17、赤母衣衆の意地(性格の不一致は重要な問題)
包囲から血路を開いて逃げ出した金森・佐久間両名は援軍を待っていた。
「遅いな。なあ、長近さん」
「ああ! 確かにそうじゃな!」
(なんで俺はこんな人と一緒になる羽目になったんだ?)
「……何か臭うのぅ!」
「あのアホの長近さんにひらめきが!?」
「うるさいなぁ。これでもわしも赤母衣衆の一人じゃ! 50年生きて来て考えることができないとかダメなやつじゃぁ!!」
「なんか正解なはずなのに長近さんが言うと全く正論に感じないのはなんでだろう」
「細かいことは気にすんな!」
ガハハハ、と笑う金森であったが、そのすぐ後に何かがおかしいことに気がついた。
「おい、信盛! 見ろ。兵が少なくなっていないか!?」
「……そうですね」
包囲されて、全体から攻撃されていたために多少、兵が戦死することは覚悟の上だった二人だった(もちろん兵も)が、それにしたって兵が少ない。
「何が、あったのだ!?」
「金森様!佐久間様!」
その声は、先ほどの包囲の中から聞こえて来たものだ。
そして彼らは、この声で「あの包囲の中に、兵が残っている」という状況を理解した。
「くそっ! 背に腹は代えられんよ。お前ら! 前へ進め!」
「長近殿!?」
「すまぬ!」
「いえ、いいんです! 我らは、織田の兵……。信長様の天下を祈っておりまする」
泣く泣く長近達は残った手勢の400ほどで本隊の救援に向かった。さらなる恐怖が待っているとは知らずに。
◇ ◇ ◇
「湊さん! どのくらい囲い込めたでしょうか?」
「多くを囲い込めただろうな」
「わかりました。……私は姉上に加勢して来ます。雀と湊さんはここで織田兵を殲滅してください」
「だが……」
「蛍姉! 私も行く!」
「いや。あなたは、ここで戦って。湊さんはいい人ですから」
「でも……」
「でもじゃありません。……頼みます。湊さん」
「っ……。わかった」
「お願いします!」
それから数分後、本隊の周りが荒れた。




