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傭兵達の下剋上  作者: 羽賀唯人
2章 第一次紀州征伐
13/35

10、織田戦線準備よし(砦から目を逸らして)

雑賀衆に織田が攻めてくるとの話を聞いて数日が経った。

重秀はすでに本願寺へ向かい、ついでに岡さんに宮本さんも向かった。

本願寺には織田の先鋒部隊がすでにやってきていて、三人は、着く前から修羅場だったという。

重秀は仏教ではないが、雑賀に広まっている仏教については黙認している。


「三崎様、織田の水軍衆が毛利・雑賀連合水軍隊とぶつかったようです」

「ああ。ありがとうな」

「はっ!」


水軍衆か……。

雑賀からは土橋さんが行っているから大丈夫だと思うけど

毛利からは村上(むらかみ)水軍衆(すいぐんしゅう)頑張ってくれるらしい。

織田は九鬼(くき)とかいう武将で、もともと海賊だったらしいな。まあ、村上さんたちも元は海賊ですからねー。


「三崎様!本願寺へ重秀様達が到着!すぐに交戦が行われたようです!」

「ああ、そうか。下がってくれ」

「はっ!」

「さて、ここらであれを使って本願寺に物資を送るかな」

「みーさきーどのー!」

「んん?……あぁ、トモさんですか」

「なーにをー、かーんがえーてるのかなー?」

「物資を本願寺に送ろうかなぁなんて思ってるところだよ」

「それーならー、かいーうんたいーがやくーにたーつねー」

「……」


それは俺も考えていた。

それなら安全に本願寺へ到達できるだろう。

しかし、懸念もある。

それは西の三好の存在だ。

織田の同盟国ではないが、この前に三好攻めに参加して恨みを買っているだろう。

こうなったら!


「トモさん……、少し頼みたいことがあります」

「なーにー?」


◇   ◇   ◇


「ということをやってもらいたいのですが」

「うーんー。わかったよー」

「これが決まれば、雑賀の運輸が格段に楽になります。少し危険は伴いますが」

「だーいじょーぶーだよー」

「雑賀の運命も担っています。───お願いしますよ」

「りょーうかーい」


重朝さんを送り出し、雑賀の地に残ったのは俺と妹三人、そして湊の五人。

雑賀衆の大元は重秀だ。

あいつが帰る場所を、守らなければ末代までの恥だ。


「兄上!そんな難しい顔をしてどーしたのー?」

「雀か……」

「そーですよー!雀ですよー!兄上!そんなに辛い顔しても何も起きないよー!」

「ああ、課せられた使命の重さに倒れそうなんだよね」

「どんなことですか?」

「雑賀に攻めてくる織田。その防衛戦の総大将だよ」

「へ?」

「だから対織田の総大将」

「それ、本当!?」

「ああ。そうだよ。だから大変すぎてね」

「兄上なら大丈夫です!昔から一緒の私が言うので大丈夫です!」

「そっか。ありがとな、雀」


そうして末っ子の妹の頭を撫でる。

「んんーっ!」と言いながら満面の笑みを広げて笑う。

()()()()()()()()ことを、三人は覚えていないだろう。

そして、壮絶だった過去のことも。

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