第18話(虐殺の街)・1
※シリアスあり、コメディー要素ありとなっていますが作品中、今後の経過により残酷な描写があるかもしれません。
今回いきなり最初からあります(ぐはっ)。
同意した上で お読みください。
そして今話は長いです(うあー)。
一万五千文字!? わああごめんなさい汗汗汗っ。どうぞ〜。
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(『七神創話』第18話 PC版へ)
「ふ……ついに見つけたぞ」
不敵な笑みを浮かべ男は。
その手に持つ刀の先をまだ幼き少女へと向ける。
血の滴り落ちる、その刀を。
少女は悲鳴を上げる。
頭を抱え、そして、後ずさる。
しかし後ろに転がっていた血だらけの黒い塊に つまずき。
その場で転んでしまう。
死んでいるのは一人だけでは ない。
……数十数百という死体が、そこら辺に転がっている。
空中には黒い鳥が羽を飛ばし散らしながら舞っている。
そして、腐った血肉を貪ぼり。
腹を満たすと。
あの真っ赤な血のような夕焼けに向かって真っ直ぐに去って行くのだ。
少女の目には。
目の前の男の不気味な顔色だけしか見えなかった。
本当は、ついさっき。
この男にブスリと斬られたはずだった。
なのに気がつくと。
斬られたはずの胸の傷は きれいさっぱり なくなり。
服にベットリとついた血の量から見ても、おかしいという事に気が ついた。
絶対に自分は死んだはずだった。
なのに、生きている……?
そう思って。
黙って自分の両の手の平を交互に見ながら首を傾げていると。
さっき自分を斬った男が前へと立ちふさがった。
そして「見つけた」と言い出したのだ。
整った顔立ち。
怖いくらいに光る瞳。
青い髪と、肩には少し不似合いの赤いマフラー。
銀縁のメガネの両端から耳のピアスへと繋がっている、銀の鎖。
青く全身を包み込むようなロングコート。
そして手には、少し古めかしい刀。
ボロボロの紙か包帯かが、柄に巻かれている。
刃に付着している血は全て、この街の人々のものである。
「や……やめて。来ないで……」
と、震える声で訴えた。
その男は急に少女の胸ぐらを掴み。
グイと体を軽々と上へ持ち上げる。
「これが……これが四神鏡か……」
目を煌々と光らせた……かに見えた。
少女は最初。
掴まれた男の手を引っ掻きむしり足を空でバタつかせ、抵抗を試みたが。
微動だに できないとわかると。
……途端に手も足もブランと垂らし。
涙さえも重力に逆らえず落ちていった。
なすがままの状態。
少女は幼いながらも、自分の死を覚悟した。
自分も あの、黒い塊に なるのだ……と。
……
男は。
胸ぐらを掴んでいない方の手で少女の体内に手を えぐり入れた……。
ズブ、もしくはズボッ、という音と共に。
気持ちの悪い音が断続的に響く。
少女は手を入れられた瞬間、絶命した。
男は体の中をさぐり、やがて ソ レ を取り出す。
抜け殻となった少女の肉体は、ポイと捨てられた。
ソレ、とは……。
白い、卵のようなもの。
大きさはテニスの軟球ほど。
男が力をこめて握ると。
その卵のような丸い物体はグチャリと割れた。
中には、小さなガラス……いや、鏡のカケラが入っていた。
それだけをかざしてみても、ただの鏡のカケラ。
「ふん……」
と、男はチラリと地に捨てられて転がった少女の姿を見る。
「入れ物は用なしだ……ふふ……ふふふふ……ハハハハハハ!」
思い切り笑い飛ばした。
……その一部始終を見ていた若者の男が居た。
元々体が丈夫なのが幸いし。
さっき男に斬られても それが致命傷にならずに済んだようだ。
とはいっても倒れており、立てない状態だったのだが。
狂ったように笑う男の姿を見て、小さく呻いた。
「畜生……!」
と……。
そして、高らかに笑う男の元へ一人の女性が突然 何も ない所から現れた。
「レイ様。救世主達が今、こちらに向かっていますわ」
と報告し、レイの表情を窺う。
「遅かったようだな。……なんてな。まあいい。四神鏡が一枚、見つかった。今日の俺は すこぶる気分が いい」
手に持っていた鏡のカケラを、女性に渡す。
それを受け取ると。
呪符のような。
……経文の書かれた紙で巻かれた箱の中へコトリと入れた。
「この中に入れておけば、錆びる事なく保存できますわね。私の術を使わずとも」
「ああ。その経は『魔道経』……特別なんだからな」
「ふふ。手間が かからず次へいけますわね。いい物を手に入れましたわ……それはそうとレイ様。如何いたします? この後は。この街の人どもは皆、お斬りになったようですけど。先ほど申しました通り、救世主が こちらに向かっていますけれど?」
レイは冷ややかに言う。
「ふ。救世主か……来ればいい。もはや俺には、小ねずみどもの相手をしているヒマは ない」
「名ばかりの救世主ですものね。放っておいたらいいですわ」
「なあに。まだ利用価値は あるさ」
会話をしながら、彼らは去っていった。
空には黒鳥がまだ、うるさく楽しそうに踊っていた。
摩利支天の塔をあとにし。
私達は予定通りに進んだ。
え?
……どうやって塔の最上階から出たんだって?
