7、戦後報告は当主まで(報連相)
本圀寺からなんとか帰って来た俺たちは、ちょうど帰っていた重秀に報告をした。
「若!ただいま帰りました!」
「三崎、今は人もいないし普通にしていいぞ」
「……わかった。重秀」
「ところで、お前たちはどこへ?」
「京の本圀寺。三好と喧嘩してたぜ」
「はぁ?」
「三好と喧嘩してた」
「お前な、金払いの良い三好と喧嘩してどうすんだ。後ろ盾がいなくなったも同然だろ?」
「まあ、そういうと思ったよ。だけど、良い収穫も得られた」
「収穫?」
「ああ。足利に使える奴が居たんだよ。これが」
「名前は?」
「細川藤孝。政治家だけど武力もあってすごく強い。これ本当に」
「他にもあったんだろ?その顔は」
「まあな。今急成長した織田信長にあって来た」
「え?あの尾張の織田に?桶狭間で今川破ったあの織田に?」
「ものすごく混乱してんな。ああ、その織田だよ」
なんで織田って言った途端めっちゃ驚いてんだ?
なんか織田に因縁でも……ないな。少なくても俺がここにいる間は。
まあ織田家の壊れっぷりはものすごくすごいからね。滝川とか柴田とか明智とか。
武田も上杉もびっくりですな。はい。
「そ、そうか。確かに今の将軍は足利義昭。彼を擁立したのは織田信長だったか」
「ああ。そして織田からの雇い賃」
「………………」
「おーい。重秀〜?」
「……はっ!少し意識が飛んでた!」
「何があった」
「いや、こんなに金を見たことがなくてさ」
「ん?湊んところに行けばもっとあるぞ」
「……お、おう」
「お前今日本当にどうした?少し変だぞ?」
「気のせいだよ」
「そうか。それなら良いんだけどな」
「それはそうと、とある勢力から婚姻同盟を受けないかという使者が来てな」
「盟友ですか。ふふふ、それは良いですね」
「だけどその勢力がちぃとばかし厄介でねぇ……」
「へ?」
「飛騨の覇者。そういえばわかるかな?」
「ああ……、『山越将軍』のあの人か……。でも、なんでここ?」
「向こうが言うには、『なんか丁度良いところにいるから』。だそうで」
「へぇ〜。で、どうすんの?」
「重朝を婿にしようと」
「良いんじゃね?」
「軍師様の許可も得られたことだし、了承の返事を送っとくわ」
「ん」
こうして和やかに終わった。