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傭兵達の下剋上  作者: 羽賀唯人
3章 大阪湾の戦い
31/35

27、岸和田の変(反逆・謀反は恐れなきゃ)

「治様、どうされましたか?」

「何もない、です」


私たちが織田へ帰っている途中、ずっと後藤さんが心配していてくれた。

まあ、それもこれもずっと泣いたままだった私が悪いんだろうけれど。


「それにしても、雑賀衆の兵はこれほど忠実なんですね……」

「ですな。雑賀が傭兵として名を馳せることになったのは、この兵の忠実さが一因にあったのかもしれません」


話をそらして後藤さんの注意もそらす。こうして後藤さんからの質問ぜめに耐えて来た。

そうこうしている間にも、私には彼に言われた言葉が私の中をめぐる。


『お前は、雑賀を舐めていたのか?』

『この娘の立てた策と我らは戦っていたのだ。これを舐められていると言わないなら何を舐められるというんだ!!』

『お前の策でいけると判断したからだ。お前程度の策で、な』


私の策を父上が採用していたのは、約束があったからだ。

気をつけてはいた。だけど、慢心もしていたのだろう。そうでなければここまで簡単に負けてしまうはずがないからだ。それに、有名な雑賀孫一がいない、石山にいるという報告も受けていた。だから私は父上の策を知られていない、そう思ってしまったのだ。しかし、どこにも無名の傑物がいるのだ。雑賀衆も、その例にもれなかったのだ。あの男が策を建てたという。


……さっきから、周りの兵が騒がしい気がします。

何か、あったのでしょうか?


「すみません、彼が倒れてしまったので、少し休ませてください」

「良いだろう」


一人の兵が倒れてしまったらしい。

そこに、どこかからの使者が来ていた。その人は、この兵たちの長と思われる人が対応している。

四半刻(30分)ほど経っただろうか。彼らが話をしていると、なぜか涙を流し始めた。

そうして意を決したようにこちらへ向かってくると――――――





「治様!逃げてください!!」


刀を抜き、私に向かって来た。しかし、後藤さんが私を守ってくれた。

え?何が起きたの?なんで、こっちに攻撃してくるの?

状況を理解するまで数瞬必要だった。しかし、私の危機本能が反応したのか、ギリギリで逃げることができた。

馬に乗り、来た道を引き返す。


走って、走って、走った。

雑賀衆の城下町までたどり着くと、私は倒れてしまった。

疲れ果ててしまったのだろう。何があったのか、私にはわからない。


雑賀の兵が反逆したのだ。雑賀は信じられるはずもない。

しかし、私は彼に一縷の望みに賭けるために、雑賀の地に再び足を踏み入れたのだ。

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