28、束の間の休息(という名の再帰還)
織田との遺恨を残したくない、そう思って捕虜の二人を返還したあと、戦後処理を急いでいた。
湊や的場達も戻り、海戦の状況は講和に入っている、大坂では織田軍が退却をした、そういう話を聞きながしながら作業をしていると、耳を疑う報告が入ってきた。
「返還した筈の、捕虜であった少女が帰ってきました!」
……は?
確か、名前は竹中治とか言ったか?なんで帰ってきてるの?何があったんだろ?考えられるのは、まさか───
「チッ!すぐ連れてきてくれ!」
「はい!」
「どうした?三崎?」
「お前が捕らえた捕虜を返還したんだが、その内の一人が戻ってきたんだ」
「返還した筈なのに?」
「ああ」
考えられるのは、敵襲のみ。一人しか帰ってきてないのは、その敵襲でもう一人が抑えていることしか考えられない。そして、考えられる敵は、三好くらい。三好は俺らの捕虜を討つことで、織田と俺ら雑賀を仲違いさせることで漁夫の利を得る。それが三好のやり方か。
「失礼します!三崎様、少女の意識がないように思えます、すこし、休ませてもよろしいかと」
「わかった、そうしておいてくれ」
そうして数刻後、少女が目覚めたらしく俺は少女の元へ向かっていた。
「大丈夫か?」
「はい、なんと、か」
「そうか。で何があった?」
「貴方たちのの兵が、襲ってきたのです……!」
「へあ?」
「だから!貴方たちの兵が襲ってきたのです!」
「なんだと!?」
「私たちが帰っている間、兵の一人が倒れたと言って少し休んで、そうするとどこからか一人の兵がやって来て、少し話をするとなぜか周りにいた人が涙を流して、意を決したように立ち上がって、こっちに向かって来ました。後藤さんが抑えてくれたため、私は逃げることができたのですが……」
「……そう、か。そらならば信用出来ないだろうけど、俺達は何もしてねえ。どういう状況か知らねぇが、多分三好の所為だな。三好に嘘を吹き込まれたんだろう」
「早く、返してください」
「……難しいな。雑賀は三好に目の敵にされている。今回のことが失敗したと知られればまた襲ってくるだろ。ほとぼりが冷めるまでここにいとけ」
「はい……」
「ま、もうお前は捕虜じゃないんだ。普通の生活をさせてやるよ。そこは心配しなくても大丈夫だ」
「わかりました」
こうして新たな仲間が加わった雑賀衆は、束の間の休息に入ることになったのであった。




