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傭兵達の下剋上  作者: 羽賀唯人
3章 大阪湾の戦い
32/35

28、束の間の休息(という名の再帰還)

 織田との遺恨を残したくない、そう思って捕虜の二人を返還したあと、戦後処理を急いでいた。


 湊や的場達も戻り、海戦の状況は講和に入っている、大坂では織田軍が退却をした、そういう話を聞きながしながら作業をしていると、耳を疑う報告が入ってきた。


「返還した筈の、捕虜であった少女が帰ってきました!」


 ……は?

 確か、名前は竹中治とか言ったか?なんで帰ってきてるの?何があったんだろ?考えられるのは、まさか───


「チッ!すぐ連れてきてくれ!」

「はい!」

「どうした?三崎?」

「お前が捕らえた捕虜を返還したんだが、その内の一人が戻ってきたんだ」

「返還した筈なのに?」

「ああ」


 考えられるのは、敵襲のみ。一人しか帰ってきてないのは、その敵襲でもう一人が抑えていることしか考えられない。そして、考えられる敵は、三好くらい。三好は俺らの捕虜を討つことで、織田と俺ら雑賀を仲違いさせることで漁夫の利を得る。それが三好のやり方か。


「失礼します!三崎様、少女の意識がないように思えます、すこし、休ませてもよろしいかと」

「わかった、そうしておいてくれ」


 そうして数刻後、少女が目覚めたらしく俺は少女の元へ向かっていた。


「大丈夫か?」

「はい、なんと、か」

「そうか。で何があった?」

「貴方たちのの兵が、襲ってきたのです……!」

「へあ?」

「だから!貴方たちの兵が襲ってきたのです!」

「なんだと!?」

「私たちが帰っている間、兵の一人が倒れたと言って少し休んで、そうするとどこからか一人の兵がやって来て、少し話をするとなぜか周りにいた人が涙を流して、意を決したように立ち上がって、こっちに向かって来ました。後藤さんが抑えてくれたため、私は逃げることができたのですが……」

「……そう、か。そらならば信用出来ないだろうけど、俺達は何もしてねえ。どういう状況か知らねぇが、多分三好の所為だな。三好に嘘を吹き込まれたんだろう」

「早く、返してください」

「……難しいな。雑賀は三好に目の敵にされている。今回のことが失敗したと知られればまた襲ってくるだろ。ほとぼりが冷めるまでここにいとけ」

「はい……」

「ま、もうお前は捕虜じゃないんだ。普通の生活をさせてやるよ。そこは心配しなくても大丈夫だ」

「わかりました」


 こうして新たな仲間が加わった雑賀衆は、束の間の休息に入ることになったのであった。

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