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普通人間  作者: タンサン
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アブノーマルへの道

さっき、出かけようとした時に雨が降り始め、最悪の気分になった。

その時、ふと、自分がつまらない人間だと思った。

雨の日に、気分が悪くなるなんて極普通のことだ。

雨の日でも、最高の気分でいられる心が欲しい。

どうしたら、普通から脱却出来るのか。


「あんたって本当につまんない人間だよね」


十数年前、学生の頃、何気なく友人に言われたこの一言が、時々頭をよぎる。


誰かと話していても、何を話せばいいかわからず、ありふれた言葉しか出てこない。


どんな場面においても、誰でも思いつくような発想しか出てこない。


雨の日は、じめじめとしていて嫌な気分になるし、


晴れの日は、暖かくて明るい気分になる。


仕事の日は、忙しすぎて気分が張り詰め、


休みの日は、何をしていいかわからなくなる。


これらは、至極当前のことだと思う。


皆、そうなのだ。


普通であることはとてもつまらないと思う。


だが、そう思うこともまた普通で、つまらない。


普通になりたいという人もいる。


だがそれも普通だ。つまらない。



ノーマルとは何なのか。アブノーマルとは何なのか。


結局の所、この世の中、ほとんどのことは普通のことなのではないだろうか、とも思う。


だけど私は、この、「ほとんど」から逸脱したい。


ここ数年間、ずっとそう思い続けている。






私は、ギターと絵画が好きだ。


楽譜をみてギターを演奏することなら出来る。


有名な絵画を模写することも得意だ。


家にギター3本と、トランペットと、絵画用のイーゼル、キャンバスが置いてある。



彼が家に来たとき


「面白いね」と言ってくれたことがある。


その時は、素直に嬉しかったが、


これは、所詮、誰かの真似事なのである。


曲を作ったり、新しいものを創造することは出来ない。


誰かの真似事程度では、私の気持ちは収まらないのだ。



雨の日が好き。


彼はそう言った。


しかも、理由は「ない」らしいのだ。


正直、私にはその感性はわからない。


だが、素敵だと思った。



職場に、たまに奇想天外なことをする後輩が現れる。


その後輩は、自分のことが「大好き」なのだそうだ。


出かけるたびに自撮りの写真をSNSに上げている。


露出も多く、周囲から理解を得られず陰で馬鹿にされている。


正直、この行動も私には理解できないが、


明らかに、普通とは逸脱しており


密かに羨ましく思っている。



小説家や画家、アーティスト。


創造的な人達に憧れる。なんて素敵なのだろう。


時々私は思う。このまま、何も変わらない日々を過ごすのかと。


どこまでも、どこまでも。


だけどそんな日々、私は、絶対に、嫌なのである。







仕事が辛い。

日々激務、私の職場はブラック企業といえるだろう。

だから、辛いのは普通のことだ。

鬱になりかけている。のは、普通のことだろうか。

周りには鬱になりかけている人もいるので、まあ、普通なのかもしれない。

では、この激務をそつなくこなし、弱音も愚痴も吐かず、涼しい顔でやり過ごしたら?

それも、きっと、普通なのだろう。

ここから脱却したい。

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