5、室町幕府に喧嘩売らない(確定)
「ここが、足利義昭が引きこも……ゲフンゲフン。足利義昭が居る本圀寺か」
雑賀衆は、1月4日に本圀寺に到着。
史実における、本圀寺の変の前日のことだった。
こちらの戦力は、以下の通り。
三崎針司
岡吉正
土橋守重
三崎蛍
足利義昭
細川藤孝
計6人、かぁ……。
義昭さんは正直言って戦力にならないし、藤孝君も文官気質だろう。策士としてよりも政治家的存在だな。
向こうには、三好三人衆が居るからな。
実質4人の戦力、かぁ。
信長が気づいてくれて、兵を送ってくれれば良いけどな。
「兄上」
「ん?蛍か。どうした?」
「いや、私がここにいていいのか、なんて思って……」
「お前の夜目には期待してる。そんなに怯えなくていい。それに……」
「……な、何ですか?」
「お前個人に、期待しているからな」
「っ!あっ!ありがとうございましゅっ!」
「緊張するなよ。落ち着けば、自ずと勝機は見える」
なぜか緊張している蛍を尻目に、俺は義昭将軍に会いに行った。
「お、お主は何じゃ!?何故ここにおるのじゃ!?」
「私は三崎針司と申します。雑賀衆のもので、ここに三好が攻めて来ると言うことを、三好三人衆から聞きました」
「そっ、それは真か!?」
「はい。この原文です」
「……藤孝!おるか!」
「ういうーい!何でしょーか!」
彼が細川藤孝か。
……恰幅が良くて筋骨隆々。
政治家気質と考えていたが、これは案外戦力になりそうだ。
「三好が儂らを裏切るそうじゃ!どう思うか!?」
「十中八九本当でしょうね〜。義昭さんの将軍就任の前は義栄。それを推したのは三好三人衆ですから、それを勝手に引き下ろしたのは義昭さんですからね。なら裏切るのは必然でしょう」
割と時勢を見切っている。政治家としての才能もありそうだな
これは、良い人材だ。是非にも欲しいが……。
こいつは織田に引き抜かれるだろう。
「その方……、三崎とやら!褒美を遣わすぞ!」
「いいえ。いりません。一つだけ、お願いがあります」
「それは、何じゃ?」
「本圀寺、つまりここの防衛を任せてください」
「ほう!雑賀衆の噂は行き届いておる!その雑賀がやってくれるならありがたい!なあ、藤孝!」
「はい。義昭さん」
こうして、俺たち雑賀衆は室町幕府に弓を向けないこととなったのである。