


「我が軍と戦うために多くの兵を…貴様を先に行かせるために仲間を…そして力を得るために最愛さいあいの女を――」

「黙れええぇええ!」

「はははは!滑稽こっけいだな勇者よ!多くを犠牲にしてきた貴様は苦しみ討たれた我が満足しているなど、とんだ三流喜劇だ!」


そうだ俺は魔王を殺すために復讐のためだけに全てを捧げ、全てを犠牲にしてきた。

だからこそ魔王には絶望してもらわなきゃならないんだ。…それなのに俺にはもうヤツを苦しめるだけの力がない。


「戦いの果てに死ねる…それだけで満足だったハズが、まさか最後に貴様の絶望が見られるとは嬉しい冥土の土産だ」


魔王の身体が朽ちていく。

そして俺の意識いしきかすみが掛かった様に徐々に遠のいていく。

クソッ、こんな形で復讐が終わるのか。


俺は…


「さらばだ勇者よ…地獄でまた逢おう」


そうだな。…復讐のために皆の想いを踏みにじってきた俺には地獄が相応ふさわしい。


あぁ、寒い…暗い…これが死ぬって事か…恐いよガーネット…


もう一度きみに逢いたかった。


魔王が完全に朽ちる前に俺の意識は、そんな後悔の念と共に沈んでいく。…その刹那


俺の身体は光に包まれ、温もりに触れた―――


中途半端でごめんなさい

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