10、織田戦線準備よし(砦から目を逸らして)
雑賀衆に織田が攻めてくるとの話を聞いて数日が経った。
重秀はすでに本願寺へ向かい、ついでに岡さんに宮本さんも向かった。
本願寺には織田の先鋒部隊がすでにやってきていて、三人は、着く前から修羅場だったという。
重秀は仏教ではないが、雑賀に広まっている仏教については黙認している。
「三崎様、織田の水軍衆が毛利・雑賀連合水軍隊とぶつかったようです」
「ああ。ありがとうな」
「はっ!」
水軍衆か……。
雑賀からは土橋さんが行っているから大丈夫だと思うけど
毛利からは村上水軍衆頑張ってくれるらしい。
織田は九鬼とかいう武将で、もともと海賊だったらしいな。まあ、村上さんたちも元は海賊ですからねー。
「三崎様!本願寺へ重秀様達が到着!すぐに交戦が行われたようです!」
「ああ、そうか。下がってくれ」
「はっ!」
「さて、ここらであれを使って本願寺に物資を送るかな」
「みーさきーどのー!」
「んん?……あぁ、トモさんですか」
「なーにをー、かーんがえーてるのかなー?」
「物資を本願寺に送ろうかなぁなんて思ってるところだよ」
「それーならー、かいーうんたいーがやくーにたーつねー」
「……」
それは俺も考えていた。
それなら安全に本願寺へ到達できるだろう。
しかし、懸念もある。
それは西の三好の存在だ。
織田の同盟国ではないが、この前に三好攻めに参加して恨みを買っているだろう。
こうなったら!
「トモさん……、少し頼みたいことがあります」
「なーにー?」
◇ ◇ ◇
「ということをやってもらいたいのですが」
「うーんー。わかったよー」
「これが決まれば、雑賀の運輸が格段に楽になります。少し危険は伴いますが」
「だーいじょーぶーだよー」
「雑賀の運命も担っています。───お願いしますよ」
「りょーうかーい」
重朝さんを送り出し、雑賀の地に残ったのは俺と妹三人、そして湊の五人。
雑賀衆の大元は重秀だ。
あいつが帰る場所を、守らなければ末代までの恥だ。
「兄上!そんな難しい顔をしてどーしたのー?」
「雀か……」
「そーですよー!雀ですよー!兄上!そんなに辛い顔しても何も起きないよー!」
「ああ、課せられた使命の重さに倒れそうなんだよね」
「どんなことですか?」
「雑賀に攻めてくる織田。その防衛戦の総大将だよ」
「へ?」
「だから対織田の総大将」
「それ、本当!?」
「ああ。そうだよ。だから大変すぎてね」
「兄上なら大丈夫です!昔から一緒の私が言うので大丈夫です!」
「そっか。ありがとな、雀」
そうして末っ子の妹の頭を撫でる。
「んんーっ!」と言いながら満面の笑みを広げて笑う。
血の繋がりがないことを、三人は覚えていないだろう。
そして、壮絶だった過去のことも。




