地団太を踏むのがロックだと思ってたんだ(このタイトルはノリです。実際の本文・内容とは関係ありません)
急にポエミーな気分が来たので。
(内容の差し替えに伴い、ジャンルを変更しています)
地団太 踏むのを ロックと思ってた
あつい あつい 殻 全身 はりつけ
精出し 固茹で 気取っちゃみたけど
所詮は生な ハンプティダンプティ!
今 剥かれアポカリプス 天地は無用……
低くかすれた声と、搔き鳴らされるギターの音。
夕闇。高架下。
状景、BGM。
特に気を惹かれるはずもなくオレは狭い歩道を無心にそそくさと突っ切ろうとしていた。
もう歩き慣れた家路だし、なにより十時間近く立ちっぱだったバイト帰りだったために休息ならぬ休足したくて堪らなかったからだ。
ああ、確かに夏休みのあいだにできるだけ稼ぎたいって言ったよ?
だってサウナと化した自室に早急にエアコンを取り付けなきゃ干乾びてしまうという強迫観念が日に日に高ずるあまり、けなげな扇風機をディスるところまで堕ちてたし。
でもまさか週休0日にされるとは思わないじゃん? 社員でもないのに社畜かよ己は、と激しくツッコミたくもなるわ。
といっても最たるツッコミどころとなると、そんなぎっしり詰まったシフト表を目にして、わーい稼げるうとか喜んだ一週前の自分だし、ぶん殴ってでも止めるべきだったとの悔恨は最終日である本日にはピークに達したけれども、残念ながらタイムマシンは見つからないままに終わった。
まったく、いったい今現在この両脚にはどれほどのカリウムイオンが蓄積されているのかと、そんなの考えただけで恐ろしくなる。そういえば筋肉疲労は乳酸が原因物質って通説は近年になって否定されたのを知らないひとも結構いるよね、はい、ちょっと前のオレでしたー。
ともあれ終わったのだから一刻も早く休む、それが己の脳から全身に布告された至上命令であり、叛乱することなど許されないので唯々として従うのみである、はずだった。
なので、でくの棒とでも称したくなる惨状に陥った我が脚部の鈍重にして懸命なる回転を、しかしそのとき急停止させてしまったのは、いうなれば天啓的な、さらには運命的な電波が脳に響いたせいだったのだろう、たぶん、おそらく、あるいは、ひょっとして、もしかしたら。
だから。
完全に通り過ぎていたのを、気づけば切り返しバックからの方向転換と前進を経て、実に正面からその全容を目視することになった。
ばっさり言ってしまえば、ストリートミュージシャンだった。
路上にブルーシートを敷いて、その上でクッションに座り込み、ギターを膝にかかえ上げて演奏している青年だった。
ずいぶんと柔らかそうだった。
しかも美味しそうだった。
「すげーデザイン」
ぴたりと指と音が止まった。
顔を上げた青年が、オレを見て、それから自分が尻に敷いている物体を視線で確かめ、にやりと口角を上げた。
「いいだろ」
「うん」
食パン。
いわゆる山型の、茶色い耳に縁どられた、白いパン。
その部厚さ、おそらく四つ切りスライス。
見るからに、ふかふかだ。
どこで売ってるんだ、そんなクッション。
「そんなの、どこで売ってんの?」
「通販」
正直に訊いたら、あっさり教えてくれた。
というわけで。
スマートなテレフォンで情報を交換し合ったのが先日の話。
そしてオレの自室には今、ウグイス餅がある。
ふかふかだ。
ふっかふかだ。
ぎゅっと抱きしめてよし。
枕として頭をうずめてもよし。
言うまでもなく座ってよし、だ。
だから、その週のバイト代がそっくり消えたとか、そんなこと気にしてない。
いつの間にか涼しくなってたし。
おわれ。
製パンシリーズと、和菓子シリーズがあるらしいです。
ちなみに食パンは取替えカバーで狐色トーストにできます。あと苺ジャム模様のミニラグマットやバターをかたどったキューブ型ミニクッションを乗せて遊べます。
限定生産の失敗焦げ版は、なんと即時完売。
※妄想です
あ、冒頭のはですねー。
割れ物を発送するときは梱包材でくるんで注意喚起シールを貼ろうね!
っていう内容を相当ひねくれて表現した歌詞です。
※創作です
某動画サイトにて人工音声キャラクターの輪音メグル(アルト音域が得意、性別不詳)が歌う楽曲としてアップロードされました。
※妄想と創作です
……正直すまんかった。癒されたかったんや。