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第3話(森の訪問者)・3


 セナと紫の すさまじい戦いの時、私は そばの木に触れた。

 その時、その木の心が私の中に入ってきたのだった。


 木は、私にアドバイスを くれた。


『この森、悪い奴、操られている。そのせいで、仲間、薬草を毒草に変えたり、この森に来る人、襲ったリ、する。おかげで、この森、すっかり衰えた』 ……


 ……なるほど。悪い奴……蛍って子か、紫か。

 そのバックにいる誰か……が、森の精霊を操って色々悪い事をしてるってわけだ。


 でも、私やミキータが変な怪物に襲われた時、セナは風が使えたわ。

 あれは、何故?


『森の精霊、全部が悪い奴になったわけじゃ、ない。僕のように、前と変わらない奴も、まだ、いる。きっとその時、森の精霊の誰かが、助けてくれたんだ、きっと』


 はあ……。

 じゃ、今は?

 今は、助けてくれないの?


『僕らには元々、直接、助ける事は、禁じられて、いる。でも、風の精霊、呼ぶ事なら、できる……』


 風の精霊!


 ……セナが風の あの技を使えるのは、それの おかげよね!?


 だったら、早く呼んで! お願い!


『うん! わかった! すぐ呼ぶ……』


 そして私は森の精霊に風の精霊を呼んでもらい、セナに風の技が使えるよ、と呼びかけたのだった。



 とりあえず説明し終えた所で、セナは なるほど、と小さく呟いた。


 顔を上げる。


 その顔は少し落ち着き払ったようで、晴れ晴れっとしていた。


「ありがとうな! 森の精霊!」


 少し微笑んだ。


 森は、まるで お礼を言っているかのようにザワザワと騒いだ。


「あなたたち、何者なの……?」


 マフィアが真剣に こっちを見ていた。

 さっきまで、紫に 吹っ飛ばされ動けないでいた足で、しっかりと立っていた。


「マフィア……! ケガはっ!?」


「大丈夫よ。それより、答えて。あなたたち、一体……」


「私は……救世主、みたいなんです……」


「ええッ!?」


 私をジロジロと見た。信じられない、といった顔だ。


 自分は救世主、だなんて言ったものの。

 まだ半信半疑。

 だって別に何の力も持たない、ただの中学生だったんだもん(だった……って、今もだけどね)。


 でも前にセナが言っていた通り、私は光の中から現れたし。

 ……うーん、どうなんだろうね??


「そう……わかったわ。あなたが“七神創話伝”に出てくる、救世主なのね。最近、風の噂で耳に したの。今、この世に……四神獣 復活の兆しが見えると。その噂が本当だったのならば、頷ける。救世主が 現れた、と」


 そう言ってマフィアは、大木の そばにある雑草を引っこ抜いた。


「……まだ聞きたい事が、たくさんあるけど。とにかく今は急ぎたいの。早く、このマトモな熱下げの薬草を煎じて、飲ませなきゃ」




 マフィアが馬のように駆けだした その背中を懸命に追いながら、店へと戻った。


 店が見えた頃には、私たちは完全にマフィアの姿を見失っていた。

 それほど、速い足を もっていたのだ。


 息を切らし、店へ入ると、マフィアは一生懸命すり鉢で さっき採ってきた薬草を すりつぶしていた。顔は、まさに真剣そのもの。額に汗し、息も少し荒かった。


「私も手伝うよ。お湯、沸かすね」


 私は台所(店とは別の)に置いてある物を手探りで探し、やっとヤカンを見つけ、水を入れて火に かけた。


 この台所は、あまり使われていないらしい。

 孤児の子供たちの食事は、店で とっているようだ。


 そうやって、薬草を煎じたものをマザーに飲ませた。

 マザーは眠りにつき、私たちは やっと安心できた。


 まさか薬草一つで、こんな騒ぎになるなんて……。


 気がつけば、夜は深まっていた。

 居間で お茶を飲んでいると、マフィアが さっきの続きの話を持ち出してきた。


「救世主が現れたとなると、当然、七人の精霊を集めるんでしょう?」


「七人の精霊?」


「伝説の第一章に、そう書かれているじゃない。『七人の精霊の力 使ひて …… 』って」


「うん……でも、まだ私が本当に救世主かは、謎だし。とりあえずね、マザーが昔、白虎を封印したとされる、“目の泉”へ行ってみたらって……仰ってくださったの」


「え、じゃあ、明日もう出発するの?」


「うん」


「そう……もう、行っちゃうのか。そんなに急がなくてもいいのに……」


「うん……ごめんね。でも私、セナみたいな力無いし。早く自分が ここに来た訳、知りたいから」


「力が無い? 嘘よ。あなたには誰にも無い力があるわ」


「え……?」


と、キョトンとしてマフィアを見た。

 マフィアは何を言いたいの……?


