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傭兵達の下剋上  作者: 羽賀唯人
2章 第一次紀州征伐
18/35

15、暗いところからくる香り(策士策に気付く)

暗香の意味は、「どこからともなく漂って来る、花などの香り。暗闇の中に漂う香気。」だそうで、この作品では策謀の香り、という意味で使っています。

「行くぞ!信盛ィィィイィィ!!」

「長近さーん!?!?」

「来たな……。鉄砲隊!放て!!」

金森、佐久間隊の突撃が始まり、それを湊が迎え撃つ形で織田の雑賀攻め、雑賀の防衛戦が始まった。

湊率いる手勢は槍隊が500、鉄砲隊が500の感じだ。

雑賀衆は鉄砲隊が有名だが、鉄砲が伝わる前から傭兵をやっていた(史実)所為もあってか槍、騎馬、弓のどれもいける。

(やはり、その中でも鉄砲に強いがな)

まあ、そういうことで槍隊も強い。なので、


「射撃をやめい!槍隊……、突きだせぇ!」

「どわっ!?」

「くッ!」


戦闘経験も生かして撹乱することも可能。

そうして、二人が混乱しているとその混乱は兵に感染して敵部隊は混沌としてくる。

その隙を見逃す甘さは雑賀衆にはない。そうして混乱していると、次の刃が金森・佐久間勢に降りかかる。


「今、です!」

「うん!姉上!!」


『夜蛍』()『小雀』()の二人が率いる兵は(いろんな意味で)血気盛んだ。……お前らうちの妹に手ェ出すんじゃねえぞ。


「へ!?囲われただと!!」

「クソがぁ!長近さん、とりあえず血路を開いて脱出しましょう!」

「ああ!」

湊・蛍・雀の雑賀衆の中でも有望な三人が囲うのに、脱出は難しいであろう。

できるならそれは、相当な強者であるか……わざとということしかない。おっと、そろそろ時間だ。本陣を落としに行かなくては。


俺の手勢は1000の槍隊。背中には鉄砲を背負わせている。いざとなったら槍を捨てて鉄砲を装備する。そう言っておいた。

「お前ら!よく聞け!!今から敵本陣へ突撃する!」

周りがざわつき始めた。それは当然だろう。何故なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「死ぬ気で戦え!ここを落とせば、我らの勝利は目の前だ!」


嘘だ。

本陣を落とそうが、勝利することはないだろう。

こちらが勝つには、向こうが退くか、総大将を討つかのどちらかだろう。

しかし、この声に兵は奮い立つ。自身の手でこの雑賀の地を守ることができるはずだと思っているからだ。

「さあ、行くぞ!突撃ー!!」

「「「おおー!!!」」」


◇   ◇   ◇


「なんだ!?何が起きている!?」

「伝令!雑賀が……、雑賀軍が奇襲して来ました!!」

「!?……迎え撃て!」

「はっ!」

「半兵衛の策を超えて来たか、雑賀衆!……空気を、読めぇぇぇええぇえ!!!!」

滝川が刀に手をかけた、その時。

雑賀の軍勢が滝川の眼前に迫っていた。


「うおおおおおおお!!!お前が、総大将かぁぁぁ!!」

滝川は先ほどの咆哮とは裏腹に、冷静だった。

近づいた兵は、

「うるさいなぁ!」


ズバッ!!


一刀のもとに切り裂かれた。

そうこうしている間に、滝川の周りに、敵味方問わず兵が集まった。

「おっさん!助けに来たぜ!!」

「利益!?……頼む!少しやばい感じだ!」

「ああ!任されたぜ!」


ガキィン!キィン!カン!

刀と刀がぶつかり合う。雑賀の兵も健闘したが、職業軍人には敵わない。

少しづつ追い詰められて行く。

半分以上兵が減ったが、傭兵としての意地を見せる。

刻一刻と減って行くが、織田の兵もどんどん押されて行く。

そしてついに、その時が来た。

「……降りろ!本陣を捨て、敵拠点を盗る!!」

「おっさん!?」

「利益!行くぞ!」

「……っち!ああ!わかったよ!みんな行くぞ!」


「はぁ……はぁ……はぁ……、終わっ……た」

「もう、動けねぇ……」

「鉄砲を用意しろ!敵兵を追撃する!」

残ったのは300くらい、か。

織田を相手取ったにしては上々の出来だ。しかし、ここまで絶やされたせいか、相当士気も落ちて来ている。

士気が高いのは3割程度か。彼らは背負っていた鉄砲を持って逃げる滝川勢を撃っている。……様子がおかしい。余裕そうだな?……作戦、か?気のせいだろうが。

他の奴らも動き始めたか……。一応俺もちゃんと撃っている。

……そろそろ、動き始めたな。頼むぜ。鶴!!お前にかかっている!

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