そりゃあ、ちゃんと来た道を辿って。
出会った魔物とバトルしながら脱出した……
……はず、ない。
実は。
セナが この塔に入って来た時に言っていた方法で、塔から外へ出たんだ。
つまり、最上階の壁をセナの風の技で ぶち壊し。
その穴からマフィアの“草鞋”でエレベーターに乗ったみたいに降下し。
脱出したのだった。
とんでもない事に。
私達が脱出して数十歩 進んだ後。
ガラガラと すさまじい音を立てて塔が崩れた。
見る影も ない。
塔を目印に森を進んでいたけれど。
その目印は もはや なくなってしまった。
「ははは。面白い面白い」
と、カイトは楽しそうに笑っていたけれど。
……塔の中に居た魔物達は、悲惨だよなあ。
ま、いっか。
とりあえず私達は正しいルートで、タミダナの街へと向かう。
ああそうだ……あの、森で迷った理由。
ほら、私が勇み足で進んでいたけれど。
結局迷っちゃったーっていうやつ。
実はアレ、蛍の罠。
というより、蛍の奴ったら。
紫苑に協力してもらって。
……んで、私達を森の中へ引き止めて。
自分はレイを裏切って逃げてきた風に偽って。
そして私達の気が緩んだ隙に、一気にバッサリと やろうとしたみたい。
寝込みを狙っていたんだって。
でも私とセナが少し離れた所へ行っちゃって。
二手に分かれてしまったでしょ。
で、急きょ作戦変更。
マフィア達を紫苑の協力のもと、さらっちゃったんだってさ。
マフィア達は自分達が さらわれたって事、全然 気がつかなかったらしい。
普通にスヤスヤと眠っていて。
目が覚めたら知らない場所に居た、と。
で、部屋の たった一つのドアは開かないし。
ココは何処かも わからない。
しばらくジッとしていて話し合っていたんだけれど。
とりあえず あのドアをぶち破ろう、という事に なった。
しかし いざそうしようとした時。
いつの間にか鍵が外されている事に気が ついた。
で、ドアを開けて、私達と鉢合わせした……と。
そういう事らしい。
その鍵を外したのは、紫苑。
声しか聞かなかったけれど。
少し年いった おじさんの落ち着き払った声だった。
四師衆の一人らしいけれど。
……なーんか、それらしくないわよね。
やっぱさ、鶲とか さくらとか蛍とか。
3人とも、意地悪っぽい性格だったからだろうけれど。
「紫苑は私に技を教えてくれて、紫を作る手伝いをしてくれたのよ」
と、蛍が言った。
実は、蛍達と一緒に旅をする事になってしまったのだった。
一応、説得じみた事を言った結果だった。
なんっっか変な感じだけれど。
段々と それは慣れてきた。
体がボロボロだった紫は。
何とか蛍の術やカイトの人形師としての技術で修復され。
まだ包帯を巻かれていたりするけれど。
時間が経てば治る(直る?)もんらしい。
人間のような肉や骨で体が出来ているわけでは ないとか。
よくわからないけれど。
「私達 四師衆を造ったのはレイ様。さくら、紫苑、鶲、私っていう順で。とっころが私は ちょっと失敗作。子供に なっちゃった。技も最初ろくに使えなかったわ。でもレイ様と紫苑のおかげで、だいぶ技が使えるように なって……そして、紫を造ったの。紫、っていう名前は紫苑から とったの。ま、紫っていう白い花も あるしね。そういえば知ってた? さくらは春の木、私 蛍は夏の虫。紫苑は秋の花、鶲は冬の鳥。ちゃんと意味が あるのよ」
と……ペラペラと話す蛍。
何だかもうフレンドリーだ。
かつての敵も変わったもんね。
「また、罠なんじゃねえの? 俺達を油断させといて……っていう」
と、セナが ふいに口を挟むと、フンと蛍は鼻を鳴らした。
「冗談。もう何の力も ないわよ、私は。疑ってらっしゃるんなら、どーぞ。始末しなさいよ」
そんな2人を見て、まあまあと止めに入る私。
セナと蛍って すっっごく相性悪いんだなー。
先が思いやられるわ、全く。
そんな こんなで。
私達は その後スピーディーに予定通りの行程で進んだ。
まずタミダナの街へ行き、情報収集。
しかし収穫ナシ。
それから西の方のシュル村へ行って南東のアサバ村へ行くが、ココでも収穫ゼロ。
「妙な力を持っている人 知りませんか?」って聞きまわったけれど。
全っ然ダメ。
まるで雲を掴む感覚だ。
「これでコンサイド大陸は一通り行ったよな。次の大陸へ行くかあ」
というセナの意見のもと。
私達は またグルッと一回りしてトルベイ港へと行き。
そこから船へと乗り込んだ。
この時すでに、私の足は限界。
相当お疲れだった。
メノウちゃんですらピンピンしているっていうのに。
私だけ すっごいだるく。
筋肉痛が「休んでくれ」と懇願していた。
「大丈夫? 疲れたでしょ。次のマイ大陸まで丸2日だし、ゆっくり休みなよ」
「うん……そだね。でも、大丈夫よ」
と、私はガッツポーズ。
マフィアの言葉は嬉しかったけれどさ。
ココで気ィ抜いちゃダメだよね。
これから また色んな事あるんだろうしさ。
しっかし、私以外の皆って。
本当に鍛えてあるというか、体力が あるというか。
元気だ。
私の居た世界。
……日本人ってやっぱり運動しなくなってしまったのかなあ。
……いや待てよ、私だけかも。
そうよね、私、体育以外は全然動かないし。
……うう、自業自得ってやつ?
船の外に出て甲板通路で一人。
手すりに もたれて風に当たりながら。
去り行く水面を見ていた。
この船に乗り込んで まだ3時間足らず。
朝焼けがキレイだった。