「さっきの戦いの時。あなた、森の精霊と会話をした、でしょう?」


「え、う、うん。だけど?」


「森の精霊と会話なんて、普通できっこないわ。私ぐらいかと思ってた」


 マフィアが奇妙な事を言い出した。


「え……それ、どういう事?」


 するとマフィアは、服の奥の首に ぶら下げていた、小さな鏡を見せた。


「この鏡は……“七神鏡”よ」


「“七神鏡”? それは?」


「これと同じようなものを、あと六人が持っているはず。そう……七人の、精霊の神が」


 七人の精霊の神……?

 それは一体?

 え、マフィアが その一つの鏡を持っているっていうのは?


「マフィア、あなた まさか……」


 マフィアを指さすと、コクンと頷いた。


「ええ……私は七人のうちの一人。森の精霊の神、マフィア。もし伝説の通りなら、私は あなたに力を貸さなくちゃいけないわ……」


 私は、ただただ呆然としていた。


 すると、先に寝たはずのセナが起きてきて、黙って私の横に座った。


「あんたもか。木神の鏡……産まれた時、持って産まれてきたんだな?」


 落ち着いた声でマフィアに聞いた。

 マフィアは動じる事もなく、黙って頷いた。


 動じていたのは私だ。

 何なの この2人、と顔を しかめた。


「勇気……俺のこの風の力は、ある日 突然 目覚めたものなんだ。こんな変な力を持っているのは、世界中で七人だけ。俺は、風の精霊の神なんだ」


 ……この2人が影で相談して、私を騙しているのかと思った。

 だって すでに、世界で七人と言われている精霊の神のうちの2人が、ここに居るだなんて。


「鏡! 鏡は!? セナも鏡を持って産まれてきたの!?」


 セナは、サッと両手の指を見せた。

 指には指輪が……えっ!?


「あんた……七神鏡を指輪に変えたのっ!?」


「ああ」


「私、昔、鏡に傷をつけた事があるわ。その時の全身にくる痛みといったら。……信じられない! この鏡は その人自身と繋がっている。そんな大事な鏡を……!?」


 マフィアはセナの指輪に触れた。

 セナは、フッと笑って何も言わず黙っていた。


「何で そんな事したのか、知りたい気もするけど。今は やめとくわ。とにかく、今私たち……木神と風神が揃ったわけよね。あと五人……。救世主であるというなら、七人を まず集めましょう。旅の途中、きっと わかってくるわ。色んな事が……」


というマフィアの意見には、もちろん賛成なんだけど……。


 何か、こう、モヤモヤっとしたものが引っかかる。

 マフィアの顔は穏やかなんだけど、どこか不安が見え隠れしている。


「マフィア……どうかしたの?」


と聞いてみたが。

 マフィアは首を横に振って、「ううん。別に」と答えるだけ。


 大丈夫なのかな? マフィア。


 ……って、ちょっと待って?

 セナは付き合ってくれるって言っていたけれど。


 マフィアも、私の旅に同行するの?

 そんな事して、この店は一体どうなるの?


 そう、さっき引っかかったのはコレだ。

 店を放っぽって旅だなんて。

 ダメダメ。


 私はマフィアに それを言った。


「ありがとう。気持ちは嬉しいけど……」


と断りそうだったので、私は もっと強気で出た。


「マザーの体がまた急変したら……どうすんのさ!」



 ……これにはマフィアも効いたみたい。

 結局、明朝は私とセナで目の泉へ向かう事になった。



《第4話へ続く》





【あとがき(PC版より)】


 昔の友達に「ドえらい名前つけたな……」と言われたマフィア登場。

 私「あ、ほんまや」


 ……気づかないノカ? 自分……。


 ご感想など。お気軽にどうぞ。


 ※ブログでも途中まで公開しております(挿絵入り)。

 パソコンじゃないと読みにくいかもしれませんが、

 よければこちらも……。

 http://ayumanjyuu.blog116.fc2.com/blog-entry-33.html

 お手数ですが、コピペして お進み下さい。

※そして出来ればパソコンの方は以下の「投票」をポチッと……。


 ありがとうございました。



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