友達になってくれませんか?
幼い頃、本当に物心もつかないような幼い頃
僕の父親が居なくなった。それも家からじゃなく、この世から
今僕は、その道を淡々と歩いている。そして、
僕に用意されていた道は、あまりに短くて早いものだった。
自殺のニュースをよく見る。今朝も見た。
僕には、可哀想だなんて思う余裕もない。むしろ自分から捨てるなら
僕に恵んでよ。こっちは、まだ生きていたいんだよ。お願いだよ。
と、憤りを感じてしまう。
そして、そんなことを考えていると母親から電話がかかってきた。
おそらく余命のことだろう。裏庭に移動して、電話が終るところまではよかった。
でも、いいままでは、終わらなかった。男の子に聞かれてしまった。
僕のどうしても隠していたい秘密を。とても重要で知られたくない事を
男の子は、一瞬考えて書類を僕に手渡すと同時にこう言い放った。
「俺は、何も聞かなかった。でも、頑張れよ。」
矛盾した意見を指摘しようと思ったけれど、目に溜まる熱い物に気付いてやめる。
初めてだった。頑張れって言われたの。
他の人達は、もう諦めてるから頑張れなんていわなかった。
僕は、いつのまにかこんな事を口に出していた。
「僕と、友達になってくれませんか?」
すると、彼はにっこりして、いいよと返事をしてくれた。
それが嬉しくて堪らなくて目にあった熱いものは、
いつのまにか、溢れ出していた。これが、
僕たちが初めて友達という関わりをもった日だった。