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卒業
文字が隊列を組んで襲いかかってくる。
それは、一冊の自分が選んだ本からの攻撃だった。
圧倒的情報量、そんな推理小説とひとしきり格闘したあと
鐘が鳴る。
その響きはあまりに聞き慣れた音だがどこか寂しげなもの
そう感じるのも無理はない
なぜならもう聞く事のない音色なのだから
ーもう、卒業か····
独りでに呟いた声は誰に届くわけでもなく虚空に消える
ここでの生活は、本当に色々あった
主に天音のことだけど
彼女と高校は同じだった。それが幸いなのか不幸なのか
俺にはまだわからない。
そして、その翌日、卒業式は無事終了
特に何もないと思っていたその日の深夜
ある一本の電話で状況は、激変していった。